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苦しみと芸術。不協和音が好きだった。

はじめに

今日はいつもとは違う雰囲気で。
この記事は、宣伝しない。#も付けない。発信せずともこの記事に辿り着いた私と深い関わりを持つ人だけに届くように。

草間彌生の世界観

草間彌生美術館に行ってきた。


彼女の個展には過去にも何度か足を運んだことがある。アートに縁がない私にも、彼女の作品は共感する部分があった。

「四六時中絵を描いていないと自殺しそうで大変なのです」この言葉の通り、彼女の作品の裏側には死があった。
彼女のトレンドマークである水玉模様。このポップな模様の背景には、強迫性障害によって見えた幻覚の水玉が秘められている。

美術館に入って一番初めに通る場所。
彼女自身が作詞作曲し、彼女自身が歌った映像作品が展示されている。

〈マンハッタン自殺未遂常習犯の歌〉
抗鬱剤のんで去ってしまう
錯覚の扉撃ち破る
花の煩悶(もだえ)のなかいまは果てなく
天国への階段 優雅(やさし)さに胸果ててしまう
呼んでいるきっと孤空(そら)の碧(あお)さ透(す)けて
幻覚(まぼろし)の影 抱擁(いだ)きわきあがる雲の色
芙蓉(ふよう)いろ食べてみて散るなみだの音
わたしは石になってしまう
時 永遠(とこしえ)でなく 自殺(は)てる 現在(いま)は

暗闇の中、真っ赤な衣装で歌う短い動画。
マンハッタンという大都会と『天国への階段 優雅さに胸果ててしまう』の歌詞がリンクするように感じた。
この部分の歌詞は、個人的に共感する部分がある。行き先が天国であること以外は。

私の目に見える草間彌生の作品は、死や苦しみという暗いワードが、明るさに包まれていた。だからこそ、彼女の世界観に惹かれるのだろう。

芸術の中の苦しみ

草間彌生の描く行為は、私にとっての奏でる行為だった。
と言っても、彼女のように音楽に人生を捧げたわけではないが。

芸術家には苦悩家が多い。苦しみが生み出す曲はその人にしか出せない美しさがある。彼らの曲を弾き、苦しみの中に入り込むことで自分の苦しみが浄化される気がしていた。そして、そこに救われた部分は大きい。

私の一番好きな和音 "#9th"
危険で不気味な香りがする不協和音である。この和音単体では。
ジャズで聞く機会が多いのだが、曲の中でのこの和音は美しい。単体での不気味さを上手く発揮し、曲中ではエモさを醸し出す。

そんな存在になりたかった。
単体での歪さを隠し、集団の中で美しい存在でありたかった。
そのために、組織に入り自分の役職を演じ切った。今もそれは変わらない。

独りの人間としての自分

単体としての自分は、集団の中の一部分である時とは掛け離れている。

だからこそ、隠したかった。
それを表に出し、悲劇のヒロインのような美しさを得ることは望んでいなかった。
自分にしか開けることのできない、特殊な箱の中に閉じ込めておきたかった。

文章が全て過去形なのは、自分がそこまでの強さを持ち合わせていなかったからである。
その後悔と、少しの希望を未来に託す。いつも通りの、書き殴りの文章と共に。


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