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地方都市おばさんの就活。その1 「老婆は見苦しい」と言われた当時45歳の私の面接とその後

東京から地方都市にパートナーの都合で転居。
東京発着で添乗の仕事をしていた私はとりあえずここで仕事を探そう!と。

旅行関係の仕事をしてきたから空港、ホテルが良いのではと。

ハローワークに登録。
仕事を探して某航空会社系列のホテルのコンシェルジェ兼フロント業務に応募。
ハローワークの方が企業に電話をして簡単な履歴を口頭で説明し面接に来るようにと。

フィレンツェのマックスマーラでセールで買った黒のスカートスーツで面接へ。

フロントで面接に来た旨を伝えると、人事の者が参りますとのことでしばし待つ。

フロント脇で待っているとおじさんがやってきた。


第一印象。
ネクタイにたいへん大きなシミが・・・。かなりフレッシュなでかいシミ。
真夏でもないのにジャケット無しでシャツに染み付きネクタイ、センタープレス無し、ひざの出たよれよれパンツ。

オフィスに案内されると「ハローワークからの紹介だから断れないんだよね。あのね、あなたみたいな老婆がホテルのロビーをうろうろすると、せっかく宿泊に来たお客さまがあなたを見ただけでいやな気持ちになるんですよ。45歳でしょ、あなた」

「はーーっ?!」私の心の声。驚きすぎて心臓がどきどきした。
怒りのどきどきかな。

「年齢では断れないから面接に呼んで頂けたということなのですね?
履歴書の時点で45歳は老婆ということを確認されたのですね?」

「そうです。20代の子しか求めてないんですよ、うちもお客様も」

「わかりました。履歴書返してください。あなたが今、私に言われたことはハラスメントにあたることは認識されていますか?」

「いや、とにかく不採用なのでお疲れ様でした」と。

面接時間は5分もなかったかな。私の顔はチラ見くらいはしただろうけれど
目をみることは一切なく、じじいも私も席にもつかず立ったまま。
じじいはずっとうろうろ歩きながら。

まー、いやだったんだろうなー。45歳の老婆は。

じゃー「断れない」ハローワークで募集すんな。

おまえが不採用にした私は次回、おまえんとこのお客様になることも想像できないのか。

現在の私は56歳。お世辞ありで40代に見えると言われる。
お世辞ありで同じ歳だと思ったと48歳の女性に言われた。

当時、45歳の私はその後のある派遣会社の登録会で説明してくれる会社の人に
20代だと思われた。
これはまっさらな真実。
もともと童顔なので40代半ばくらいまでは若く見られたんだと思う。
今は、もうきっちりおばさんになったけど。

私の劣化速度は早かったけど、45歳の私は「老婆」と呼ばれるのには少し早すぎたと思う。
江戸川乱歩の本には「白髪の40代の老婆」みたいな文章があったけど。さ。


帰宅。
ホテルの親会社の航空会社に面接の詳細を書いて「あのような方が人事で大丈夫ですか?私、このこと老婆仲間100人に話しますね」とお手紙。
少しブラックメールっぽかったかな。
怒ってたから。腹立ってたから。

書いた人はもちろん違うだろうけど、当時の航空会社の社長の名前でお詫びの手紙が来た。紋切型のものではなかったけれど私はその航空会社を使うことは他社の便がない限り可能な限り避けるようになりました。

その後も私は懲りずにホテル、接客の仕事を探すことになります。


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