第四十一段 3/13 ギンヨウアジア わかりません
よろよろとした足取りではあるが、しっかりと挨拶をしてきた娘?
丸い宇宙船のような椅子に、息子ポンコヅ君が寝こけている。
睡眠を邪魔されたのには腹が立つが、まあいいか。久しぶりの来訪者だ。
ひらふわなスカートをはいて可愛い感じの少女風な。石だ。
俺には、ルネ・マグリット風な、人と鉱物が重なって見える。
とりあえず、尋問だな。
目の前の生物の顎をつかむと、見つめる。いわゆる顎クイだ。石にやるとは思わなかったが、
「どっから、来た?何しに来た?息子はどうしたのか?お前は…(なんだ)」
お前はなんだ?と言うのをやめた。
昔の知り合いのように。大事な言葉は、言いきってしまわない。この手の生き物には。
「素敵な乗り物じゃないか、これどうしたの?」
やつぎばやに質問をしまくる。ついでに椅子だろうな物体をこんこんと叩いた。あっけに取られたのか、なかなか質問の答えをくれない、石の生き物は放っておいて。
椅子の周りをくまなく確認しながら、しゃがみこむ。これに、タイヤつけたり、ステアリング。
いやバイクのハンドルかを取り付けてみたい。タイヤ。エンジンをむき出しもしくは、背面部に納める?
「これ、いいね。ワクワクするよ」
椅子の内部まで見渡すと、
「おっと、忘れてた。ポンコヅ?大丈夫か?」
軽く首元に手を、当てみる。
とくーん。どど、ぐしゅ。とくーん。どどっ。ぐにゃ。
内部から、心拍音の他に異音がする。
ヤラれてるのか。懐かしい。これならどうにかなりそうな、取り出せるか?
それとも取り込ませるか?どちらにいたましょう。
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