AKAYA

事実は小説よりも奇なり ※短編小説書いています

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記事一覧

淫と妖【第一章 道化師】

約束の時間が近づいてくる。 もう駆け引きなど必要ない。 髭を剃り、隠部を念入りに洗い、しっかりとムダ毛を剃り上げる。 歯を磨き臨戦体制は整った。 全裸のままセミ…

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1年前
4

陽炎【エピローグ 喧騒】

し「時間も来たし、出よっか!」 ついに終わってしまった。 部屋を出てエレベーターに乗り込む。 あっという間に出口だ。 ふっと横目に受付のおばちゃんが目に入る。 …

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1年前
4

陽炎【第四章 快楽のその先へ】

上にまたがり、しずくと見つめ合う。 しずくは攻めるのが好きなのか?攻められるのが好きなのか? こんなに可愛い美女は幾多の戦歴を乗り越えているに違いない。 想像も…

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1年前
4

陽炎【第三章 神の舌】

ふっくらと、しっとりとした柔肌の温もりがタオル越しに伝わってくる。 無言で抱擁を続けるしずく。 ひ「本当に今日も会えてよかった」 なんだろう。不自然だ。 温かさ…

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1年前
5

陽炎【第二章 アイスブレイク】

※会話が多くなるためカギカッコのはじめに話者名を表記。し=しずく、ひ=ひろき し「ええ!!びっくりした!」 それはそうだ。まさか歯ブラシを咥えたまま迎えられると…

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1年前
6

陽炎【第一章 再会】

「じゃあな!」 そう言って松坂屋の交差点で良一と別れを告げる。 さて、戦いはこれからだ。 キャリーケースをしっかりと握りしめて戦場の地、ムーンブライドに向かう。 …

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1年前
6
淫と妖【第一章 道化師】

淫と妖【第一章 道化師】

約束の時間が近づいてくる。

もう駆け引きなど必要ない。

髭を剃り、隠部を念入りに洗い、しっかりとムダ毛を剃り上げる。

歯を磨き臨戦体制は整った。

全裸のままセミダブルベッドに大の字に横たわる。

ホテルエクスプレス。

戦いの際にここに宿泊すると決めているホームスタジアムだ。

決戦に向け気持ちを高めていこう。

高速フリックでお気に入りの卑猥な動画を再生。

負けられない戦いのために、今

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陽炎【エピローグ 喧騒】

陽炎【エピローグ 喧騒】

し「時間も来たし、出よっか!」

ついに終わってしまった。

部屋を出てエレベーターに乗り込む。

あっという間に出口だ。

ふっと横目に受付のおばちゃんが目に入る。

さっきの威勢のいいアドバイスを思い出す。

高揚感に包まれていたあの時に戻りたい。

一歩一歩出口が近づいてくる。

自動ドアが開くと太陽の光が差し込んでくる。

し「じゃあ、ここで」

別れの時。いつまた会えるか分からない。

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陽炎【第四章 快楽のその先へ】

陽炎【第四章 快楽のその先へ】

上にまたがり、しずくと見つめ合う。

しずくは攻めるのが好きなのか?攻められるのが好きなのか?

こんなに可愛い美女は幾多の戦歴を乗り越えているに違いない。

想像もつかないようなエロいことも経験してきているんだろう。

たかが一般素人の攻めなんぞなんとも思わないだろう。

それどころか、こいつ下手やな、と思われてしまう可能性だってある。

人生経験豊富なしずくに色々と教えてもらいたいが、そういう

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陽炎【第三章 神の舌】

陽炎【第三章 神の舌】

ふっくらと、しっとりとした柔肌の温もりがタオル越しに伝わってくる。

無言で抱擁を続けるしずく。

ひ「本当に今日も会えてよかった」

なんだろう。不自然だ。

温かさは伝わってくるのに顔が見えない不安からだろうか。
抱擁の静寂に耐え切れなくなったからだろうか。

上手く感情を乗せて話せない。
しずくはどんな顔をしているんだろう。

抱擁を解き、改めて直視。
くりっとした黒目がこちらを捉えている。

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陽炎【第二章 アイスブレイク】

陽炎【第二章 アイスブレイク】

※会話が多くなるためカギカッコのはじめに話者名を表記。し=しずく、ひ=ひろき

し「ええ!!びっくりした!」
それはそうだ。まさか歯ブラシを咥えたまま迎えられるとは思っていない。

一瞬で心を掴むことに成功。誤算は時に良いほうへと導いてくれるものだ。

笑いながら
し「昨日に引き続き二日連続で指名してくれてありがとう!」笑うと細くなる目が愛おしい。

とんでもない。こちらこそありがとうだ。
とんで

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陽炎【第一章 再会】

陽炎【第一章 再会】

「じゃあな!」

そう言って松坂屋の交差点で良一と別れを告げる。
さて、戦いはこれからだ。

キャリーケースをしっかりと握りしめて戦場の地、ムーンブライドに向かう。

Googleマップで改めて場所を確認する。

徒歩5分、どんなことを楽しもうか考えるにはちょうどいい時間だ。

すでに人気な子であることは分かっている。今日も楽しむだけでは印象にも残らない。

“彼女”は疲れているだろう、そう思い通

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