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『The Shibuya Sillies Street』-21

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 だけど、わかったところでどうにもならないよな。

 僕が見かけた、女の子。スクランブル交差点ですれ違っただけの。どこの家なのかも、旅行で来ていたのかも、職場がどこなのかも、なにもかもわからない。どうするんだろ?
 目の前に横たわったままの、なんだっけ、えーっと、マキハラさんを見た。僕が彼にしてるように、彼の眼球は先生のほうを向いていた。同じことを思っているのかもしれない。どうするんだろうって。視線を僕も先生に向ける。

「牧原さん。私の力では、いまここにない。そして、その女性のかたが現在保有している。までしか、わかりません」

「ですが、桜庭さんであれば、近くにあることを感知できるのです。牧原さんの記憶と桜庭さんの力があれば、見つけることは不可能では、ありません」

「えっ!?」

 さすがに声が出てしまった。

 僕がこの人の尻子玉を見つける? なんで? そんなアクテイブな行動したくないって。

 なにしろ僕の取り柄はぼーっとしているところじゃなかったの、先生? それにこの人、喋れも、動けもしないのに、どうするんだろ? やっぱり尻子玉なんてウソなんじゃないの? なにこれ。みんなで僕のこと担いでるのかな……。美味しい話なんてそうそう無いって、よくおばあちゃんが言ってたけどさ。これ、大丈夫なのかな。いままでお金貰っといてなんだけど、どう考えてもおかしいよね、先生。

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