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『The e Shibuya Sillies Street』-22

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 ――ヤバイ。なんで普通に持ってんの?

 埼京線のいつもの混雑に揺られてたら、目に入ってしまった。これセンセ知ってんのかよ、みんなは? スマホを取り出して、グループ部屋を覗きたいけど、混雑がそれをさせてくれない。そもそもオレは、スマホをポケットに入れっぱなしだし、両手はつり革を吊り下げるバーにかけっぱなしだ。変にここから手を下げようものなら、あらぬ誤解を呼びかねない混雑っぷり。

 どうする? どうすればいい? とりあえず、現状把握をしよう。ここは埼京線、5号車、進行方向から2つ目のドアからちょっと離れた場所。その娘はドア付近にいる。えーっと、入線時に番号は見なかったな。時間はーっと、20時ちょい前、もうすぐ池袋入線。 

 え、他に誰か乗ってないかな。乗ってないよな。オレが追うの? ちょっと待ってよ、今日金曜ロードショー見るつもりで、飲まずに早めに帰ってきたのに? あーもう。なんで目に入っちゃったんだろ。でも、オレしかいねぇよな。そうそういるもんじゃないことくらいわかってる。オレだって、あのセンセのグループラインでしか、知らないもん。他に尻子玉のこと知ってるヤツなんて。しかも、尻子玉が一部ないヤツなんて。早くセンセに言わないと、大変なことが起こる。ヤバい、ヤバすぎる。あの娘も、きっと抜かれちゃった人も。

 仕方ねぇ。あの娘がどこで降りるかは、ちゃんと見てなくちゃだ。んで、降りたらすぐ連絡だ。

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