第三十五段 ー虫ー右手の人差し指を、2〜3回軽く曲げながら前に動かす。ーけんかー両手の人差し指を伸ばし、指先を2〜3回ぶつけ合わせる。

ポンコヅ君を見つめ。黙々と食す。

気になって仕方ない。あの術を溶き放つとは、どのような方法で行っていたのと。

袋のほうを見ていて、気が付かなかった。いつの間にか、溶いていた。

やはり、注意して見ていなければ。この者の動向を。まだ、多分目覚めていないはず。無自覚のままに何を、行ったというのか。


ー虫ー

。。 。

 。 。。

。。  。

ポンコヅ君の足元に見え隠れする、黒き白し物は何だ。細く、胴体の半分が黒く半分は白い。小さき虫。

ラウンジチェアの車輪部分から、すすすと這いあがっていったかと思うと、背もたれの隙間から、ポンコヅ君の首元へ。

あっという間もなく、ポンコヅ君がかぶりつくパンとともに、口の中へと、入っていったように見えた。

食べた、のか。

ヤバめ。

私はとっさに立ち上がると、ポンコヅ君の腹にめがけて、拳を繰り出す。

どぎゃん。

ぐへっ。ポンコヅ君が顔を、歪めて椅子から崩れ落ちた。

あまりのとっさの行為に、すべてがスローモーションのように倒れ落ちる。

ーけんかー

。。    。

。   。

 。 。。  。

その場は、不穏な空気がただよう。



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