見出し画像

サウナとサーフィンの共通項

サーフィンの話

サーフィンを初めてやったのは何年か前にandropが千葉のスタジオでよくリハーサルをしていた時期だった。
最近は都内でのリハーサルが多くなってしまいそのスタジオに行くことは少なくなったが、昔はそこで合宿していたこともあったしとにかくいろいろな想いが詰まっているスタジオです。
せっかくすこし離れたところまで来ている、ということもあったし、都内からは2時間ほどかかる外房の海まで1時間かからずに行けるのだから行ってみた、というのが最初だったように思う。
何せ最初なので何をやったらいいかわからなかったのでみんなで「千葉 サーフィン スクール」とかで検索して、HPが綺麗なところを選んで申し込んでみた記憶がある。
当時、ハマりまくって通いまくっていた時の話はよくしていたし、あの頃はよく「音楽とサーフィンは一緒だ。」なんて言っていた。海外旅行に興味がなかったのに初めて1年経たないくらいでバリに行って叩きのめされたりしたのも視野を広げてくれた気がする。
海に行くのは時間もかかるし冬の海は死ぬほど寒いし、ウェアやボードも買うにせよレンタルするにせよ安くもない。なかなかにハードルの高い趣味ではあったと思うけど2,3時間海でもがき続けてその内数秒だけ波の上で滑るような感覚を手に入れた時の快感は忘れられない。
メンバー同士だけでなく周りの友達も巻き込みまくって千葉までえっちらおっちら通っていたし、あんまり誰も付き合ってくれなくなってからも1人でも泊まりこみで練習をしまくっていたらある時耳に異変を感じた。
小さい頃からよく中耳炎をやっていたのもあってその延長線上にある真珠腫性中耳炎という病気で過去に何度か手術をしていたのが再発してしまった。
バンドの動きが落ち着いて休みになった時に入院して手術をして、病室で暇を持て余している時に当然だけど音楽が好きだからサーフィンとの距離を考えようと思った。それでも先生は「チャリと同じで一回乗れたらまた乗れる」とのことだったので心の中のサーフィンを0にすることはないなと思った。

サウナの話

元々すごく風呂が好きで、学生の頃から銭湯とかもよく行っていた。友達と一緒に行くことも多かったし家の近くの風呂に行けばたまたま誰かに会うことも多かった。今思えばなぜか拓とスーパー銭湯によく行っていた時期もあった気がする。当時はサウナに強い関心があった訳ではなく、露天風呂に浸かって語らうのが楽しみだと思っていた。

そんな中、andropの映像周りでよくお世話になっていた高橋健人さんは昔からなにかと会うと風呂によく行くみたいな話をしていたのが、ある日からサウナによく行くと言い出した気がした。健人さんとは長い時間語り合うことはそんなにないのだけれどすこしの時間話すだけでも「なんかこの人は居心地がいいな」と思うタイプの人だったので、自然とその興味の対象に対して自分も惹かれた。

まだサウナは風呂のおまけとしか思っていなかったバンドメンバー4人を今でこそ大人気のサウナしきじに連れて行ってくれた。よくわからなかったけど、浴場の扉を開けた瞬間に「おじさんが水風呂に飛び込んでそのまま天井から降り注ぐ滝壺の中で立ち上がり嬉しそうにそのままそれを飲んでいる。」という光景にカルチャーショックを受けた。サウナはクソ熱かったし水風呂の軟水具合がやべぇと言われたがさすがに理解が及んではいなかったし帰り道の健人さんのキマりっぷりには引いたりはしなかったものの薬草サウナにヤバい成分が入っていたのではないかと怖くなった。

翌週、リハで集まった我々に拓が言った。「あれからサウナ行ってる?俺あの後何回も、、。」そうして気づいたらまた一人また一人とサウナーになっていったのだった。

それから程なくしてツアー先では特に口裏を合わせるわけでもなく同じサウナ室に気づいたら揃ってしまっているような4人になった。

サウナの魅力は何かと訊かれると、基本的にはみんなが風呂を好きなのと同じ様なことで、ただ気持ちいいということと、あとは強制的にSNSなどの社会的なつながりを遮断して一人になることによって自分自身を見つめるとかそういうことなのかな。

サーフィンとサウナの話

サーフィンでは波の上に立ったあと、行きたい方向に進んでいくには進みたい方向の先を見ないと進んでいけない。怖かったり、不安定だからって足元を見ていたら前に進めず、そのまま波に飲まれて転覆してしまう。
遠くを見なければいけない。変わりゆく海の中で次に自分が何をしたくてどうするべきなのか常に考えながらいざ波の上に立ったらその瞬間にははもう次を見なければならない。
海からの帰り道は帰ったら何がしたいかが沢山頭に湧いてくる。

サウナに行って真っ裸でととのっていると、頭に浮かんでくるのは「塩鯖くいてぇなぁ」とか「本読みてぇなぁ」とか「ドラム叩きたいなぁ」とか自分が次に何をしたいかが浮かんでくる。周りの声が聴こえなくなって初めて心の底から今自分が何をしたいのかが浮かんでくる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?