国際課税の基礎知識2

それでは、日本に居住しなければ、それだけで課税されないのでしょうか。日本の法律では次のようなルールに基づいて課税がされます。少し難しいのですが

・居住している国(どこに住んでいて)
・恒久的施設(PE)の有無と設置国 (実際にどこで稼いでいるか)
・所得の源泉国(そのお金はどこに入っているか)

上の3つの検討から、事実関係をきちんと把握することで課税をすることになっています。つまり、単純にアメリカに住んでいても、日本の会社から受けた仕事を日本の従業員にさせていて、それをアメリカの銀行口座に振り込ませると言うのでは日本で課税されます。ましてや、日本で行った仕事を単純に海外の銀行口座に振り込ませるのは単なる脱税です。

この要件を満たすためには、自らアメリカに住んで、アメリカで従業員に作業をさせ、アメリカの銀行で受け取ると言う3つの条件を全て満たす必要があります。

したがって、日本に工場があるとか日本の不動産(これを恒久的施設 PEと言います)を貸し出したりとかそういう仕事の人では、そもそも、恒久的施設(PE)自身が日本の外に持ち出すことができず、そもそも日本で課税されるほかはありません。このため、このスキームを今から作ろうと思う人は、次のような職種の人しか現実的には難しいと考えます。

・コンピューターのシステムエンジニアなど日本国内で設備投資がほとんどいらない人、持って出れる人

・金融関係やビットコインの取引、トレーダーなど日本にいなくても仕事ができる人

・日本の会社に営業に実際に出向かなくても、電話やネット会議だけで仕事が全てきちんと回る人

そして、大切なことですが、日本で仕事をしないと言う事はその居住する外国において許認可が必要な仕事についてはなかなか厳しいと言うことになります。例えば、弁護士が海外に移住して日本人の相談者とインターネットで面接をして法律業務を行う事は、その国の弁護士法に触れる恐れがあります。また我々税理士が、海外に居住して日本の顧問先に対してSkypeでアドバイスしたりしても、恒久的施設が日本にあると理解され、課税される恐れは十分にあります。

私が今までいろんな事例を見てきて、実際に海外に移住してタックスヘイブンを含めた節税を効果的に発揮し、最も現実的な方々は、

・システムエンジニア、ITエンジニア

・デザイナー

・トレーダーや仮想通貨関連の長者

・実際に海外で仕事をしている日本人、駐在員

などです。もし皆さんがこちらの条件を満たすような方であった場合、タックスヘイブンと言うのを本気で考えても良いのかもしれません。それでは次のnote以降で、国際税務の課税の仕方やタックスヘイブンを利用した節税方法を具体的に解説していきます。

*内容については概要であり、個別具体的には国際税務に精通した税理士に相談してご判断ください。税務判断はその方の仕事や環境、規模により結果がすべて異なり、本内容の情報についての責任は持てません*


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