野の花はすてき(4)




「いい?」
「きみとその人は
仕事の仕方がちがうだけ、だったよね?」

「あくせくしたい派と
スマートにさらりとする派」
「単純にタイプがちがうとか
仕事のスタイルがちがうとか、
そういうことでしょ?」

「『タイプ』って『型』だからね」
「丸○と三角△、
どっちがいいとか悪いとかないよね?」

「それと同じで、
どっちのやり方がいいとかってことでは
ないよね」

「もちろん、好き嫌いはあるかもしれない」

「でもさ、
やり方のちがいに勝ち負けはない」

「だから、勝手に負けて
勝手にぷんすかする必要もないってこと」

「きっとね、その場の状況では
どっちのやり方もハマったりハマらなかったり…
その程度なんじゃないかな?」

「きみが一生懸命がんばってること、
見てる人はちゃんと見てくれてるよ!」

「だって実際、
そのニコニコさんが『今日はありがと』って
言ってくれてたじゃない」
「一生懸命周りのフォローしてたのを
ちゃんと見てくれてたから、
そんな風に言ってくれたんじゃないかなぁ」


そうかも。


「きみらしく働いていれば
いいんじゃない?

「みんなそれぞれ自分に合うやり方で
会社や社会に貢献できてればいいと思うんだ〜」

「ニコニコ人に接することで
周りにキラキラを振り撒く
きらびやかなお花みたいな人もいれば、
あくせく動いて、
しっかり土台作りをしてくれる
野の花みたいな人もいる」

「それぞれが点在することで
いろんな部分がカバーされるってかんじかな」

それぞれの役割を果たすってこと?
わたしはわたしなりに
できることをがんばればいってこと?

「そう!」

「きみはきみのままでいい」
「みんな自分以外のものにはなれない
からね〜」

「薔薇の花もすてきだけど、
凛と咲く野の花に勇気をもらうこともある」

「ほかの人と比べて
勝手に負けた気になるなんて
もったいないよ!」


そうだね!

野の花もすてきかも〜。
わたし、
薔薇の花より野の花にキュンとするかも。

野の花かぁ〜。
なんかうれしくなってきた!

ぷにぷ、ありがとう!


あれ?ぷにぷ?
え??さっきまでここにいたのに…


ぷにぷ? ぷにぷぅーーー!

大きな声で呼んでみたけど、
公園を歩く人が数人振り返っただけで
ぷにぷは見つからなかった。

ぽっちゃりうさぎが歩いていたら
きっと公園内がざわついたはずだけど、
その気配もなさそう。

どこに行ったんだろう。


あ、会社に戻らなきゃ。

ぷにぷ…。
ちゃんとお礼を言いたかったなぁ。


会社へと向かう足取りが軽い。

さぁ!今日もがんばって
仕事するぞー!!

もう敗北感なんて感じない。
わたしはわたしにできることをするだけ。




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