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『The en Shibuya Sillies Street』-23

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「そろそろ……来る頃だと思います」

 先生が小さい声で言うと、机にあったスマホが鳴った。つかつかと机に近づき、先生は無言でスマホをなぞる。誰か来るんだろうか? というか、ホントどうやって探しだすのか。ベッドで横になってる男以外が先生に注目していると、エザキと呼ばれてた男もハッとした顔をして、スマホをいじり始めた。

「埼京線に乗っているようですね。ミヤマさんには引き続き、追跡するように伝えました」

 うん? えっと……尻子玉……を持った彼女が見つかったってこと? なんで? どうやって? 埼京線? 僕の頭にいくつもの「?」が浮かぶ。

「桜庭さん。桜庭さんのように、尻子玉を一部抜かれ、また同じ用に感知できる者は他にもいらっしゃるのです。そして、何かが起これば連絡が回るようになっています。尻子玉を知る者のグループに」

 先生はそういって、いわゆるラインの画面を僕に向かって見せた。

「桜庭さんにもいずれ入っていただく予定だったのですが、まだ時期尚早かと思い、お教えしておりませんでした」

 なるほど。いや、なるほどじゃない。

 尻子玉、ウソじゃないの? マジ話なの? 呆然としていると、エザキという男も、名前のわからない今日の講習相手の女性もスマホの画面をこちらに向けてきた。

 ウソだろ、なにそれ怖い。ライングループ名は、CPAだった。


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