実は、足りていたこと。

1ヶ月ぶりに、美容院に行った。

もともとロングヘアだった私は、数ヶ月間美容院に行かないことはザラだった。
だが、思い切ってバッサリとショートにした先月から、美容院(お直しも)へ行ったり、インスタのハッシュタグを使ってショートヘアの色んな綺麗なお姉さんたちを探しては悶々としていた。

ショートって難しい。
長ければ適当に巻くかまとめとけばそれっぽくなる。
けどショートってセットもアレンジも難しい。

それと、着る服の系統も変わった。
雑誌やSNSで目についたり、欲しいと思うのは、カッコいいクールな感じのファッションになり、スカートも履かなくなった。

そんなことも日々もやもやと思っていたところ、昨日、先月行ったばかりなのにまた美容院へ行った。近所の普通の美容院。上京してきてから、初めて行った美容院。ただ黒染めするだけだから、とこだわりもなくフラッと寄ったところだ。

前回担当してくれたお兄さんを指名した。
たまたまの出会いだったけど、近所のお店を教えてくれたり、色んな話を聞かせてくれて、
こちらの話も聞いてくれるけど、そこまで深く詮索せず理解してくれて、でもその感じがなんとなくこちらを話したがらせる感じ。仕事の話も、美容院ではしたくならない私だけれど、そのお兄さんには何故か話してしまう。
なんとなく雰囲気が好きなのと、その仕事のことをわかってくれているので、髪の毛もオーダーしやすいなと、思った。
そしてこのもやもやした髪の悩みも、苦手な理論立った説明をする必要もなく、そのまま気持ちを伝えられそうだったから。

案の定、彼はうんうん、と笑いながら聴いてくれた。私の、全く主語も述語もしっかりとしない言葉の羅列を、ただ聞いてくれた。あぁ、ここで正解だった。
写真をみせながら、なんとか要望を伝える。
結局カットはほんの少しだけ。
あとは乾かし方、コテを少し、最後にSNSでよく見るオイル。それだけでもう私の髪の毛はいつもと違う、インスタでいつも見ていたようなヘアスタイルに劇変わり。

「わ、私の髪じゃないみたい。」

びっくりした。あっという間だった。
ゆるゆるとカットしていた時間は、まるで私の不安を取り除くために敢えてゆっくりと時間をかけているようにも感じた。
不思議な魔法。
お兄さんの腕前もあると思うけど、
私の髪も、こんなふうになる力を持っていたんだ。
気づかなかった。

「実はこのあと、写真撮ってもらうんです。」

「え、そうなんすか!?」

一気にお兄さんの目つきと手つきが変わった。
アレンジが加わり、あっという間に、さらに激変。

面白いものを見た、と思った。
伝えてよかった、と思った。

「頑張ってください」

ヘアアレンジのことだろうけれど、
それは仕事だとか、これからの将来だとか、プライベートだとか、色んなことに勇気をくれる、魔法の言葉になった。

東の都も、悪くないな。

ショートって難しい。
セットもアレンジも難しい。
けど、ショートって、楽しい。
自分の髪質も知れた。
自分の髪でもできることを知れた。
ものはやりよう。ものは捉えよう。
私にとって、新たな開拓。
これからが、楽しみ。

つづく。

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