第三十七段 ひろめく=あちこち動き回る  のたうち回る


どわーつー。

強烈な耳鳴りと、喉にひりついた痛み。と、腹部の殴られた痛みがクロスせり。

喉の痛みは何かが、張り付いて体内へと、押し入っているようで強引な痛みが、突き抜ける。

春のあやつが殴り飛ばしてでも、吐き出せたかったものが、これか。

あいつ、何も言い訳しないから、αお嬢様に強烈に嫌われてるぞ。

がつがつと体内にひろめいていて、くるしい。これが何か、わかっているならどうにかしてくれ。

俺は、耳を押さえなかなから、苦痛に耐え切れさず、ひろめけり。

「…わかっているなら…助けろ…」

どうにか言葉を発するが、誰にむけたものやもしれぬ。

唖然と立ちすくむαお嬢と、倒れたる春の雨が視界から消えてゆく。

気を失いそうだ。


君とわれ いかなることを 契りけむ 

昔の世こそ 知らまほしけれ

よみひとしらず

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