TAB譜について

 AKARI MUSIC WORKSの初回のレッスン(無料です!)は、カウンセリング的な意味合いもあるのですが、その中ですべての方に伺っているのが “楽譜は読めますか?”という質問です。もちろん、レッスンを始める上では楽譜が読めなくても全く問題ないのですが、ギターやベースの楽器経験がある方からは“五線譜は読めないけどTAB譜は読める”という回答を頂くことが圧倒的に多いですね。そこで今回はTAB譜をテーマに書いてみました。TAB譜はメリットもあればデメリットもあります。TAB譜は読める!という方も是非御一読ください。

・ TAB譜とは?

 ググればなんでもわかる時代ですが(笑)、一応ここでもさらっとTAB譜の意味と読み方を説明しておきますね。TAB譜はギター&ベースを演奏する際に、押さえるべき指板上のポジションを示す表記方法です。横線が弦に対応していて、線の数は弦の数だけあります(一般的にはギターは6本、ベースは4本ですが、最近は多弦の楽器も増えました……)。横線は上から1弦、2弦……と並び、音程の高い弦ほど若い弦番号です。言い換えると、音程が高い弦は細い弦であり、楽器を構えたときに物理的に最も下(低い位置)になるのが1弦です(結構、間違えてる人が多いです)。そしてTAB譜の横線上に表記される数字が押さえるべきポジション(フレット)です。0と表記されているのは開放弦といって、押さえずに弾きます。

・ 日本式と欧米式?

 日本の出版社が発行しているギター&ベース専門誌やバンドスコアに掲載される楽譜は五線譜の下にTAB譜が表記され、TAB譜にはポジションだけでなく、音価(音の長さ)も表記されているのが一般的です。“音価”と書くと難しく感じますが、4分音符とか8分休符とかのアレですね。具体的にはTAB譜上のポジションを示す数字に旗や棒を付けることでそれぞれの音価を示し、2分音符や全音符は数字を丸で囲い、休符は五線譜と同じ記号を用いる、といった具合です。TAB譜を見ながら演奏する際には、(音価が表記されているので)五線譜を見ることはないのではないかと思います。
 一方、海外のサイトやバンドスコアでは音価が表記されていないTAB譜も散見されます。この場合、五線譜が併記されている場合は五線譜で音価を確認できますが、そうでない場合は“自分で音価を考える”というスタンスになりますね。

・五線譜 vs TAB譜?

 ここで“五線譜は読めないけどTAB譜は読める”という自覚がある方にちょっといじわるな質問です。

 “本当にTAB譜を読めていますか?”  

 実は“TAB譜でポジションだけ把握して、音価やタイミングは雰囲気で弾いている”なんていう方も多いのでは(笑)?音価をきちんと把握して演奏することはとても重要ですので、その方法論などはまた別の機会に書きますね。
 音価が表記された日本式(?)のTAB譜が読める方は、五線譜とTAB譜の違いは音程の表記方法だけですので、もうほぼ五線譜も読めるのではないでしょうか?この機会に是非、五線譜にも目を向けて読譜にチャレンジしてみてください(この方法論も別の機会に(笑))。

・ TAB譜のデメリット

  TAB譜には音名やコードを把握しづらいというデメリットがあります。フレーズをコピーするだけなら問題ないかもしれませんが、音名やコードがわからないとコードに対するアプローチやスケール的なアプローチができません。つまり応用が利かず、音楽的なバリエーションも提示できないので、セッションに参加したい方やオリジナル楽曲を演奏したい方は、早い段階でTAB譜に頼り切った演奏から脱却するべきです。また、バンド演奏する際は楽曲の構成(サビが何回とか、間奏は何小節とか)を覚えることが不可欠ですが、TAB譜だけを追いかけるよりも、サイズ譜(リードシート。楽曲の構成が一目でわかる楽譜)を俯瞰し、コード進行を把握したほうが圧倒的に有利です。

・ TAB譜と五線譜指板図も活用して……

 とはいえTAB譜はあまり音楽経験がない方でも把握しやすく、楽器演奏に対する敷居を下げてくれる頼もしい存在です。また、例えば4弦ベースの場合、3弦開放と4弦5フレットは同じ音程のA音ですが、厳密には音色が異なるのでポジションを付記することなく指定できることはTAB譜のメリットでもあります。音楽的なアイディアは聴覚だけでなく、TAB譜や五線譜、さらには図形的に把握する指板などの視覚からも得られることがあるので、どれも優劣を付けずに上手に活用するのが良いのではないかと思います。

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