次世代の始まりの物語 『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The STAGE 中等部- Regalia』感想

※『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The STAGE 中等部- Regalia』のネタバレを含みます


ついにやって来たスタリラ中等部舞台。

Delightにてサプライズ的に登場した中等部は、スタリラゲーム中でのストーリー実装、演者たちによる様々なプロモーションを経てついに自分たちのタイトルを冠した舞台に上がることとなった。

そんな中等部舞台Regaliaの感想を、特に語りたい部分について語っていこうと思う。全てのシーンについて何かしら語ることはあるが、あらすじ全体をつらつらと述べることにあまり意味はないからだ。

なお、私は15日昼(ゲストは小山百代)と24日夜(ゲストは佐々木未来)をスイッチング配信で、19日の夜公演(ゲストは倉知玲鳳)と24日昼(ゲストは佐々木未来)を現地で鑑賞している。

また、この感想は語彙力を時に失っていくスタイルである。

■開演まで
大道具として、階段がほとんどないことにまず驚く。
スタァライトの舞台といえば、階段で舞台上部と下部を分けた構造が印象的だった。特にDelightではほとんど全面に階段が配置されており、さらに印象付けていた。
それと比べるとRegaliaは上手側に小上がりがあるくらいで、ほとんど平坦な構造。
そして驚くのは最前列と舞台の距離。想像よりもずっと近い。これは飛行船シアターという劇場の特徴と言えるだろう。


序-ステラの闇

オペラの独唱から、舞台を止めてしまった瞬間をコロス達が描きだす。衝撃的な開幕である。
ここでステラの圧倒的な歌唱を見せることが、のちのシーンすべての説得力に繋がっていくと振り返ってみて思う。

中等部の朝

中等部の朝のシーン。自己紹介のプレコールをどうやるのかと思ったら、自由気ままなみんくが突如点呼を自己表現のショウタイムへと変える。そして、最後に登場するとステラと詩呂はここで「一人の演技はしない」。

その後、ロミオとジュリエットの実技のシーン。
よりシルエットを男性的に見せるため、足を大きく広げて立つクイナやみんく。異性を演じる上での大事なところである。
役に入るために頭に手を当てるクイナの仕草がとても良い。
19日に鑑賞した際は前方席だったのもあり、ステラの演技に圧倒されていくクイナの表情がよく見えた。

その後、みんくと良子の演技では、みんくのフリーダムさが目立つ。シェイクスピアでアドリブを入れていく自由さは、普通に先生に叱られてしまう。ここでも思ったのは良子の特徴的な声。アニメ的な声なのが舞台で生きているなぁという実感があった。

最後の演技は詩呂とステラ。ここのシーン、改めて考えると結構すごいことをやっていた。
基本的に、「舞台前方と後方」では、前方にいるほうが視線を集められる。しかし、詩呂は迷わず後方から演技を始めた。その上、後方から演技をしてしっかりと存在感を出し、最後にはステラにすべての視線を集める……そういう演技プランを成立させるには相当な実力が必要で、晶に後に言及される「隠している実力」はこの時点で示されていた。

みんくの安定感

海辺みんくには、圧倒的に『自由』がある……
みんくはとても細かい動きが多く、また日替わり要素も担当したりととにかく自由。
そんなみんくが『目的』を見失う、という中々に重いシナリオでもあった。

声の演技に定評のある良子

朝のシーンでも触れたが、良子を演じる深川瑠華は、舞台上の「声の演技」という意味では頭一つ抜けている感じがある。Delightでの登場時も特徴的な声質からかなり存在感があると思ったし、Regaliaでも携帯電話の一人芝居を見事に演じている。
特に携帯電話はあまりにも自然すぎて、逆に舞台の感想で誰も言及しなかったレベル。

アフレぐな片鱗

大講堂で詩呂を相手に怒るステラ。
イベントストーリーでも愉快さは示されていたが、
コミカルで活発な動きは、アフレぐPVのアニメで「ちょっとくらいのミスでビクビクして〜」のパートで不思議な踊りを踊るステラと重なり、「このステラはあれを踊る」という納得感があった。

クイナの激情

本作ではステラへのライバル心やみんくへの怒りといった感情の幅の大きいクイナ。
全体的に、15日の配信の時よりも19日の方がクイナが自分の感情に振り回されていたように見えた。そして24日は感情の出し方の強弱を意識するような形。
より良い演技のために試行錯誤していくのが見え、舞台が生き物であることを改めて実感した。

日々進化中

細かい演出が変わっていくのが印象的だった。
先述したクイナの感情もさることながら、
例えば、19日と24日ではクイナ達の学校設備紹介の入り方が変わっていたり(より廊下の長さをイメージさせる演出に変わっていた)、大講堂のステラの演技が変わっていたり。

更に、24日の配信では15日とカメラワークが変わっていたりした。少しずつバージョンアップしている。

メイファンと日替わり

ゲストとの日替わり要素を一手に引き受けたのがメイファン。他校の先輩に
「ただ心のおもむくままに」
「雪代晶のようにならなくていい」
「肩書きなど忘れて、ただ思うままに」
それぞれの言葉で、メイファンを激励していく。

キャスト発表時は静羽との絡みでDelightの時のような掛け合いが繰り広げられたりするのかなとも思ったが、最終的には一番「変わらない」ものだった。初演と千秋楽を担当するから当たり前とも言える。


レヴューシーン

これだけは最初に言っておきたい。

雪代晶が強い。

真面目な話、現地で鑑賞して「雪代晶をこの距離で見られたことが一番の収穫かもしれない」と思ったレベル。

ランスを使う立ち回りでの圧倒的な存在感。手足の長さを生かした堂々とした立ち居振る舞い。これを間近で観られてよかった。

話を戻してレヴューシーンでは、ゲームでも描かれたステラvs良子、クイナvsみんくとゲームではまだ描かれていないステラ&詩呂vs雪代晶。晶に揺さぶられる詩呂のその本音は、ゲーム版でどのように語られるのだろうか。

その後の大レヴューでは、中等部vs晶・ミチル・メイファン&日替わりゲストのレヴュー。

日替わりゲスト枠は
・スタァライトに導かれた、愛城華恋
・晶も実力を認める元エーデル、夢大路文
・フロンティアの看板たる超天才、胡蝶静羽

「壁は高いほどいい」のレベルではないですよミチル先輩……

先輩方の高すぎる壁に対して、奮起するものの敗北した中等部たち。しかし、この舞台は「消えゆく運命を変え、生き残る」ためのレヴュー。諦めなければ何度でも舞台に立てる。彼女達は、次のレヴューへ……

シナリオ・配役面

振り返ってみると、「中等部の物語の第一歩」に必要な配役を適切に配置したように思った。
初めにキャストが発表されたとき、「中等部が舞台なのに栞がいないのはなぜ?」なども思ったが、いざ始まればステラと詩呂と対峙する王・騎士というポジションが重要であった。

ここに中等部繋がりで栞を絡めると話が複雑になりすぎるし、エーデルでもやちよでは「騎士」のニュアンスが弱まる。(「騎士の忠誠」的な要素は晶への憧れの強いメイファンでやってこそだろう)

今回、物語に絡まなかったエーデル二人も含め、これからのシークフェルトの物語に期待したい。




おまけ

主に演出面やメタ視点での武器雑感。
ステラ……レイピアというスタンダードな武器は華恋・真矢に通ずる。立ち方も騎士然としていて美しい。

詩呂……警棒の二刀流。しかも、一本に持ち替えることもできるため、大場ななの「二刀流の武器のせいで手を繋ぐことができない」という課題を地味にクリアしている。

良子……ほとんど近接武器として使われるブーメラン。接近戦での演出がしやすいのは、純粋な遠距離戦武器の先輩方と比べた利点に思える。

みんく……フラフープのようなチャクラム。かなり独特な武器でみんくのトリッキーな面がよく出ているように思う。ゲームでは二本のショテールに分かれていた。そちらのバージョンも観られるのか、期待したいところ。

クイナ……青龍刀を片手に足技も使ったダイナミックな殺陣が良い。学級委員長なのに立ち回り自体は一番ワイルド。

個人的には、レヴュー用武器の大きさ≒才能(キラめき)説を推しているので、とりあえず「刃渡りが大きい」はそれだけで評価が高いです

個人的考察

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