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三月雑記 坊主になってからの日々

坊主になってからの日々。


頭を触るのが楽しい。


顔を洗うときにいつもの流れでヘアゴムを取ろうとして、あぁ要らないんだったと、ちょっと笑った。


机の横の身支度箱に入れていたくしと整髪料を奥に仕舞った。毎日使っていたのでほんの少し寂しかった。


軽やかになると思ったが、変に首に力が入って少し凝った。


頭皮に汗がじわりと出るのを少量でも感じる。


対面二回目の人とのzoom会議でウィッグか坊主かで迷い、坊主で出た。驚かれたがすぐに会議に入った。会議中に「今はもう減っちゃいましたけど、局の打ち合わせとかで〜〜ってありましたよね?」と言っていたので、私のことは芸人ではなく作家としてしか知らないのかもしれない。だとしたら坊主への驚きがあれくらいで済んだのすごいな。


部屋に落ちている数本の長い毛に妙な愛着がわき、そのままにしている。


ウィッグを直すときの頭頂を気にする手つきが、たまにコントで見かける手つきで、少し嬉しい。


上着のポケットに入れっぱにしていたヘアピンとヘアゴムを仕舞った。


坊主の芸人をテレビで見たときに伸び具合が気になる。


私を知っているけれどTwitterをこまめには見ていないであろう歯医者の方たちにウィッグの状態で会った。「髪切ったんですね!」といった反応だったので、違和感はないのだろう。坊主の状態も見せたら驚いていた。明るい反応だった。


ふとしたときに鏡を見て、しばらく見続ける。


楽屋入りは坊主で衣装に着替えるときにウィッグで。
「びっくりしました!」
「ウィッグかぶれや!」
「いいっス(ぐっと親指を立てる)」
「かわいい!ウィッグ自然!触っていい?」
「いや可愛くなるんかい!」
「こえーよ!笑」
「俺、頭小さいから坊主にしても似合わんのよ」
「(坊主と長髪半々で一人金属バットさんにした写真を見たあとで)次は『一人ずん』やりません?笑」
「(あまり喋ったことが無くてどう触れていいかがわからず、他の人とその話題になっているときにすっと入る)」
などなど。


タングルティーザーで頭皮をガシガシ洗うのが気持ちよかったけれど数時間後にフケが出た。良かれと思って逆効果。くしはくしとして正しく使わねばならない。


手触りがザリザリからサフサフに。


大喜利配信で、前半ウィッグ後半坊主で出た。坊主のほうが答えを多く出せたけれど、単に後半だからとかお題との相性だとか他の要因も考えられる。坊主目線の話をして「へぇ〜」となっているなかで歩子さんだけうんうんと頷いているのが面白かった。

坊主にした理由を聞かれて「今は坊主にするのに理由がいらない時代なんですよ」と答えたら「…それじゃ納得しないよ笑」と返された。『理由が無いことに納得しない』かつ『大喜利の答えとして納得しない』だ。大喜利の場では心置きなく大喜利で答えてよかったんだ。


日に日に黒が濃くなっていく。


久々にドライヤーを使った。5秒で乾いた。


おほしんたろうさんに似せた写真を撮ればよかった。もう伸びてしまって似ていない。


針に糸を通すのに髪の毛を使っていたので、針仕事のときに少し手間取った。


坊主23日目にして、夢の中に出てきた自分が坊主になった。


本社の受付の警備員さんが、坊主長髪半々にしたツイートを知ってくれていた。


ウィッグを洗って柔軟剤に漬けた。乾かすのが難しかった。翌日は柔軟剤の香りが強かった。頭に花冠を乗せているかのように香った。


好井さんに「帽子どんなのがいいですかね?」と聞いたら、ツバ短めのジェットキャップを薦めてくれた。帽子屋を回ったけれどいい感じのが見つからず、とりあえずネットでツバ短めの何キャップかわからないキャップを買った。


服屋のマネキンのウィッグも商品と捉えて視線が行ってしまう。


寝癖がつくようになった。


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