不器用な画家 第08話「ジョンレノン」

地元の野外フェスにて

ステージで歌を歌っている人、DJブースもあったり、お店やさんもあった、みんなお酒を飲んでたり、踊ってたり、トリピー(地元のゆるキャラ)がチャリこいでたり、楽しい感じだった

その中で

自分より大きな板に絵を描いている人が何人もいたのだ、そこで僕は、それを初めて見て、それを初めて知ったのだ

「ライブペイント」というものを

そのライブペイントをしてる人たちの中でも、気になる人がいた、絵柄が好きって訳じゃなかったが、なんつーか、すげえ楽しそうに描いていて、なんだこいつ、と思った

女だ、年上の女だ、その女をM子さんと呼ぶことにする

M子さんは
ニヤニヤしたり
酒を飲んだり
シャボン玉をしだしたり
そして絵を描いていた

僕は気持ち悪くも、M子さんのライブペイントをずっと見ていた

わかんないけど「なんかすげえ」それを感じた

僕は思い切ってM子さんに声をかけた

「あの…僕も絵を描いてるんですけど…」

なんて声のかけ方だ、シンプルではあるが、自己中心的、手前ェが描いてる絵なんか知らねえよと、今の僕なら思うだろう、そんなことを言われちゃあ、僕がどんな絵を描いているのかってレスポンスをするしかないだろうよ、よって、M子さんは次にこう言うだろう「どんな絵を描いてるの?」とな

「どんな絵を描いてるの?」
とM子さんは言った

ほらな!!!!

僕は携帯をとりだし自分の絵の写真を見せた

「へ~、いいじゃん」
とM子さんは言った

ベターなレスポンスだ

「ありがとうございます」
と僕は言った

きっと僕は誰かに自分の絵を見せたくてしょうがなかったんだろう、生意気ながら

そんなところから、なんやかんや話をした

M子「活動とかしてるの?」

僕「まだ描きはじめたばかりで、そんな、ぜんぜん、なにもしてないです」

M子「人に見せないの?」

僕「まだ、見せたりとかはしてないです」

M子「歌わないジョンレノンはジョンレノンじゃないよ」

僕「はあ…(?)そうですね!」

ぶっちゃけ例えがよくわからなかったが、言いたいことはわかった

僕は思った、僕は僕の絵を見せたい、と


そんなこんなでイベントも終わり

帰り際にM子さんがメールアドレスを教えてくれた

僕は「ヤッター!!」と心の中で叫んだ、女子のメアドをゲットしたからというんじゃなく、純粋に絵描きさんと知り合えたからだ

このイベントで、僕は「ライブペイント」というものと出会い、ひとりの「絵描きさん」と出会い、自分の中の絵を見せたいという「感情」に出会った

そして

次の日に僕はホームセンターに行き、90×180cmのコンパネを買って、中学の時の水彩道具を引っ張り出して、大きな絵を描いた、3日かけた、大きな絵だ

その時の絵だ

「自由と女神」ってタイトルつけた

初めて色をつけて、色をつける楽しさを知ったし、なんというか、描いてる時、今までで最高に気持ちよくて、自分の中にあった描きたいという衝動を確かに感じた

そんでもって夏は終わった

何かが、はじまった気がした

つづく!!!!!!!

第08話「ジョンレノン」











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