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東京帰りに寄ったお医者の話

先日、友人とバンドのツアーの思い出を話していて
蘇ったこの記憶を記しておく。

6月の東京でのライブを終えて
大阪への帰路。
東名高速下りの足柄SA(サービス・エリア)2階の
ある医者に世話になった話だ。

クルベラブリンカは、東京からの帰りにこのSAに寄って、深夜に楽しく夕食を取るのがお決まりの流れだった。

だが、この日私はメンバーの皆と別行動を取り
独り施設の2階へ向かった。

どうしてもドクターに会う必要があった。
それほど重症だった。
心が折れていた。


ドクター 「今日はどうされました?」

赤尾 「実は・・・楽隊のメンバーへの支払いができません。素晴らしい演奏をしてくれたのに・・・」

ドクター 「ほう、それはお辛いですね。収益がなかったのですか?」

赤尾 「なかったわけではありませんが、演奏会の切符が思ったほど売れなくて・・・」

ドクター 「捕らぬ狸の何とかですな。人間には良くあることでしょう。」

赤尾 「我々のお客様は狸ではありませんよ、先生。」

ドクター 「これは失礼しました。ま、私は魚ですので。」

赤尾 「私もお魚になりたい。」

ドクター 「そんなことを言ってはいけません。魚だっていろいろあるんですから。 
で、とにかくお困りごとを解決しないといけませんな。
あれはどうだったんですか? 
切符以外に、演奏会では様々売っているではありませんか。
レコードやカセット・テープや、
そうそう、ブロマイドは売らないんですか?」

赤尾 「あっ!! そうでした、先生!
私たち、ブロマイドは売っていませんが、レコードやTシャツを売っています!! その売り上げがあることを思い出しました!! 
あぁ、先生ありがとうございます。」

ドクター 「そうですか! いや、それは良かったですな。
では、早く楽隊の皆さんのところへ戻って、お支払いを済ませて、明るい気持ちで大阪へお帰りになることです。」

赤尾 「そうします! 先生、本当にありがとうございます。」

ドクター 「あ、先ほどのことわざですが、こういうのもありますよ。
『当てとふんどしは前からはずれる』・・・。」

赤尾 「もう、先生ったら、やだ〜〜〜♪」