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「Nuuoooooooooo!」

< Isao Tomita>

<Spotify>


やぁ。

就寝中に自分が見る夢について詳しい方はいらっしゃいますか?

あれは、どこから始まり、最後はどこまで見ることができるのか。

テレポーテーション(てれぽ)が完了した時点で始まるのでしょうか?


いいえ

それは突然に始まる。


僕はとある山に登っていた。

森の天気は少しわかりずらい。
だが、山があれば登ってみたいと思うのがロマンというものだ。


ほんの数十分登ったところで休憩をしていると
あたりは柔らかな雨に包まれた。


とっさに
ここを動かない方がいいと判断して、
もしかしたらこのままここで一晩を過ごすことになるかもしれないというところまで覚悟をした。

...
やれやれ。


まだ、ここに来て安堵した最初の一呼吸である。


最初は柔らかい雨だった。
ひとたびこの森に雨粒が染み込みだすと
森の深部が目を覚ましたかのように、その息吹は一斉に緑と土と生命を感じさせる。


しかし、
一晩を過ごすだろうといっても
ここには腰掛ける椅子もないので、まだ立ったままだ。


「おいおい…」

「キャンプでもする気かい」


そんなわけなかろう。


とっくに夕方を過ぎ、辺りは闇に包まれるのみ。


雨の降り続く音と
野鳥の声だろうか。
時折聞こえる車の通り過ぎる音
恐らくその他は誰もいないだろう。


このまま闇に身を任せて朝を待つか。


いいえ。


「こんな傾斜の鋭く、ぬかるんだ森の中で瞑想などできるものか。」


好奇心というものはある意味で怖い。


この直前に僕は車を降りて
この山に吸い寄せられるように入ってしまった。


ここは、山の中腹だろう、
すぐに引き返せるところにいることはわかっている。


ほんの数十分、引き返すために決断をすれば済むことだ。


すると
雨は徐々に激しさを増し、
この山に蓄えられた水分が坂を下り、
山の麓へ流れ始める。


それからすぐに
僕は山の道なき道をゆっくりと下り始めたけれど、
あちこち川の様に広がり始めた。


一面に降り注ぐ雨音、すると辺りは闇に包まれ

もはや、僕は山肌にしがみつきながら
山肌を下り始めた雨粒がやがて、
川の様になっていくのを見ている以外に方法がなかった。


その間もこの森の山肌をとめどなく雨は流れ続けるので
ぬかるみはひどくなり
この山の傾斜は鋭く、
優柔不断になって右往左往するつもりならば
移動したり、登っていくための次の窪みは、もう見つからない。


雨の中、ぬかるんだこの傾斜を登ろうとする意識も
重力がそれを重苦しく遮る。


「Oh... 先ほどの穏やかさを返してください。」


まだ、誰も何もしていないし、
何も起きていない。
僕の安堵したときの一呼吸はまだその少し上あたりに漂っているはずだ。


とはいえ
足場を踏み間違えれば
一気に奈落へ滑落するだろう。


「ソリがあれば。」

「Okay.」

「そのまま滑って行って脱出だ!」


....
遊び心か…


なんてこった。


しかし
斜めには滑っていけないと思う。


ひとたび滑り出せば
恐らく、奈落へ直滑降だろう。


いいえ

でも、
ちょっとずつ

もう手を放すから。

...
いいえ

でも、
ちょっとずつ…


最初の一歩は大概そんなものです。


かがんだまま滑り出したSaanだったが、
ほんの数秒は制御が効いただけで
結局、
坂は数秒で暗闇の中の崖となり、
足場を踏み間違えた様に奈落へ滑落していった。


天然の山肌がこんにもゴツゴツとしているかなんて
別に機会に知ることはできなかったのだろうか。


まさしくこれは事件である。


「次に僕の体が浮いた時は、確実に奈落へ向かうだろう。」


無慈悲にも
奈落へのスピードは増していく。


あちこちに体をぶつけていくので
僕は徐々に怒りが込み上げてきた。


「痛いと言っているだろう!!」


そういって
頑丈そうな岩肌を僕は怒りにゆだねて完全にロックした。


「この野郎!!」


その様にして
僕の滑落は、頑丈な岩場を小脇に抱えるようにして終わった。


さっきも言ったが
まだ何も始まっていないし
誰も、何もしていない。


僕は横たわったまま、
降りしきる雨の中を安堵して見上げると
その晩の雨は穏やかなものに変わっていた。


そして
それはもう
僕の車の目と鼻の先まで来ていた。


しかし
僕はあばら骨を打撲してあちこちを擦り剥いた。


なんとか歩くことは可能だったので
よろよろと車に戻り、
着替えた後に
その場でしばらく状況見分を試みた。

あぁ、
「まじか (wtf)」


多少、放心状態だったが
翌日その場を再び訪れると、
近所の看板に何か書いてある。


出雲大社はこちらです。
この一帯の山は、その昔、武蔵坊弁慶も修行に入ったとされる。


「パワースポット...」


「なるほど、もしそうなら、力をください。」


「僕の...」


「僕が使うの?」


まぁ..

恐ろしや、恐ろしや。


さぁ、
….
テレポーテーション!!(てれぽ!!)


「戻せ!!」


「ピコン!!って、消えてくださーい!!」


「早く!」


僕はまだベッドで寝ているはずです。


「戻りなさい!!!!」


Akiosaan


OK
じゃぁ、またね。

・Nシリーズ
"こころ"をダイジェスト


<BoilerRoom>

<P.E.A.R.L.>


9月18日 Akiiosaan

saansamsun.

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