国際課税の基礎知識1

国際税務を理解するのにはまず次のことを理解しておく必要があります。

先ほどのnoteで、日本国内に居住しないのが、1つの条件と記載しました。正しくは日本国内で非居住者となると言うことです。これはどういうことかと言うと、

所得税法で、「居住者」とは、日本国内に「住所」があるか又は現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人をいいます。

とあります。非居住者とはそれ以外の人のことを言います。また、

「住所」とは、「各人の生活の本拠」をいい、国内に「生活の本拠」があるかどうかは、客観的事実によって判断することになっています。
 また、「居所」とは、「その人の生活の本拠という程度には至らないが、その人が現実に居住している場所」とされています。

と書いてあります。これはどのようなことでしょうか。解説しますと、

・日本に1年以上住んでいない

・日本以外の国で生活の基盤がある

ということです。したがって、下のようなパターンではダメということです。

・海外のコンドミニアムと日本を行き来している

・世界を放浪しながら旅行している

課税サイド、つまり日本の税務署においては取り扱いはもっと厳格で、実際には次のような事実があるかどうかで総合的に判断されます。

・日本に自宅があるかどうか、家賃の支払いを続けている居所があるかどうか、光熱費の支払い状況はどうなっているか

・日本の健康保険に加入しているか、住民票が日本に残っているかどうか

・日本に妻子があるか、彼らの生活費はどうなっているか

・日本の会社からのお給料があるかどうか

つまり、単に183日以上海外に出ているだけではダメなんです。

そして、最も大切で、最も知られてないことなのですが

 居住者(非永住者を除く)は、所得が生じた場所が国の内外を問わず、そのすべての所得についてわが国において所得税を納める義務があります。

つまり、日本の居住者は、全世界のどこで稼いだ所得に対しても日本で課税されると言うことです。例えば、アメリカで事業を行って稼いだお金も、香港で金融取引で儲けたお金も、アフリカの銀行からの利子配当も全て日本の税務署に確定申告しなければなりません。よくある噂で、海外で稼いだものは海外で課税されるから日本では関係ないと言い張る人がいますが、それは大きな間違いです。

厳密に言えば、海外で稼いだお金は海外でも申告します。そして日本でも申告します。例えば、アメリカで儲けた配当所得はアメリカでも申告します。そして日本の3月15日の確定申告でも申告します。その上で、そのままでは税金をダブルでとられてしまうことになるので、日本の確定申告で外国税額控除と言うアメリカに支払った税金の分を日本の税金から引いて申告することになります。

この理屈から言えば、いくら海外で税金が安くても、日本の税率に全て引き直されてしまいます。例えば海外の所得にかかる税金が某国で10%であっても、日本では累進課税ですから、その差額は日本で30%を超える所得税に引き直されて再計算されますから結果的に多額の所得税を日本で納めることになります。


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