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1つのアニメ作品が会社の業績を左右し株価を変えることはあるのか?という考察

7/31 東映アニメーションの2025年第1四半期の決算が発表されました。
東映アニメーションといえば春クールアニメ(4月-6月)の覇権アニメだった「ガールズバンドクライ」の制作版権元、その効果がいかほどのものか?ということを期待していました。
https://corp.toei-anim.co.jp/ja/ir/news/auto_20240731559037/pdfFile.pdf

今回は1つのアニメ作品が業績を左右し株価を確変させるのか?をいくつかの作品を元に考察したいと思います。

ガールズバンドクライ 東映アニメーション


まず東映の決算をみてみましょう。

スラムダンク、ゲゲゲの鬼太郎の記載はありますがガールズバンドクライの記載はありません。注目すべきはテレビアニメは5.8億なのに対し海外映像は53億もあるというところです。

9P目にゲゲゲ、スラムダンクに並んでガルクラが出ているのは感慨深いです
ガルクラのBDの1巻の売上は2.2万とアニメ円盤に詳しい方ならいかに優れた枚数かがわかるかと思います。1万超えるだけでも今はすごいことだと思います。ただ売上換算すると BD1枚4,950円 * 22000 = 108,900,000(1億)
と 東映25-1Qの売上230億から考えると230分の1にしかすぎないことがわかります。

東映アニメ25 1Qの売上


TVアニメ放送、円盤、配信だけでは10億、100億の単位は狙えないでしょうからやはりガルクラ映画化までいかないと東映の株価を左右するまでにはならないような気がしました。

東映の株価ですが、当たり前ですがガルクラが大人気だった4月-6月にバク上がりしているわけでもなく、今回の決算で明日上がったとしてもそれはガルクラ効果ではなくスラムダンク+ゲゲゲ効果ということではないでしょうか。本日の株価は2,339円。だいたい最近は2,339-2500円あたりをウロウロしています。ガルクラ効果を期待して東映アニメを買ったガルクラ民は映画化を期待しましょう。

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM バンダイナムコホールディングス

では次に映画作品であるガンダムSEEDを見てみましょう。
こちらは公開が24年1月24日ということを踏まえてまず直近1年のバンナムの株価の推移をみてみましょう。

だいたい紫の「公開」を指している部分が公開日です。
なんかおかしいことに気づくと思います、あれだけ好調だったガンダムSEED FREEDOMが公開されたあとに下がりまくっています。
私も初日の深夜上映に見に行って


素人は「映画おもしろかったー!」とつぶやく
玄人は「バンナムの株を買う」

と思って視聴後にバンナムの株を買ったのですが、私は玄人どころか大馬鹿でした。なにがおきたんでしょうか?

バンナムはガンダム、アニメだけをやってる会社ではない

2月14日に3Qの決算がありゲームであるブループロトコルが大失敗だったと発表がありました。
バンナムHD、第3四半期決算は営業益26%減の782億円…大人向け商品やカード商材、カプセルトイが玩具貢献も新作オンラインゲームで評価損、編成見直しで損失

バンナムは、ガンダム、ラブライブ、アイマス、ソシャゲ、ゲーセンいろんなことをやっていて、どれか1作品があたってもなにかが失敗すれば会社全体の業績や株価には悪影響がでるということが起こりえます。
なので学園アイドルマスターがあたって、バンナムの株価を買ったとしても万が一、ガンダムIPがこけた場合はやはり株価は下がる可能性もあるので複雑な株といえます。

ガンダムSEEDの映画の興行成績は46.4億でした。(5/13時点)ではバンナムの全体の業績はいくらなんでしょうか。株主総会の資料を見てみましょう。

https://www.bandainamco.co.jp/files/ir/stock/pdf/2024_19convocation2.pdf

1兆円・・・・。インフレの激しいガンダムトライブを彷彿とさせる数字ですが。全体で年間売上1兆円の会社ということです。
その中でのガンダムSEED映画の売上の内訳を円グラフにしてみましょう

フラットな目でみればやはり小さいと思います。これでガンダムSEED FREEDOMが好調だからといって株価がどうのこうのなるというロジックが働かないのは一目瞭然だといえます。
フラットな目でみないのであれば全体の0.4%ある事自体がすごいような気がします。

超覇権アニメ、「リコリコ」「ぼっち・ざ・ろっく!」 アニプレックスー>SONY

では誰が見ても明らかな覇権アニメである「リコリコ」「ぼっち・ざ・ろっく!」ではどうでしょうか?TVアニメ放送時に盛り上がっているのは誰の目からも明らかだったので株を買えばウハウハだったのでしょうか?
もちろんそんな甘い話はなく、まず「リコリコ」「ぼっち・ざ・ろっく!」の制作元のアニプレックスは上場しておらず、アニプレックスはSONYグループです。
じゃあ 「よーし父さん、ぼっち・ざ・ろっく!応援したいからソニーの株100株で100万買っちゃうぞー」とはならないと思います。

ソニーの株価 直近年間推移

なぜならバンナムと同じく、SONYのやっている事業の1部門にすぎないのは決算資料を見るまでもなくわかることで、ぼっち・ざ・ろっく!の映画がどれだけ興行成績を叩き出そうともSONYの業績を左右するというのは難しいのではないでしょうか?そういう意味でアニプレ系のアニメはトレード的には面白みがない感じはします。

名探偵コナン 東宝

直近で一番アニメ作品の効果がでたのは映画の名探偵コナンでした。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC168DU0W4A710C2000000/

東宝が16日発表した2024年3〜5月期の連結純利益は、前年同期比31%増の161億円だった。3〜5月期として過去最高となった。4月に公開したアニメ映画「名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」が興行収入150億円(6月末時点)を超えたほか、3月公開の実写映画「変な家」も50億円(同)を超え、配給作品でヒット作が相次いだ。

日経新聞

最近は朝の日経CNBCを1時間程度みてますがここ3ヶ月でアニメ作品のワードがでたのもコナンくらいだったと思います。やはりコナンは偉大。

まとめ

1つのアニメ作品が業績を左右し株価を変動させることはあるのでしょうか?今のところ結論としては
前提としては会社の事業の中のアニメ事業のウェイトにもよりますが
・TVアニメは円盤、配信がメインになるので可能性は低い
・映画作品は場合により可能性は高くなる
といったところではないでしょうか。
また機会があれば深堀りしてみたいと思います。

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