R5年 第二回杉並区議会定例会 一般質問①
杉並区議会議員のあかねがくぼ舞です。
R5年、第二回杉並区議会定例会にて一般質問をしました。
一般質問の全文と答弁内容を掲載します。
動画でも確認できますので、よかったらご覧ください。こちらの内容に関して、区長答弁もありました。
http://suginami.gijiroku.com/voices/g07_Video_View.asp?SrchID=8366
まずは、高齢化が進むにつれて、大きな課題となってくるであろう、移動困難者の移動支援について質問しました。
【一般質問】
75歳で介護度2の男性から、移動支援拡充についてお話を伺いました。その方は、年金をおろしに銀行にいくとき、薬をもらいに病院にいくときなど、ご自身の体のこともあり、移動にはタクシーを利用しているとのことです。しかし、タクシーなどの移動支援がないため、年金がタクシー代で消えていくとのお話でした。日々の街頭活動の中でも杖をついている方、手押し車を押して歩いている方をよくお見かけします。
杉並区の高齢者人口ですが、令和5年1月1日時点、杉並区の総人口570,786人のうち、65歳以上の高齢者人口は120,191人、高齢化率は21.1%、75歳以上の後期高齢者割合は55.5%です。なお、杉並区は同規模自治体に比べて高齢化率が低い一方、後期高齢者の割合は高いです。また、介護保険サービス等を受ける心身状態にあると認定された人は25,416人、認定率は21.0%で、杉並区は、高齢化率は低いですが、要介護認定申請者が多く認定率は高くなっています。区内でも、高齢化が令和7年(2025年)以降、進行していくことが予想されています。 高齢化が進むと、要支援、要介護のリスクも上がります。高齢になっても外出・移動しやすい環境を整備することが早期に求められます。
こうした認識のもと、移動が困難な状況にある方への支援策について、確認します。現在、杉並区内での移動困難者への移動支援としては、杉並区心身障害者福祉タクシー利用券や杉並区リフト付きタクシー補助券の交付、自動車の燃料費の助成制度など、障害者向けの外出支援の仕組みがあります。そのほかにも、1人ではバスや電車・タクシーなどの公共交通機関を利用することが難しい高齢者や障害者の方が、会員登録して利用できる福祉有償運送がありますが。
①こちらはどのような支援制度か、確認の意味を込めて同制度の概要についてお伺いします。
② またこの福祉有償運送事業を、どのように周知しているのか、お伺いします。
現在の杉並区の公共交通は、東西の移動は鉄道がメインで、JR、京王電鉄、西武鉄道、東京地下鉄の5路線、南北は路線バスがメインで、都営・関東・西武・ 小田急・国際興業・京王 の6社があります、また、杉並区のコミュニティバス
「すぎ丸」があり、阿佐ケ谷駅と浜田山駅、浜田山駅と下高井戸駅、西荻窪駅と久我山駅を結ぶ3路線で、各路線、1時間に2−4本程度の運行となっております。その他にも、福祉輸送事業を含めたタクシーや、自転車と電動キックボードのシェアリングサービスがあり、一定の交通環境は整備されていると認識しています。しかしながら、今後移動に困難をかかえる方が増えていくことが予見されており、区内にも交通が不便な地域も実在します。
③ 区として、更なる高齢化の進展等を踏まえた地域交通に関する課題認識をお伺います。
他の自治体の取り組みの一つとして、群馬県前橋市では、移動困難者対策としてマイタク(でまんど相乗りタクシー)の運行を実施し、前橋市内のタクシーを利用された際、運賃の一部を前橋市が支援しています。こちらは、身障者だけでなく、75歳以上の高齢者、免許を返納した方なども対象です。
杉並区では、新たな交通サービス「グリーンスローモビリティ」の試乗会を令和4年3月に、実証実験を令和4年11月に行いました。「グリーンスローモビリティ」は 時速20キロ未満で公道を走ることができる電動車で、これまで全国100以上の地域で実証実験が行われています。今回の実証実験の運行ルートは荻窪駅西口が出発地で、区内の観光名所・大田黒公園や荻窪地域区民センターなど5つの停留所を経由し、最後は荻窪のすずらん通り商店街を通って駅に戻る、およそ3キロのルートで、30分かけて運行しました。
④ 改めて、グリーンスローモビリティ導入の目的と、この実証実験で得られた成果や課題、区民の反響を伺います。
⑤ また、区として、移動困難者の移動支援をどのように進めていく方針なのか確認するとともに、今後の計画についてお伺いします。
【答弁内容】
①高齢や障害により1人では外出が難しい方を支援するために、国に事業を登録したNPO法人や社会福祉法人等が車両を運行するサービス。使用する車両は、福祉車両と福祉的な装備のない一般車両があり、利用する場合には、あらかじめ事業を実施する団体に登録が必要。提供されるサービスは、車両の運行のほか、希望により乗り降りの介助や目的地での付き添いなども行い、運賃はタクシー料金の半額程度。
②事業の周知については区が委託する杉並区外出支援相談センター(もび〜る)のホームページへ掲載するほか、同センターが発行するガイドブックを区役所の障害者政策課・介護保健課の窓口や、地域包括センター(ケア24) 、障害者地域相談支援センター(すまいる)などで配布。
③〈区長答弁〉フランスパリの15分都市を筆頭に世界の各都市ではアフターコロナの生活圏モデルとして、徒歩・自転車・公共交通により、15分や20分圏内で市民がすべての生活サービスにアクセス可能とする都市政策が広がっている。この共通哲学としては、一生涯の移動を保障する交通権に加え、環境や安全性等への意識の高まりを背景に、街を車から人に取り戻すことが根幹にある。加えて、道路の低速度ゾーン設定で街をデザインするなど、ゆっくりであることを基軸とした政策展開とともに、あらゆる人を包摂したまちづくりが進められ、人々が五感で落ち着ける、穏やかで心ときめく都市空間が形成されている。私は杉並区でもこの15分都市のような都市政策を参考にして、人生100年時代の健康寿命社会に向け、移動の安全性・利便性の向上に取り組む必要があると認識している。この間の区民との対話の中でも、交通不便地域を対象として、移動に関する課題があがっており、とりわけ、高齢者等の移動困難者については、健康づくりや生きがいづくりという視点で、まちづくりの面から支えることができないかと考えている。また、区民の移動のしやすさを高め、社会参画を促す意味でも、現在導入・検討を進めている、クリーンスローモビリティーのような新たな移動手段への取り組みは、まず外に出かけるきっかけ作りになると期待している。
そして出歩きたくなるような街の魅力を高め、歩きたくなるウォーカブルなまちづくりをすることで、区民の健康づくりにもつなげていくとともに、施設や道路などのハード整備と移動支援を有機的に展開し、人中心で包摂的なまちづくりに注力したい考える。
④グリーンスローモビリティーは、誰もが気軽で快適に移動できる地域社会の実現を目的に、令和6年の仮称荻外荘公園開園を見据え、荻窪地域での導入・検討を進めている。昨年11月に荻窪駅南側地域で実施した実証実験では11日間で延べ566名が乗車し「開放的でワクワクして楽しかった」「乗り心地が良かった」など、今後の本格運行を期待する多くの声をいただいた。次年度からの運行開始にあたり、安全な運行体制や事業性の確立等の課題を踏まえ、運行事業者の選定等に取り組んでいる。
⑤今年3月に地域交通のマスタープランにあたる杉並区域杉並区地域公共交通計画を策定し、交通政策の方針・ビジョン・政策を示した。今後は本計画に基づき、超高齢社会やデジタル社会の進展等を見据え、移動困難者を含め、区民一人ひとりの移動を生涯にわたって支えられるよう取り組みを進めていく。
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