私って何だ

4月中旬ぐらいから 面接面接面接書類書類書類で徹夜書類徹夜面接面接面接説明会面接 と6月開始とかいう大本営声明も真っ青なくらいの面接ラッシュが始まっていて、連絡も頂けなかったりお祈り申し上げられているんですが(私が御社の不幸をお祈り申し上げますよ)、ストレスのためか額にできたニキビが治りません。

今時連絡も寄越さない企業あるんか? と言われることもあるんですがあります。ちゃんとありますよ。祈るくらいなら面接のために使った交通費を返してほしい。数百円の積み重ねにいくらかかっていると思っているんだ。

面接ばかりが続いてヨソ行き用のテンションと声の大きさでいつも書類に書いていて覚えてしまったエピソードを話していたので、いったい私は何なんだ、何者なんだと自分のことがわからなくなってきて、しかも今日祈られてむしゃくしゃしてヒトカラに行って暴れてきた。

スーツの上着を脱ぎ捨てて大きな窓のある8人用くらいの部屋で一人で騒いできた。とにかく高音でハイテンポのアニソンを歌い続け、声を出しすぎて吐き気を催しつつも汗だくで歌い暴れ続けた。なんかアイドルステップもどきみたいなものも踏んだりして、スーツのままで歌った。

面接で話している自分は一体何者だったのだろう。リーダーやっていました、とか、リーダーやりながらも人の意見をきちんと聞けるいい子なんですよ、なんてアピールもどこかへ吹き飛んだ。そう、ヒトカラだろうが他人とのカラオケだろうが空気を一切読むことなく一曲目からアップテンポの(それなりに有名であろうと私が思う)アニソンを突っ込み全力で暴れるのが私だった。人の視線なんかどうでもいい、今私が歌いたいのはこの曲で、とりあえずアイドルステップなんか踏んでみたりして、人の視線を集めて。そんなことが好きなのが私だ。「えー!?」と言われながらもヘドバンを始めるし全力で叫んでがなって歌って汗だくになって空調の気温を24度から20度に下げるのが私だ。

ただのキモータでBLを読んでゲヘゲヘ言っているのも私だし吐くまで飲んで盛大に後悔することだってあるしリーダー的なポジションをやらせてもらっていたけれど大体周囲の人に酔っぱらって迷惑をかけたしビール飲まされたら飲ませ返さないと気が済まないタイプだった。そうだった。忘れていた。授業を平気でサボって図書館で爆睡していたり関係のない本や週刊誌をとにかく読んで週刊誌のちょっとエロの混ざった体験談のようなものを読んでヘラヘラ笑ったりコンレボを見て考察してみたりするのが私だ。

リクルートスーツの中に自分を収めて、それっぽい言葉でそれっぽいストーリーを語って無難に生きることに必死になりすぎていたらしい。

90分のヒトカラはあまりにも短かった。まだ歌える、と思ったし、歌っていない曲もまだまだあるし、まだ高音責めで喉に致命傷を与えてもいない。少し喉に疲労感はあって明日一日くらいは声が出にくいだろうけれど、きっとすぐ直る。でも、今日の90分がなかったら、祈られたことに凹んだまま、次の面接でそれっぽいストーリーを語っていたかもしれない。それっぽいことを語って、自分のことがもっとわからなくなって、人の話を聞けて空気も読めるけどリーダーシップなんてものを発揮して人を引っ張っていく力のある人間だと私のことを定義づけていたかもしれない。自分の口から出てくる言葉に、自分で洗脳されてしまっていたかもしれない。こんな文章を備忘録として残そうともしなかったかもしれない。

確かに90分間のヒトカラで、一般常識やら数学の問題やら四字熟語を覚える時間は少し減ってしまったけれど、何か重要なものを思い出すことができたような気がするのだ。

仕事が決まるかもわからないし、理想とする3通りくらいある人生のどれに進むかもよくわからないし、未来の旦那様も見つかるかわからないけれど、今日思い出せた自分のことだけは忘れないでいたい。また忘れそうになったら、今度は3時間一人で歌いに行こう。


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