【閑話】滅びの歌よ、我に速やかに安寧を与えんことを
私はトレーラーにはねられた時、両足をガードレールに巻き込むようにして両足を開放骨折したのですが
今思ってもよくもまぁトレーラーにぶつけられて両足の骨折で済んだな
って常々思います。
当たりどころが悪ければ、歩道に投げ出されずトレーラーの下や後続車に巻き込まれていたら、夜だったら、ガードレールがまだ続いていたら。
思い出せばまだゾワゾワしますが、本当に生命があって、右足も繋がった。
大きい強運の上に生きてるんだって。
しみじみ思います。
しかし治療はハードでした。
そら皮膚から骨まで弾け飛んでるのを保全して形成して骨も皮膚も移植して・・・。
キツかった。
泣き言を看護師さんや家族に八つ当たる訳にはいかず、グズグズした負の感情は私を内部から破壊するには十分でしたね。
治療なんだから、拒絶したら余計痛いのも辛いのも長引くだけなので、「やっちまって下さい」と言いながらどれだけ歯を食いしばったか。
痛いのは嫌だというのに針はブスブス、酸素チューブを鼻に挿し続けるのも気持ち悪いし、点滴で腕から採血できない時は鼠径部から採取するんですけど、鼠径部って柔らかいし力が入らないのでマジで痛い。遊離皮弁術の後は手術台に接していた右の臀部が擦り傷で発熱して、一睡もできず泣きながら朝を待ったり、飲水制限で襲い来る渇きにナースコールを握り潰す勢いだったし。
肉体は回復が進んでいるかも知れない。
でも、心が、精神がズタズタでした。
母から「あんたの顔はタヒんでる」とバッサリ言われ、「だろうね」と、何の捻りもない生返事しかできなかった。
腹の中で練り上がるどす黒いものは、ガリガリと頭蓋骨を引っ掻き、やがて加害者への呪いの言葉と成り果て「56してやる」と怨みへ変わりました。
テレビはカードを使うのであまり見なかったため、入院中気晴らしになるのはスマホでした。
プレミアム会員だったので動画サイトに入り浸っていました。
果てない動画の中には、聞く麻酔などヒーリング音楽も多く、効果はさておき縋りたくて、ずっと音を聞いてました。
痛みは消えはしませんでしたが「音」があると気が紛れる事には気付き、好きな歌を歌えば、空気が抜けていくような安堵感を覚えたのです。
ギリギリした痛みに苛まれ、消灯しても薬を飲んでも眠れない。
悔しくて、悲しくて、痛くて、苦しくて。
そんな時にスマホから流れてきたのが、Adoさんの「逆光」
消灯後なので声を出さないように、逆光を歌った時。
散々な思い出は悲しみを穿つほど
やるせない恨みはあいつのために、置いてきたのさ
どうどうと涙が溢れ、ドロドロした腹の中の黒いものが流れ出ていったような気がしました。
その次が「Tot musica」
滅べ、みんな壊れてしまえ、ちくしょう何で私がこんな目に!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そんな思いを乗せて、また口パクで歌った時。
グズグズしたものが、崩れていくような気がしました。
腹からどす黒いものを吐き出せるような曲に出会えたのは幸運だったかも知れません。
叫んだり泣いたりさらけ出せなかったのを、こうやって開放する方法が、この時は歌だったのです。
入院中の9月には「唱」がリリースされて、これも歌って覚えて。その間は怪我の状況を忘れていられました。
加害者はというと、入院して二週間目くらいに弁護士を通じて謝罪を申し入れてきましたが私が「顔も見たくない!」と拒絶して以来何のアクションもないですな。
どういう顔をしてるのかは知りませんが、会った瞬間その顔を変形するまで殴りつけそうなので、まだまだ謝罪を受ける気にはなりませんわ。
この変形した右足は私がタヒぬまで傷も消えずこのままでしょう。
だから加害者への感情も、タヒぬまで消えないでしょうね。
それをこれからの生涯抱えて生きねばならんのですよ。
私は歌うのは好きですが、人様に聞かせられるものではありません(真顔)
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