キヤノンのRFマウントサードパーティーへの開放について

少し前に話題になったことですが
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1586606.html

 フルサイズのレンズがないとか言ってる人がいますね。キヤノンだけじゃなくてニコンもそうなのですが、基本的に開発リソースをあまり回したくないところについて、開放しただけだと思った方が正しいです。

主に出したくないのは、APS-Cの単焦点とMFレンズです。

 APS-Cの明るい単焦点は売れません、なのでキヤノンもEF-Mのあのレンズで懲りたのでしょう(すごくいいレンズでしたけど)。だからこそ、レンズメーカーに開放してしまう方がいいという話です。キヤノンはEF-Mの時も開放していました。ニコンZのシグマのラインナップを見たら、露骨に短焦点のみOKとなっています。
 じゃあその売れないレンズをなぜレンズメーカーは出すのかといわれたら、レンズメーカーは複数のカメラマウント向けに出せるので、開発費が回収しやすい状況になるからです。
 キヤノンが56mm f1.4というAPS-C単を出したところで、RFマウントでしか出せませんが、シグマであれば、Lマウント、ソニーEはもちろん、キヤノンRF、富士、ニコンZ、さらにm43なんかでも出せます。
 レンズ部分は基本共通ですから、負担は軽くなります(一眼レフの時代よりもモーター関係とかは複雑っぽいですが)。

MFレンズも自社では出さないので、両社ともコシナに許可する形をとっています。

 ここで、タムロンはニコンZのフルサイズ用AFレンズを出しているだろ、いい加減なことを言うなという人がいるかもしれません。

 カメラ関係について多少の知識がある人なら知っていることですが、ニコンのレンズはかなりのところをタムロンとコニカミノルタに委託しております。製造だけではなく設計も含めて委託しているケースが多く、今売れ筋のNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRなんかもタムロン製です。
 だから、ここでフルサイズも出させてねと言って拒否すると関係がこじれるわけです。ニコンの設計を修正し、タムロンが製造していたレンズにAF-S 105/1.4 Eなどがあり、平たく言うと安いレンズだけ頼んでいるわけではなく高いところまで頼っているので、立場的にニコンが発注する側なのに弱いのです。

 ところがキヤノンはこういう関係がシグマやタムロン相手にはありません。なので、なかなかフルサイズ用レンズは開放されないと思います。
 タムロンが出したい35-150/2-2.8のようなレンズはキヤノンも考えているようでしょうし、シグマのアートも一眼レフ時代、ニコンほどではないですがEFでも使われたので、ラインナップがきちんとそろうまでは出させたくないでしょう。

 どちらにしろ、シグマでいえばLマウントやソニーで出しているものより2~3割高くなることが多いようなので、安さという魅力は多少薄れることになるというか、その辺を中心に使いたいなら、今一番カメラの性能が良いソニーに行くのが一番でしょう。

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