見出し画像

インターネットメディアに蔓延る、誇大広告に関して思うこと。

読んでくださり、ありがとうございます。
popIn株式会社取締役の西舘亜希子です。

本日、以下プレスリリースを発表しました。

国内最大級のネイティブ広告ネットワーク「popIn Discovery」
ネットの誇大広告・差別的広告配信停止へ 広告審査プロセス強化


まず、今回のこのブログは特定のメディアや事業者を批判したり持ち上げたりするものではなく、あくまで私が考えている課題と実際に現場で働いている中で感じた「私個人の感想」であり、広告審査を厳格になさっているメディアも事業者もあり、誰が悪いどこが悪いの話ではなく、「私はこうしたい」という話であることをご理解の上ご覧ください。

弊社の事業を簡単にご紹介します。
1.レコメンドウィジェットを提供しているpopIn Discovery

2.IOT家電のpopInAladdin

3.音声を配信するpopInWave

4.ECサイトにて画像識別技術を活用したpopInAction
大きく、この4つのプロダクトを提供しています。

この記事を目に留めてくださった皆様は、どんな視点でご覧いただいているのでしょうか。
メディア関係者の方か、広告配信事業者の方、広告主の方、マーケターの方、そして一番大切であり、そして誰もが当事者である「生活者」の方。
どんな立場の方も読んでくださってありがとうございます。


本日発表したプレスリリースは、弊社が提供するレコメンドウィジェットの広告から、過度なコンプレックスを煽る広告や、差別的表現や差別を助長する広告を5/25から停止するという内容です。

この決断に至るまでに数ヶ月かかり、いや、実際には年単位で葛藤をしていたのが現実です。

考えたきっかけ

私がインターネット広告に足を踏み入れたきっかけは、2008年でした。
アドバタイジングドットコムジャパン(現Verizon media Japan)に派遣社員として入社し、メディア様向き合いの営業サポートをしていました。
その中での業務のひとつに「広告審査」があり、
当時、大手のいくつかのメディア様に、1つ1つバナーとLPの確認を行い、「広告表現の基礎知識」という本を片手に、表示違反があるかどうかを確認、違反があるものはセールスチームにフィードバックをするという仕事をしていました。

「広告にはルールがある。」
業界未経験だったわたしは、それを知りました。


時代は移り変わり、2021年。

2017年にpopInへ入社し、今年からDiscovery事業の責任者をしています。
インターネット広告はずいぶん様変わりしています。
「見え方」として、その一つはネイティブアドやインフィード広告にもあるのではないかと、私は思っています。

ディスプレイ広告はプログラマティック広告での取引が一般的となり、メディアの皆様はブラックリストの更新や、様々な手を打って対策を行っています。
それでも防げない広告があるのはまた課題なのですが、それよりも現状厳しいのは、我々も提供している「レコメンデーション型のネイティブアド」です。

ネイティブアドの事業者も、メディアも、もちろんモラルを守って運営している事業者様も多く、全てが悪い、そういう話ではありません。
しかしモラルを逸脱している企業があるにも関わらず、止められない。
もちろん自社も例外ではなく、広告審査をしているとはいえ、心の中では「良くないよね」と分かっているはずなのに、止めてこなかった。

「止められない自分が一番悪い」
いつだって悪いのは自分自身です。


なぜそういった広告を止める勇気がないか。

シンプルに、「CPM(RPM)が高いから」という理由。だと私は思います。
そして「ひと」は止めない言い訳を作るのは上手です。私だってそのひとりです。

・商品を買ってくれる人がいるから
・高いCPMでメディアに収益をお戻しできるから
・なんとなく、みんな出しているから、止めていない事業者も多いから
・弊社だって広告審査の管理画面をメディアの方に提供して、ブロックできるようにご案内しているし、そもそも開始の時点で出ないように設定できるご案内もしているし・・・
・会社からはKPI達成しないと怒られるし・・・
軽く思いつくだけでも言い訳はいくらでもできてしまいます。

アフィリエイトと言われる広告案件(その仕組み自体を否定しているわけではありません)は、獲得効率がよければ予算を振り分けてもらえることもあり、配信事業者も一緒に広告運用を頑張ることで、獲得効率を上げ、メディアの方に収益をお戻し、予算運用を行うことができます。


そのアフィリエイトの仕組みが問題なのではなく
・クリエイティブ表現や、タイトル、記事LPが、過激になっていった。
・レコメンデーションウィジェットは、記事とともに表示されるため、表示される枠数が多いため、視覚的なインパクトが強い
・これだめだよね・・・という空気感の中でも実際は是正がなされていない
・審査をしてもいたちごっこで記事の差し替え等のトラブルが起こる構造がある

ここが問題なのです。


矛盾との葛藤
私は自分の仕事に疑問を感じました。

・「情報」を扱うメディアが、真偽不明の広告を許していいのか、違う、私自身が広告配信事業者としていいのか、行きすぎた広告はどこまで行くのだろうか
・そもそも私はメディアが好きで、メディアの広告枠が正しく購入される環境と理解が進めば、低CPM(RPM)問題ばかりではなく、しっかりとマネタイズができる可能性があり、それを実現したくて弊社の企業MISSIONのひとつである、メディアの価値を証明したくて入社したはず

それでも止めたくても止められない。

「頑張らないと他社に枠を取られてしまう」(メディア向き合い営業)
「運用を頑張らないと、代理店に案件をもらえなくなってしまう、売上が下がり会社から怒られる」(代理店向き合い営業)
「CPMをあげないとなかなかメディア運営は厳しい」(メディア企業)

この大きな3つのサイクルの歯車が狂いだし、どんどん止めらなくなっていってしまったと思っています。

そしてここまでで、1番大切なものが置き去りになっています。

「読者」の存在

メディアはなんのために存在するのか。

わたしはとても自己中心的に自己矛盾に対して葛藤しているときに、イライラをぶつける矛先を完全に間違え、(広告のルールを厳格にしている)あるメディアの編集長に「メディアは誰のためにメディア運営をしているんですか?」ととても失礼な発言をしてしまいました。

普段は温厚なその方も、隠しながらも溢れる少しの苛立ちを滲ませ

「自分のためにやってると思ってるんですか?」

と一言だけ返されました。

そんなこと思ってるわけない。わたしだって、メディアが好きで、メディアの記事に救われた人間のひとりです。わたしにはコンテンツをつくる能力はなく、せめてメディア運営を陰から支えて、その先の読者のためになるコンテンツが届けばいいなと思って仕事をしてきました。そのコンテンツには「広告」も含まれる。という考えです。読者のために、届くように。

でもなんか自分のしていることは違う。

読者が置いてけぼりになり、とても近視眼的になって、目先のことにとらわれすぎて、空気に飲まれている。

だけど、これは中長期的に見たら持続性はないし、読者からも、健全なメディアからも、健全な広告主からも見離されるし、というか、そもそもこれ、生活者の為にもメディアの将来の為にも自社の将来の為にも絶対よくない。



リセットして前へ
習慣を手放す判断はなかなかできるものではなく、見直しをすることはとても大変です。

だけど、どこかで何かを変えなければ、ものごとは前に進まず、自社のサービスの賞味期限を迎え、忘れ去られ、捨てられ、「終わったね」でひっそりと消えていきます。

わたしは、自分の仕事をそうしたくはなく、しっかりとプロダクトをアップデートし、テクノロジーで前に前に進んで行きたいとおもっています。

5/25まで、関係各所への案内と、調整、整理整頓、色々時間がかかり該当案件の停止まで時差が発生し申し訳ありません。

今わたしたちは、新しい広告プロダクトの開発に向けて社内一丸となって努力をしています。

最善の努力と誠意を示してメディア様に向き合ってまいりたいと思います。そしてそれが生活者の方にしっかりと届くように。

襟を正して、読者に愛されるメディア運営のほんのひとさじにでもなれるように、収益もしっかりお戻しできるように。
そして広告をご出稿いただく広告主様が「この配信なら安心だ。生活者は安心する、喜ぶ。」と思ってもらえるように1歩ずつ頑張っていきたいと思います。それが未来へ繋げられる私達なりの進め方です。


最後に

まだまだうまくいかないことも多いけれど、それも含めて人生で、ひとに喜ばれる仕事、正しさとは何か、それぞれ考え方や価値観が違い、それでもいいと思っています。世の中はもっといろんな意味でうまくやっているひとも多いことでしょう。それでも、少なくとも私がpopInという会社で広告に携わる間は、最善を尽くして企業として持続性を持つためにどうすればいいか、前に進むためにはどうすれば良いか、考えていきます。

みんなの手を借りて、声を聴いて、ひとつずつ進んで、間違えたら戻って、また歩けるように生きて、少しでも良い社会になれば幸せです。


最後までお読みくださってありがとうございます。





この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
popIn株式会社取締役です。インターネットメディアのマネタイズについて、過去と今と未来を考えています。