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アマリングという名の呪い

アマリング。タイヤの両端に路面と接地してない部分がリング状に残ってる状態。

一部のライダーの価値観では「バイクは峠を速く走らせるもの」であり、アマリングが残ったタイヤはライダーの未熟さの証として揶揄される。

タイヤの端につるつるの部分がぐるっとあります。

語源をググると「アマ」は「アマチュア」とか倒し込みが「甘い」とか。もしくは接地せずに「余った」部分だという説も。
ちょっと小馬鹿にしたニュアンスが含まれます。スラングとは言えすごいセンスですよね。

英語では「Chicken Strips」と言います。意訳すると「臆病者の線」なので侮った空気があるのはアマリングと同じです。

バイク界隈では定期的に耳にするワードで、気にする人が一定数います。これはある意味で呪いのワードなんだなと思うことがあります。

なぜ呪いなのか?
アマリングを消そうとする行為が安全とは思えないからです。今までに多くのライダーがアマリングを消そうとして転倒してると思う…

アマリングはスピードを出してカーブを曲がると消えます。ぐっとバイクが倒れるからタイヤの端っこまで地面につくから。
だから消したい人は峠に行くわけです。でも峠でそんなにバンクさせて走ったらそれは結構なスピード域です。

ちなみに(もちろんバイクの種類にもよりますが)ぼくが峠を走るような「ちょっとハイペース」位では消えません。何センチかは残ります。かなり飛ばさないと全部は消えない。

考えてみると違和感を感じますよね。
だってアマリング的価値観で言うと、アマリングがない状態が正常なんですよね。公道で無茶に飛ばすのが正常ってこと?

80年代にレーサーレプリカが死ぬほど峠を走ってた時代があります。
当時の動画をYoutubeで見たけど、あんなにバンクして走ればそりゃアマリングは残らない。

すごい台数が同じ意識で走っていたようです。
その時にその場にいた人たちの共通の価値観ってのは分かるけれど。
その頃の名残ってことなのかな。

気にしてる人の心理をリサーチした記事を見ましたが、やはり特効薬というか治療薬は「アマリングを消すこと」なんだそうです。やっぱ呪いです。

気にしてる人に気にするなと言ってもあまり意味はありません。そりゃそうです、容姿や体重だって気にする人はいくら大丈夫だと言っても気にします。

もしぼくがショップのオーナーだったらタイヤ交換した人にアマリングを消すサービスを提供するな。
皮むきサービスと称して紙やすりかなんかでぐるっと全面の一皮削っちゃう。最初から気にする対象がなければ絶対気にならないはず。

真面目な話をすると、バイク走行会や練習会に行けば消せます。
要はバイクを傾けるのが危ないんじゃなくて、それを峠でやるのが危ないんです。
ちゃんと管理されたコースでみんなが共通の認識で走っていれば危険はない。どうしても消したければクローズドのコースで思い切り倒し込んで走ればいいです。

「アマリング残ってるね~、もっと頑張ろうよ~」って道の駅なんかで言われるんだとか。
どういう意図でそれを言うんでしょうねえ。
そうやって誰彼構わず呪いを撒き散らすのはやめて頂きたいものです。

みんなそれぞれバイクの使い方は違うんだから。
「貴方には関係ありません」とハッキリ言ってやりましょう。そういう人たちは話が続かなければ立ち去ります。

つまらない呪いのワードで楽しいバイクライフをリスクに晒す必要はないと思いますよ。

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