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『あかり』介護保険外自費サービスを利用して得られたアウトカムを紡ぐ~⑤

高齢者の運転免許返納時期の難しさを抱えているご家族は少なくないと思います。これまでいろんなケースがありました。自分の実父のケースでも、とてもドラマチックな運びがありました。それはまたの機会に紹介するとして、今日は今取り組んでいるケースをお話ししましょう。
お若いころから自営業を営み、外交的で教養レベルも高い方です。当然、お付き合いや趣味、買い物などを楽しみにされていてとてもおしゃれです。
慣れ親しんだ生活動作は行えますが、直前記憶力が著しく低下しており5分前の来客も覚えていません。平日毎日のデイサービス利用とその送り出しを自費サービスで行い、なじみの独居生活を継続されています。デイサービスは『仕事』に行っていると思っています。自由に起居動作や移動ができるため、ほかの利用者さんの面倒をみに行っているつもりです。主治医は、運転免許を返納したら認知症薬を処方しましょう、とおっしゃってくれています。『運転できなくなったら何もできない。いやだわ。』と拒んでいらしていましたが、2週間ほど前に偶然ですがスポーツタイプの自家用車のエンジンがかからなくなりました。そして運よく通っているデイでは買い物レクという取り組みがあります。デイのお昼休みに職員さんが付き添ってくれて、徒歩2分のスーパーまで買い物に連れて行ってくれるのです。週の半ばにこのサービスを利用し、自費サービスで週末には買い物や食事に連れ出すことにしました。
最近、一緒に食事に行った際『また連れてきてね。おしゃべりして楽しかったわ。そうしたら車が乗れなくても大丈夫な気がする』とおっしゃってくれました。もう一歩でうんと言って下さるかもしれません。そうご家族に報告をさせていただきましたら、「タイミングを逃さぬほうがいい」と仰り、今週末は娘さんが帰省しドライブやお食事に連れて行って下さることになりました。そして車は依然エンジンはかからず、あんなに好きだった運転を見合わせています。
免許返納を再度提案してみるタイミングまで、もう少しかもしれません。現状この方には毎朝30分、自費ヘルパーがデイサービスの送り出しのお仕事に入っていますが、見覚えある顔、信頼できる人が訪ねてくれることで寂しさや不安が少し和らいだり何気ない会話を愉しみにしてくださっている様子です。3人の援助者が情報共有しながら対応させていただいています。これからも、本人の望みや思い、日常の生活ニーズを把握し自家用車がなくても不自由なく愉しみがもて、充実して暮らせるようサービス提供をしていこうと思います。
なんだかもう、ほどなく目標達成できそうな気がしてきています。

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