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仕事を任せるときに大事にしたい比較優位の考え方。

若くしてマネジメントポジションを任されるのは
とても貴重な機会で、キャリアにおいてもプラスですが
自身の経験の浅さゆえに自分の成功体験に引きずられがちで
多種多様なメンバーへの対応に苦慮することも少なくないと思います。

またそうやって抜擢されるリーダーの多くが
同期やメンバーの中で抜きんでた実績を上げているが故に
その機会を得ているわけで、たいていのメンバーよりも
個として仕事ができることが多いのもまた新たな問題の種となります。

ということで今日は仕事を人に任せるときに
頭に入れておくべき比較優位の考え方について書いてみます。

比較優位の原則は
経済学者のデイビット・リカードが発見した貿易の原則で
すごく簡単にいうと、二国間での貿易を前提とした場合、
限られたリソースの割り振りとしては相対的に優位な産業に
あてることで全体としての生産量が最大化するという話です。

これを仕事に適用して、具体に考えてみると

あるチームにAとBという業務がある場合において
LDとMBのそれぞれの業務の生産性の比を以下と仮定します。

【生産性の比】
 業務A LD:MB=10:9
 業務B LD:MB=5:3

LDもMBも週に40時間、業務を行うとして
それぞれが20時間ずつAとBに時間を割いた場合、
アウトプットは以下の通りになります。

【ケース1】
 業務A LD 200(=20×10)+MB180(=20×9)=380
 業務B LD100(=20×5)+MB60(=20×3)=160 

業務Aと業務BのLDとMBの生産性を比較すると
業務AにおいてMBはLDの90%の生産性である一方、
業務BにおいてはMBはLDの60%の生産性に留まります。

業務Aの方がLDとMBの差が少ないので
この場合においてそれぞれの業務時間が40時間と同じなのであれば
LDはMBと比べて、より生産性の差が大きい業務Bに多くの時間を割くべきです。

例えば、LDが業務Aに5時間、業務Bに35時間、
MBは業務Aに40時間、業務Bは行わないこととした場合、

【ケース2】
 業務A LD 50(=5×10)+MB360(=40×9)=410
 業務B LD175(=35×5)+MB0(=0×3)=175

と【ケース1】と比較して
業務Aの生産量は+30、業務Bの生産量は+15となり、
同一のリソースで、より多くのアウトプットが作れます。

それぞれの業務について着目すると
すべての業務においてMBと比較して、LDの方が生産性が高いため
LDとしては

「すべて自分でやれたらもっと高い成果が上げられるのに!」

となりがちですが、すべて自分ではできない以上、
比較優位の原則のように、それぞれに相対的に得意な業務を
割り振ることで、チーム全体の生産性が向上します。

そして、マネジメントにおいて
これを実現するためには二つのことを理解しておくことが必要です。

一つはメンバーに対する理解、
もう一つは仕事に対する理解です。

通常の仕事においては
上記のケースのように生産性が分かりやすく数値化されていません。
また生産性も機械のように一定ではありません。

そのため、完璧なロジックで比較優位を貫くことはできませんが
そうであったとしてもメンバーとしっかりとコミュニケーションをとり
メンバーの業務を観察し、それぞれの得意不得意を把握しておかないと
最適な配置はできません。

また仕事においても
すべてを細部まで理解しておくのは難しいとしても
どのような仕事でどのような力や経験が必要とされるのか
それを理解していないことにはアサインすべき人を決められません。

一流のプレーヤーが
一流のマネージャーになるとは限らないと言われますが、
実際のところ、三流のプレーヤーが
一流のマネージャーになるよりは確率高いと思うんですよね。

自分との違いや多様性を受け入れて
それを活かすような思考に転換さえできれば。

以上、ご確認ください。

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