不器用な画家 第04話「プレゼント」

「元気になったらプレゼントあげるね」

その言葉に動かされたのか、なんなのか、わからないけど、僕はズ~ンとした日常から脱出していった、元気になったというか、なんかもう全て吹っ切れてしまったような

この頃から、今までキャラじゃなかったのに、死にてえ~!とか、セックスしてえ~!みたいな発言を、なんの抵抗もなく言うようになったり、派手めな服を着るようになったり変な髪型になってしまったり、第2の僕が始まったみたいな、誰なんだ僕は?みたいな、むしろこれが僕だった!みたいな、そんなのが気持ち悪く、そんなのが気持ち良かったりもした

それはさておきだ

まあまあ元気になった僕を見て、約束通りプレゼントをあげるねと、パンダちゃんに呼び出され、僕は、オラ、ワクワクすっぞ!というテンションで、パンダちゃんに会った

車の中にて「はい、プレゼント」って、包装紙に包まれた薄くて大きめのプレゼントを渡された、僕はお礼を言って、それを開封した、目の前に本人がいるから、気を使ってビリビリと破かないように、ゆっくりと、女の子を扱うように、それはそれは優しく、プレゼントの包装紙を脱がしていったのだ

出てきた出てきた…

それは

新品のスケッチブックだった

「は?」ってなった

実際は2秒くらいなんだろうけど、体感では5分くらいはポカーンとしてたと思う

パンダちゃんは言った
「絵、描くんでしょ?」

あれ?なんで…、僕はパンダちゃんに絵を描いてるなんて言ったことがなかった、っていうか、めちゃんこ、たまーに気が向いて絵を描くことはあったけど、それは趣味にもならないレベルだったし、そもそも「絵を描いてる」って言う程のものではなかったから、なんでだ?と思った

だが

僕は自分の描いた絵を1枚、なんとなく部屋に飾っていた、別に上手くもないし、色も塗ってないし、よくわかんねえ変な絵を、僕は、なんでだろうか、飾っていたのだ、そう、飾っていたのだ

いつかパンダちゃんが僕の家に遊びに来た時に、その絵を見て、僕が絵を描くのかと思ったのか、それでスケッチブックをプレゼントしてくれたんだと、そのプレゼントチョイス、ぶっちゃけ意味がわかんなかったけど、純粋に嬉しかった

僕は改めてパンダちゃんに「ありがとう」と言った

パンダちゃんは「これに絵、描いてね」ってスーパー笑顔で言ってくれた、中身は白紙だけど、めちゃんこ中身の詰まったプレゼントであった



そして僕は思った

また、スケッチブックか…

また…

第04話「プレゼント」


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