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0056【『聞き書き、町、人、温泉、1000の言葉』旅ジャーナリストのかたあきこ】長野県小布施町 小布施堂・桝一市村酒造場 代表 市村次夫さん編

「過去に学ぶ、歴史に学ぶ。自分のおかれた状況は過去に必ず、それも無数にあり、気づきを与えてくれる」

 歴史に学ぶことの意味を痛切に感じたのは、敷地内の里道を遊歩道として町に提供した時です。小布施では1980年代から、暮らす人の視点に立った「町並み修景事業」がはじまっていて、里道は“栗の小径”という散策路になりました。日本人が社会を営む中で、お互いの暮らしやすさを考えてつくった道、それが里道です。だからそこに人が通い、出会いがおこり、挨拶や会話が生まれ、それは快適な生活空間をつくり出していきました。この歴史を空間ごと次世代に引き継ぎたい。そんな思いで私は行政に念書を求めました。里道の使用目的を遊歩道に限るという約束です。そうしなければ、ある一時の行政政策で町並みが急変してしまう恐れがあると考えたからです。

(小布施堂代表取締役・桝一市村酒造場代表取締役 市村次夫さん)

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