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リドルとエース ~どちらがハートの女王なのか?~

【はじめに】


 ツイステッドワンダーランドのキャラクターは、ディズニーヴィランズにインスパイアされて生まれてきたキャラクターたちである。
 このため、彼らは原作のヴィランズの影響を受けながらも、どこか異なる部分を有している。
 それは性格だったり、容姿だったり、好きなものだったり、過去だったりする。

 たとえばリドルは、教育に熱心な母親に管理され虐待も同然の家庭で育てられたが、ハートの女王にそのような描写はない。
 アースラは劇団四季版にて父親に疎まれていたとあるが、タコの人魚だからと同年代にいじめられていたわけではない。
 ジャファーは親にサルタン王に従うように育て上げられたわけではない。実写版で二番目に対する憎悪はあったが、それは彼の野心ゆえのもの。ジャミルの生育環境とは端から異なる。
 当然主役になれなかったと嘆くヴィルの過去も、弟を失ったイデアの過去も、どれも原作のヴィランズが経験していないことである。
 インスパイア元の過去を9割再現した生い立ち、というのはレオナくらいではないだろうか。ただそのレオナも、ザズーモチーフと思わしきキファジと仲がいいので、完全にスカーと同じとは言えない。
 インスパイアはあくまでインスパイア。
 すべて同じにする必要性はないということであろう。

 しかしそれらを踏まえても、インスパイア元と大きく容姿が異なるキャラがいる。一番最初にオーバーブロットしたキャラクター、リドル・ローズハートである。

 彼はハートの女王からインスパイアされたと思われるのだが、しかし他のキャラ(オバブロ組)と比較すると、明らかにハートの女王と異なる容姿である。
 たとえば赤髪、たとえば低身長、たとえばハート型の触覚、たとえば寮服から受ける印象……。生い立ちやタルトの部分も、よくよく考えてみると原作から少しずれている。
 しかしこれらはあるキャラを用いれば説明がつく。

 現在、過去の名作を実写化するムーブが訪れているディズニーであるが、2010年にはティム・バートン氏を監督に据えて「ふしぎの国のアリス」の実写化を行っていた。
 その映画のタイトルは「アリス・イン・ワンダーランド」
 不思議の国での冒険から13年後、19歳となったアリス・キングスレーを主人公に据えたこの作品では、ディズニー社が映像化していない、ルイス・キャロルの小説「鏡の国のアリス」の要素がふんだんに盛り込まれ、「不思議の国のアリス」と要素がいくつか統合されている。
 本作のヴィランである赤の女王・イラスベスはその極地である。
 彼女は「不思議の国のアリス」のハートの女王、「鏡の国のアリス」の赤の女王を組み合わせたキャラクターとなっている。

 以下のリンク先を見てもらえばわかるように、彼女の髪色は赤色で、ハートの形をしている。また過去の事件から巨大な頭を持っている彼女は、頭身が他者とは大きく異なる(=人より身長が低いといえる)。

 赤毛、髪の毛でハートを表す、見た目にコンプレックスがあり低身長。
 また彼女の経歴にはタルトが重要な要素をなしており……、これらを踏まえるに、リドルは赤の女王の外見を参考にデザインされた可能性が高いと思われる。

 こうした続編、または実写化やTVシリーズのヴィランの要素が統合されていることは、ツイステのキャラでは実は珍しいことではない。

 例えば、レオナ・キングスカラーの左腕のタトゥーだが、『ライオン・キング』の続きとして作成されたTVアニメシリーズ『ライオン・ガード』に出てくる役職【ライオン・ガード】のタトゥーに酷似している。

 本作のタイトルともなっている【ライオン・ガード】は、プライドランドの平和を守るための組織なのだが、代々、第二王位継承者がリーダーとなるならわしとなっている。このため、スカーもかつてはこのリーダーだったと作中では設定されている。
 そのことを踏まえての外見の再現なのだろう。

 またアズール・アーシェングロットのほくろは唇の左下であるが、インスパイア元のアースラのほくろは唇の右下である。

 これに関してはあえて左右対称にしたのでは? と考えることもできるが、同じく外見をインスパイアしたレオナの目の傷がスカーと同じ左目であることを踏まえるに、別の意図があったように思われる。
 では、その意図はどんな意図か?
 私は『リトル・マーメイド2』にでてくるアースラの妹「モルガナ」のほくろの位置を再現した結果ではないかと考える。
 彼女はアースラとはちょうど反対の位置……アズールと同じ場所にほくろがあるのである。
(※画像については適当なサイトが見当たらなかったので、各自で検索してほしい)

 なお、姉のアースラとは異なり、彼女は細くやつれるような姿である。
 加えて、偉大な姉に対して強烈なコンプレックスをこじらせており、姉ほど魔法の腕は天才的でない、など、どことなくアズールを思い起こさせる性格である。

 また昨年(2022年)のハロウィン「グロリアス・マスカレード」に出てきた、「ノートルダムの鐘」のヴィランズ・フロロー判事にインスパイアされたであろう新キャラクターのロロ・フランムには弟がいた。

 アニメ「ノートルダムの鐘」にては起用されていないが、原作小説、及び劇団四季版にはフロロー判事には弟がおり、この弟とジプシーの子供こそが主役のカジモドにあたる。このため、フロローは愛しい弟とその弟を惑わしたジプシーの血を引くカジモドに複雑な感情をこじらせることになるのだが…。
 閑話休題。

 これらのこと考えれば、現在すべてが公開されていないとはいえ、マレウスもまた実写化のマレフィセントの要素を含んでいると思われる。
 実際、7章チャプタ―2にて新規お披露目された立ち絵は、実写「マレフィセント」のマレフィセントを大いに思い起こさせる衣装であった。
 
 つまりツイステのキャラクターは、ヴィランズの原典だけでなく、実写版やミュージカル版、続編、アニメシリーズ版などを総括したキャラなのだろう。
 だから、リドルに赤の女王が含まれていても何もおかしくはない。
 私は今までそう考えてきたが、しかし、設定資料集、及びツイステ展でも公開されているハーツラビュルの初期草案「ハートの女王寮 イメージB(2017/11/29)」を見たことである疑問がわいてきた。

 初期リドルが今のリドルと異なって、格段に”ハートの女王らしい”のである。それは衣装だったり、身長だったり、キャラ性だったり、いろいろとあるが、しかし今の美少年姿とは異なる”女王らしさ”があった。

 赤髪なのは変わらない。ヒールはひょっとすると今のリドルの方が高いかもしれない。
 しかしすらりと長い手足に、金の王冠、黒いファーのついた真っ赤で長いコートを翻す彼と、今のリドル。どちらがハートの女王らしいかと聞かれたら、私は恐らく前者を挙げる。
 また、大きく変更された生い立ちも気になった。
 初期のリドルは甘やかされてわがまま放題になったという、原作アニメのハートの女王らしい性格である。しかし今のリドルは厳しいルールのもとにて養育されたという、アニメから受けるハートの女王の印象とは大きく異なる。
 もちろん初期草案は初期草案であり、今のものと大きく異なるのは当然のことなのだが…。
 しかし今のリドルのことを見ればみるほど、私はハートの女王ではなく、赤の女王を参考にしたのではないかという印象を強く感じた。

そして、もしその通りならば、なぜリドルだけ赤の女王を特に強く参考した、あるいはそう思われるようなキャラの作り方になったのか…?
 もし、リドルのモチーフが赤の女王に偏っているのが故意だとするなら、一体、誰にハートの女王のモチーフがいったのか?
 キャラ一覧を改めて眺め……私はそれがエースなのではないかと考えた。
 ということで、ここまで長々と失礼したが、ここからが本題。
 本noteはこの「リドルが赤の女王ではないか?」「エースがハートの女王ではないか?」の疑問について、深く掘り下げたものになる。


【注意事項】

 このnoteは【リドル・ローズハート及びハーツラビュルの初期草案】から端を発しています。
 そのため、
・「ディズニー ツイステッドワンダーランド」公式ガイド+設定資料集 Magical Archives
・「ディズニー ツイステッドワンダーランド」 FAN BOOK
・「ディズニー ツイステッドワンダーランド」イベント設定資料集 Design Note
・Disney Twisted-Wonderland The Comic Episode of Heartslabyul(1~4)
・「ディズニー ツイステッドワンダーランド THE NOVEL」EPISODE1 真紅の暴君
 以上五点、及び7章に至るまでの本編・イベントストーリー、ツイステ展における初期設定などのネタバレを多く含みます。
 そのため、それらのネタバレが嫌な方はブラウザバックをお願いします。

 また、このnoteは私が「こうではないだろうか?」という主観的判断にて疑問点をあげ、それをもとに考察しています。
 さて、少し本筋からは離れますが……
 私は考察を【競馬】と捉えています。

 外れて当然とは思いません。やるからには本気であてに行くつもりでやるし、データだって揃えて考える。
 けれど、”当たる事だけ”考えていたら楽しくない。
 どの馬に勝ってほしいか、どの馬が勝ったら一番ロマンがあるか。自分の予想は当たったか、外れたか。外れるならば、どんなに劇的に鮮やかに、自分の期待を裏切ってくれる走りを見せてくれるのか。
 そういうワクワク感が好きでやっています。

 そのため、本noteは私が「こうだったら面白い」という主観的感情をもとに要素を集めてまとめたものになります。
 つまり大半が幻覚に終始しています。
 なので、人によっては根拠のない妄想と思われるかもしれませんし、このnoteを的外れだと捉える方もいらっしゃると思います。「脚そ考(脚本の人、そこまで考えてないと思うよ)」と考える方もいらっしゃるでしょう。

 そういうのが苦手な方も申し訳ありませんが、ブラウザバックをお願いします。

 以上を読んだうえで、問題ないという方のみ、先にお進みください。



【リドルと赤の女王、あるいはハートの女王】

 さて、リドルが赤の女王ではないかという考えについて、まずは何故そう感じたのかについて説明する。

①第一章「真紅の暴君」 称号「赤き支配者」
 →どちらも赤に関わる呼び名だが、ハートに関わりはない。赤の女王の呼び方に終始している。ハートの女王がモチーフにあるならば、ハートに関係する呼び名になるのではないか?
 なお私が観測した限りであるが、リドルが自分を「ハーツラビュルの王」とたとえることはあっても、他人が”ハートの王”と例えることはなく、1章での呼び名も”赤き支配者”であった。

「赤き支配者」


②「Fan book」にて、リドルがオーバーブロットした、1章クライマックスのエピソードバトルシーンの作曲は『アリス・イン・ワンダーランド』をイメージして作曲された、と説明されている。

③冒頭で説明したようにリドルの容姿
 →赤毛、ハート型の髪の毛/触覚、外見にコンプレックス(低頭身・低身長)

リドルの外見



④1章のストーリーの流れが「ふしぎの国のアリス」よりも「アリス・イン・ワンダーランド」に近しい

 →赤の女王のタルトを盗み食いして、首を刎ねられるカエルの執事
 ※原作小説でタルトを盗み食いした罪で裁判にかけられたのはハートのジャックであるが、ハートのジャックがそれをしたという証拠はない。
 また、アニメ版ではこの”タルトの盗み食い”自体が存在していない。

 →アリスを女王の手から逃がし、自らも首を刎ねられかけるも、女王が首を刎ねようとするのを無効にするマッド・ハッター
 →普段はおべっかですり寄っていたが、実は心の中では彼女を馬鹿にしていたことを明かし、女王に叛逆する取り巻きたち
 →帽子屋と友達のチェシャ猫
 →赤の女王が歪んだのは、親の許可なくタルトを食べたことが理由。
 最も映画における赤の女王は、食べてもいないタルトを食べたと濡れ衣を着せられたことで歪んだのだが……。リドルもまたタルトが原因で歪んだという点は似通っている

⑤エースから「赤ちゃん」扱いされる
 アニメ映画でこそ登場しないが、原作小説では、怒ってばかりのうえ赤ん坊を乱暴に扱う公爵夫人と、泣き続けるが彼女にあやされることなく放置される「公爵夫人の赤ちゃん」が登場する。
 また「アリス・イン・ワンダーランド」の赤の女王イラスベスは、原作における公爵夫人の外見を参考にして作成されている。
 つまり、ハートの女王と赤ちゃんには関係がないが、赤の女王イラスベスと赤ちゃんには間接的に関係があると思われる。

赤き支配者とそれを糾弾するハートのトランプ兵



⑥リドル・ローズハートが腰かけている椅子
 リドルがツムステSSR絵で腰掛けている椅子は、「アリス・イン・ワンダーランド」で、実写映画で赤の女王イラスベスが使っていたもの。
 ちなみにハートの女王が腰かけていた、寮服SSRの裁判所の椅子は、いまだに作中で登場していない。



⑦リドルの性格が、原作小説「鏡の国のアリス」の赤の女王に似ている。

 「鏡の国のアリス」に登場する、チェスの黒のクイーンを参考にして生まれたキャラクター”赤の女王”は、後にルイス・キャロルからこう称されている。
 『ハートの女王を、諦めきれない情熱の化身のようなもの――盲目的でわけもなく怒り狂う女――であると描いた。
 赤の女王も同じく激怒するものとして描いたが、彼女の熱情は冷めていて、落ち着いているはずだ。堅苦しく厳格に違いないが、不親切ではない。すなわち、あらゆる女家庭教師の要素が凝縮されている
 最後に白の女王は、私のイメージでは優しく愚かで、太っていて青白く、幼児のように無力で、ゆっくりとまどろみながら困惑した雰囲気で、無能のようだが、しかし決して無能ではない』

Let me cull from the two books a Royal Trio–the Queen of Hearts, the Red Queen, and the White Queen. It was certainly hard on my Muse, to expect her to sing of three Queens, within such brief compass, and yet to give to each her own individuality. Each, of course, had to preserve, through all her eccentricities, a certain queenly dignity.
That was essential. And for distinguishing traits, I pictured to myself the Queen of Hearts as a sort of embodiment of ungovernable passion–a blind and aimless Fury.
The Red Queen must be cold and calm; she must be formal and strict, yet not unkindly; pedantic to the tenth degree, the concentrated essence of all governesses!
Lastly, the White Queen seemed, to my dreaming fancy, gentle, stupid, fat and pale; helpless as an infant; and with a slow, maundering, bewildered air about her just suggesting imbecility, but never quite passing into it; that would be, I think, fatal to any comic effect she might otherwise produce.

「Alice on the stage」

 また赤の女王が語った有名な台詞が、リドルの勉学に対する姿勢に似ている。他方、ハートの女王にはこのような台詞はない。

「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない(It takes all the running you can do, to keep in the same place.)」

「鏡の国のアリス」

 むしろハートの女王のわがままで、独善的で、自分のルールをこそを絶対とする姿はエースの方に近しい。リドルが守るのはハートの女王の法律、すなわち厳格に定められた法だが、エースが守るのは自らに課したルール……すなわち美学ともいうべき観念だからである。


⑧そもそもリドルの棺桶は薔薇であり、ハートではない

 ローズハートの名前から一見するとハートの女王のようだが、そもハーツラビュルの寮服が白をベースとしているのは”トランプ”を意識しているからである。
 ハートの女王はトランプである。しかしトランプ兵とは一線を画する存在である。であるならば、寮長たるリドルの寮服は初期設定のように、白よりも赤・黒・黄を基調とした意匠になるはずである。
 なのに、リドルの寮服は寮生たちと同じで白の面積が多い。
 またリドルは6章で一時的に白髪を披露した。

 原作映画での薔薇は「赤く塗られていただけで元は白色であった」事実、原作映画で女王の薔薇を勝手に赤く塗ったことで首を刎ねられたクローバーのトランプ兵(→トレイ)を考えるに、リドルはハートの女王より”薔薇”の要素が強いように思われる。

リドルの棺桶



⑨リドルの部屋とエースの部屋

 ツイステの設定資料集にのせられている二人の部屋の背景だが
 エースの部屋には【ハート・スペード・クローバー・ダイヤがそれぞれ描かれたマット】が存在する。※ゲーム版の背景では見ることができない。
 他方、リドルの部屋にはそうしたトランプを示すものがなく、【チェス盤を思い起こさせる、黒と白と赤のチェックの絨毯】が存在する。※こちらはゲーム版でも見ることができる。

 ちなみにデュースの部屋にはスペードが二つ描かれたマット
 トレイの部屋にはクローバーのクッションとクローバー柄のかけぶとん
 ケイトの部屋にはダイヤ柄のかけぶとんと、スマホカバーと同じ、顔が描かれたクローバーやダイヤのマットが描かれている。
 これらを踏まえるに、それぞれのキャラのスート・インスパイア元を踏まえている可能性が高い。
 となれば、リドルの部屋の絨毯は赤の女王をイメージした”チェス盤の絨毯”では? そしてすべてのスートを所有しているエースは、彼らを統括する立場になるのでは…?


エースの部屋のマット(選択画面でのみ見ることが可能)
エースの部屋
リドルの部屋
デュースの部屋
トレイの部屋
ケイトの部屋



⑩リドルの愛馬の名前はヴォーパル

→リドルの式典服PSにて登場。

 おそらく由来は「鏡の国のアリス」に登場する剣:ヴォーパル・ソードなのだが、当然「不思議の国のアリス」「ふしぎの国のアリス」どちらにもこの剣は登場しない。
「アリス・イン・ワンダーランド」では赤の女王・イラスベスが飼っている怪物・ジャバウォッキーを打ち砕くための重要なアイテムとなっているが、アリスはこの剣を最初は所有していない。
 赤の女王イラスベスはこれを奪われないように、飼っている犬(のような怪物)・バンダースナッチに守らせていた。
=赤の女王イラスベス要素なのでは…?


⑪リドルのオーバーブロットの衣装
 何故かオバブロすると王冠が”時計の針”風になる
 →「ふしぎの国のアリス」で時計の描写があるのは白うさぎの壊れた時計くらいのもの。時計と深くかかわりがあるのは「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」である。
 また主観的意見になるが、オバブロの衣装がハートの女王よりも、時間の旅における赤の女王の衣装に似ているように思われる。


オーバーブロット
オーバーブロット 


 以上11個が、リドルは赤の女王にインスパイアされたのではないか、と思った理由である。
 なお、リドルが完全にハートの女王インスパイアではない、とまではおもっていない。
 寮長の杖しかり、ユニーク魔法の首輪しかり、おめかしのロゼットやユニオンのワッペンしかり、リドルはよく【赤と黒】が意識されている。
 その色がハートの女王の色である以上、リドルにハートの女王が盛り込まれていることは、疑いの余地もないと思っている。
 しかし上述した赤の女王との共通点や初期設定との差異を見るに、様々な事情があり、ハートの女王のインスパイアの影は薄れたのではないだろうか? それもシナリオに合わせる――エースに合わせる形で。


【初期設定のエース】

 ツイステ展で公開された初期草案と今のツイステのキャラたちを比べると、その大きな差異に驚かれる人は少なくないだろう。
 イグニハイドではイデアの影がなく、オルトのような見目の少年がいるだけ。ディアソムニアには今のシルバーの原型になったと思わしき眼鏡の銀髪の生徒がおり、ポムフィオーレにはツインテールの男の娘がいる。
 スカラビアには黒髪の少年、オクタヴィネルの双子は黒髪…などなど、様々な違いが見受けられる。
 ハーツラビュルもその例にもれず、初期草案から大きく変更されている。
 デュースの原型らしき少年は長髪、ケイトの原型らしき少年の髪はいまより短く切られていて、トレイらしき青年の髪の毛も今よりもっと短め。そして最後の一人、おそらくエースの原型となったであろう少年には、ハートのスートの影も形もない。

 しかしハーツラビュルのもう一つの草案――おそらくツイステのゲームの原型ができ出したころ――ワンダーカーズ寮時代には、エースとトレイの原型はほぼできている。

 見ての通りであるが、この頃のトレイは今のトレイと外見上の差異がほぼない。せいぜい、目元に施したスートの大きさ位のものであろう。
 横に並んでいるエースもまた、決めポーズや衣装にそれほど大きな違いはない。……首元に三つのスートが並び、衣装のトランプが【ハートの5】であること以外は。
 もしもお手元に設定資料集がある方は、ぜひ確認してみてほしい。
 簡易的なSDキャラ・立ち絵どちらの原型エースも、衣装のトランプがハートの5になっている。つまり、当初のエースはエース(1)ではなく、ハートの5だったのだ。
 そしてクローバー(トレイの原型)こそがエースだった。
 ここは重要部分である。
 すでに幾度か考察されていることであるが、1章のタイトルの【真紅の暴君】の『真紅(シンク))』とイタリア語で「5」を意味するCinqueと音が同じである。
 このため、1→エース、2→デュース、3→トレイ、4→ケイト、5→シンク(真紅)と数えることができるという。
 果たしてそれも作為的なのかは分からないが、しかしここで面白い事実が浮かび上がる。

 初期の【ハートの5】から【ハートのエース】になったエース
 初期から【ハートの女王】でありながら本編時は【真紅(5)の暴君】となったローズハート

 作為的か偶然かは分からないが、ここでハート同士、なんらかのつながりが見えてくる。
 そも、エースとリドルの名前自体、面白い関係性がある。
 これもまたすでに考察されつくしたことだが……
 エース(Ace)の名前はアリス(Alice)に近しく、またリドル(Riddle)の名前は謎解きのリドルと、不思議の国のアリスのモデルとなった少女・アリス・リデル(Liddell)に近しい。
 エースとアリス、リドルとリデル。
 …ここまでくると、なんだか作為的な取り合わせに見えてくる。

 リドルとエース。名前にハートがあるがハートのスートがない方と、名前にこそハートはないものの、決めポーズ・スートがハートな方。
 性格も対照的。親のいうこと・伝統やルールを重んじる方に、大人の言うことなんて知るか、伝統?なに?? とイカサマも平気でする方。
 この点を踏まえるに、二人はある種メタ的な、補完の関係にあるのではないか。エースとデュースが対照的なデコボココンビであるように、エースとリドルもまた、鏡写しのような対比関係性にあり…
 そしてそれは”アリス”に基づくのではないか?

 すなわち、エースが【アニメ版アリス/アニメ版ハートの女王】、リドルが【実写版アリス/実写版赤の女王】を担当しているのではないか、と。


【エースという異端】

 さてここからは資料が少なく、与太的な妄想が多くなってくるが…
 そもエースはハーツラビュルでも異端中の異端である。
 彼の異端性は以下の通り。


①苗字にスートが含まれていない

 リドル・ローズハート、デュース・スペード、トレイ・クローバー、ケイト・ダイヤモンド
 エース・トラッポラ


②ハーツCMでのトランプ兵の中、一人だけ数字を作る指が左手


③OPで他の3人がカードゲームしている中、一人だけ階段のそばに立っている。また最後の部分で、他の三人はリドルの後ろに立っているが、一人だけ前に立っている

カードゲームに興じるトランプ兵
なぜか一人だけ前に立つエース
一人だけ階段にいるエース



④ハーツ1巻(コミックス)の表紙のトランプ4枚のうち、ハートのエースだけが手書き書体(残り三つは印刷用の書体か)


⑤ハーツのコミックスの表紙を飾ったメンバーのうち、唯一、エースだけが天地が逆さま(上下が逆)になっている


解像度の問題で見えにくいが左上のAの書き方だけ他と異なる
一人だけ上下が逆さまのエース

⑥おめかしバースデーの枠に描かれたトランプ3枚の置き方が、エースだけ、他のトランプ兵と異なる


⑦ユニオンのワッペンのトランプのスートが、デュース・トレイ・ケイトは左上に対し、エースだけが右上である。
なお、リドルのワッペンの薔薇も左上(右胸)配置である。


 ⑧おめかしグルーヴィーイラストで、エースとリリアのみ、他人の映り込みがない。他のキャラは皆映り込みがある。
【映り込み】
 デュース→エース? トレイ→ケイト ケイト→エース リドル→トレイ・ケイト
 レオナ→ラギー ラギー→レオナ・ジャック ジャック→ラギー・レオナ
 アズール→ジェイド ジェイド→フロイド フロイド→ジェイド
 カリム→ジャミル ジャミル→カリム
 ヴィル→ルーク・エペル ルーク→ヴィル エペル→ヴィル
 イデア→オルト オルト→イデア
 マレウス→リリア・セベク? シルバー→リリア・セベク セベク→シルバー

(なおグルビ絵ネタバレが嫌な方もいるでしょうし、詳細は各自で確認をお願いします)


 以上8点、エースがほかのトランプ兵と扱いが異なる部分である。
 またエースは7章に至るまで未だユニーク魔法が明かされておらず、『ハートのエースは切り札』や新称号の『ハートの切り札』から、何か特殊なギミックがあるのではないかと考えられることも多い。 

新たに追加された称号。以前は悪戯の名人であった。

 生放送にてエースの声優である山下さんがエースのことを質問されて、回答を濁した回もあるらしい(ソース未確認。あくまでまた聞きである)。
 これらを見るにエースにはまだ何かしらの謎があると思われる。
 実際、エースのイベントカードは先日(4/28)にマスターシェフが発表されるまで、一番数が少なかった。

 また実はリドルは、全員参加型のハロウィンやマスシェフ、ツムステのイベントを除くと、ゴーストマリッジ以外でイベントカードがなかった。
 同じように全員参加イベ以外では一回しか出演がないキャラは、マレウス・シルバーがいる。
 昨年の6章クリア後のオルトSSRの早期実装や、現在7章チャプタ―3に至るまで、リリアのSSRが追加されずに他キャラが二周目のSSRをもらっている現状を見るに、ストーリーでの開放度に合わせてイベントカードが実装される仕組みとみていいだろう。
 ならば、イベントカードが精力的でないリドル、エースには何か大きな謎が含まれているように感じる。

 しかし、その謎とは何か?
 私はその謎こそがリドルとエースの関係性にあるのではないかと思った。


 つまり『リドルがハートの女王と見せかけて、エースこそが真のハートの女王じゃね?』説である


 というのも、エースの制服の左手にだけつけられた手袋に作為的なものが見えた気がしたからである。

 上記のツイートどおり、エースが制服で決めポーズをすると、ハートの女王と同じ形になる。赤/白と黒が並ぶのだ。
 私はこれが運営の意図したところではないかと思っている。
 というのもハーツラビュルの寮服を見て貰えばわかるが、寮服は赤と黒が本来の女王の配置の逆になるように作られているのである。

寮長と副寮長
寮生
副寮長と寮生

 リドル-エース-デュース-トレイ-ケイトいずれの五人の寮服も、ハートの女王と反対の配置で【黒と赤のハート】が作られている。
 ※このハートの右半分が黒は実は初期草案の時からであり、原案の先生が何を考えてこの配置にしたかは不明。
 ハーツラビュルの衣装、及びエース・トラッポラの参考になったのでは?と噂されている、ディズニーヴィランズの手下「ジャックハート」の衣装のハートはどちらも黒である。(因みに手袋は両手共に身に着けている)


 また、オバブロ時のリドルのハートの配置も女王と反対のままである

同じではないハート

 これほどにヴィランをリスペクトとしておきながら、寮服は正しくなくて、エース個人が身につけた手袋(ハートの左半分が黒)こそが【正しいハートの女王の黒の配置】なのである。

 これがもし意図的なものだとするなら、トランプ兵たちはあくまでハートの女王を模倣しているだけのしか過ぎないという証明であり、エースにこそ、ハートの女王モチーフが仕込まれていると匂わせていたのではないか……?
 そしてエースが本当の”A”ではないからこそ、上記のように他のトランプ兵と異なる描写をされていたのではないか?
 また彼自身もそれが分かっているからこそ、寮服召喚時の台詞があの言葉ではないのか?
 ――勝負の切り札はハートのエースってね



【ハートのAの特異性】

※ここからは最早ツイステの設定にとどまらない部分が増えていきます。あらためて注意事項に書かれた部分のことをよく思い出したうえで、お読みください

 すでに幾度となく述べられていることだが、多くのトランプのゲームが存在する中で、【ハートのエースが切り札のゲームは存在しない】
 スペードのエースが切り札であっても、ハートのスートが切り札であっても、ハートのエースだけが切り札になるカードゲームは存在しない。
 しかしエースはハートのスートをこよなく愛し、また、自分の名前でもあるACEに執着を示している。

 これはツイステのバレンタインで配られた手書きのメッセージカードにあるエースの署名からも見て取れる。
 様々なキャラが思い思いの署名をする中、エースの署名は以下の通りである。
【Ace・trAppolA】

Aの綴りは全て大文字

 すべて大文字、最初の文字だけ大文字が多い中、途中でAの文字だけを大文字に、しかもその書き方を三個すべて別の書き方で書くほどに、エースは自らの「A」に執着している。

 またエースの誕生日「9/23」、エースのカウントダウンイラスト「23」はどちらも23が共通している。


 ディズニーにおいて23は重要な数字であり、公式ファンクラブの名称にも【D23】と用いられている。

 なぜ23が重要なのか? それはディズニーにとって、「23」が始まりの数字だからである。

 1923年、ディズニー・ブラザーズ・カートゥーン・スタジオ(現在のウォルト・ディズニー・カンパニー)が企業。この年に公開された、「アリス・コメディ」シリーズの先駆けとなる作品「Alice`s wonderland」のヒットによって新たな契約を獲得する。
(なお、この映像はウォルト氏がディズニー社起業前に起業していたLaugh-O-Gram Studioで制作され、本来であれば配給先との契約も完了していた。
 が、ラフォグラム社はもともと資金繰りがうまくいっていなかっため倒産。ウォルト氏は未完成のアリスの不思議の国のフィルム持って、ハリウッドに引っ越す。そしてディズニー社を立ち上げ、改めて完成させて公開……という流れとなった
 このため、このショートムービーをディズニーの「アリス・コメディ」シリーズと別カウントにする場合もある)



 つまり、アリスとはディズニーにとって始まりの作品で、23は始まりの数字にあたる。
 そのことを考えると、ハーツラビュル寮生で23が担当のエースは、徹底して【始まりの数字・A】を掘り下げられていると見ることが出来よう。


 そうしてみると、資料設定集の構成や、原案であるやな先生の『エース・トラッポラ』に対するツイートも印象的である。
 twstの資料設定集のお持ちの方は、エースと、他のキャラの運動着・実験着の立ち絵を見比べてほしい。彼だけがほかのキャラと描き方が異なるのがわかるだろう。
 他キャラは塗りも単調、線も細く、明らかに未完成の状態である。対してエースは塗りが現在版のゲーム版に近く、線も太い。
 この描き方の違いだが、他キャラはゲーム版の立ち絵を輪郭をトレスして描いたラフな下書きなのに対し、エースはゲーム版の立ち絵の顔部分などをそのまま流用し、衣装の細かな調整を行っているからだと思われる。

https://store.jp.square-enix.com/client_info/SQEX_ESTORE/itemimage/9784757567818_1/FREE_ITEM119.jpg
※設定資料集のサンプル画像。リドルの項目にて。実験着・制服、どちらも塗りが単調なのが見て取れる。

 しかし、なぜエースだけが描き方が異なるのか。この場合、考えられる理由は大きく分けて二つ。


①すべての衣装違いを一番最初に作られたから
 エースが最初に公式の立ち絵(制服)を作成されたため、その後の別衣装の実装にあたって、モデルのどこをどういじるか、どうデザインすれば違和感がないのかの参考にした。
 他キャラがラフなのは、エースを描いたことで、大まかなイメージ・調整の仕方がわかったから。
 →→→つまりエースだけ【下書き】が他と異なる状態のものしかなかったから、資料集のエースの実験着・運動着だけが特殊になった


②ラフ画像が何らかの理由でのせることができなかったから
 開発時にはエースのラフ画像も他キャラ同様に存在したのだが、エースのラフ画像だけが見つからなかった、エースのラフ画像に特殊なギミック・隠しておきたい情報があったなど、なんらかの理由で載せられない状態にあった。
 →→→そのため、エースだけラフ画像ではなく最終稿・最終チェック状態の立ち絵をのせることになった

 私はこのうち①のほうを疑っているが…
 しかしいずれにしても、設定資料集の一番目であるリドルや、寮長の中でも顔役であるマレウスでなく、エースが特別扱いをされていることに変わりはない。

 また、原案の先生が最初に手掛けたSSRカードはエースであり、2020年3月18日……つまりツイステが始まったその日、開発最初期から様々なテストを挑んできたキャラとして【エースと、ハーツラビュルの面々】をあげ、エースのSSR画像をのせた。


 ディズニーにとって特別な「23」の数字・始まりの作品であるアリス・一番最初に手がけ、ツイステが始まったその日に呟かれたSSRカード……
 ここまでくると最早、疑いようはないだろう。
 運営側にとっても、エースは一番目・始まりの存在なのである

 しかしここまで考えると不思議になってくる。
 なぜそこまでエース・トラッポラ……”A”が特別なのか? Aに何が秘められているのか?

 そこであらためて考えたとき、実は「不思議の国のアリス」において、Aはとても重要な文字であるという事実に返ってくる。

『カラスと書き物机は、どうして似ているの?』

 実写「アリス・イン・ワンダーランド」にて、マッドハッターが幾度となくアリスに問いかけるこの謎は、原作小説「不思議の国のアリス」のお茶会にて、帽子屋がアリスに問いかけた謎そのものである。
 当初、原作小説内にてその答えは示されず、キャロル自身も回答を考えていなかったこの答えは後に、1896年版の序文に答えが追加される。

“Because it can produce a few notes, though they are very flat; and it is nevar put with the wrong end in front!”

不思議の国のアリス 序文

 直訳すると『なぜならどちらもとっても【単調/平板 (flat)】 で、それでいて【鳴き声/書き付け (notes)】 を生み出す。それに【決して前後を取り違えたりしない(nevar)】から!』となる。
 この”nevar”だが、鴉の英語であるRevanをさかさまにして「nevar」。そして四番目のAをあえて誤読して「never」と読んでいる。
 つまり鴉の前後をとり違えると「決してしない」が答えになると、キャロルお得意の言葉遊びをしているのだ。
 Aを逆さに呼んで誤読して文章が成り立つ。
 Aはさかさまのねじれでありながら、その読み方を成り立たせる重要なファクターなのである。

 となれば「不思議の国のアリス」においてのAは、ワイルドカード/ジョーカーのような役目を担っていると考えられる。

 これもまたすでに幾度となく触れられたことが、不思議の国にジョーカーはいない。アリスが夢見たトランプは52枚であり、53枚目となるジョーカーの居場所はない。
 また、鏡の国に登場するチェス盤に、ポーン・ルーク・ナイト・クイーン・キングいずれの駒も存在するにもかかわらず、ビショップ(僧正)の姿だけがない。これはツイステッドワンダーランドも同様である。
 なおビショップはフランス語で道化(fou)と呼ばれていた。

 タマーシュナ・ムイナにおけるレオナの台詞を見て貰えばわかるように、ツイステの世界にもビショップは存在する。
 しかしなぜかビショップの駒は一度も描かれていない。


  キャロルが何故、不思議の国にジョーカーを登場させなかったのか、それはキャロルの時代ではまだジョーカーという札になじみがなかったからだと思われるが…(現在、最古とされているジョーカーは1863年製造に対し、不思議の国のアリスは1865年刊行である)
 鏡の国のチェスにビショップを登場させなかったか、その理由は今現在でも明らかになっていない。
 しかし事実として、アリスの世界に道化は存在しない。あるいは存在したとしても認識されないのだ。
 ハートのエースが切り札のゲームが存在しないように。
 NevarをNeverと読まれたように。
 であればエースは……道化役のハートのAは存在するが認識されず、認識されていても誤魔化せる。そういう立ち位置にあると考えられるのではないだろうか。
 つまり彼のハートのエースとしての役目は『ごまかし』『代打』にあるのではないか。


【ハートの女王とエース】

 さて、結論をまとめる前に、あらためて冒頭から振り返るが…

①リドルはハートの女王より赤の女王の要素が強いように見える
 →ハートの女王が別に存在する?

②リドルの初期設定の変更とエースの初期設定の変更には因果関係があるように見える
 →赤の女王化したリドル、それとリンクして変化したエース?

③エースはトランプ兵の中でも異端。また、制服のポーズを見るに、ハートの女王を意識している可能性がある
 →エースにハートの女王のモチーフが仕込まれている? だとするなら何故?

④エースが執着している【A】は、不思議の国において、あえて誤読することでクイズの答えを成り立たせる役割を担っている
 →AがEになる=代打させる、ワイルドカードのように代理札になるのではないか?

 以上四点を考えて、私の結論は以下のとおりである。

 エースは最終章にて、リドル・ローズハートから寮長を受け継ぎ(あるいは奪い取り)、真・ハートの女王として君臨するのではないか?

 これまでのツイステッドワンダーランドにはある大きな法則が存在している。
 前章でのオーバーブロット者・または迷惑をかけるポジションのキャラが、次の章では助っ人になるという構図である。
 この構図は1章から順繰りに描かれ続けている。

 【1章助っ人】エース・デュース
 【2章助っ人】ハーツラビュル
 【3章助っ人】サバナクロー
 【4章助っ人】オクタヴィネル
 【5章助っ人】スカラビア
 【6章助っ人】ポムフィオーレ

 この法則通りであれば7章はイグニハイド、8章はディアソムニアが助っ人が来ることになる。
 そしてその時にグリム(推定)とのバトルになるのであろうが、現在、ある謎が横たわっている。
 デュースのSDキャラないのなんで? 問題である。
 実はこれは非常に興味深いことなのだが、オバブロした魔法士との戦闘で唯一デュースだけSDキャラが登場していない。

1章オバブロ戦
2章オバブロ戦
3章オバブロ戦
4章オバブロ戦
5章オバブロ戦
6章オバブロ戦
6章オバブロ戦
6章オバブロ戦

 これはなぜか? 現状答えは出ていない。
 考えられるとするならば、デュースのSDキャラを出せない事情があるという理由だが…
 もし運営が意図的にデュースを出さないでいるのならば、それは最終局面でデュースの見せ場があるからではないだろうか。
 では、VSグリム戦でデュースが活躍するのか?
 それは納得のできる構成である。が、その場合、違う疑問が出てくる。
 VSグリムで活躍するなら、何故ハーツラビュルで、エースのSDキャラだけがしれっと登場しているのか? エーデュース両方の足並みを揃えることは簡単だったはずなのに、なぜしなかったのか?
 ……デュースの見せ場とエースの見せ場が異なるのか?

 なら異なる理由とは何か?

 この答えは、現段階では全く想像も予想もつかない。
 しかしノベライズ冒頭に興味深い文章がある。

周囲にあったものはすべて炎で焼け、あるいは暴風に晒されて、崩れていた

「ディズニー ツイステッドワンダーランド THE NOVEL」EPISODE1 真紅の暴君

 これはノベライズ冒頭のプロローグにおける、謎の怪物が暴れ回った際の描写である。
 私は作中で風魔法を使用している男を一人しか知らない。……と言っても2章で言及があったように風魔法は初級で誰でも使用できるし、6章のオルトのトルネード攻撃モーションもある。(また、このNoteを公開して以降に7章内でシルバーが風魔法を使用した)
 風魔法だからと言って、エースが使ったものとは限らない。それどころか、そうでない可能性の方が高い
 だが、もし助っ人章が最初のメンバーを含めてぐるりと回るなら、ディアソムニアが止めに行くのはグリムだけでなく、エースも含まれるのではないか?

 つまりエースはその名のとおり裏切り者になって…グリムをオバブロさせる側に回るのでは?
 そしてだからこそ、リドルから初期構想の赤い外套はなくなったのではないか。それを纏うものが真・ハートの女王の持ち主に移行されたからこそ。

 トラッポラの意味には「裏切る」以上に「騙す・ペテン師・詐欺師」という意味を秘めている。そしてそれが「本来クイーンを受け継ぐはずだった男が、ハートのエースとして周囲を騙している」という意味であるのならば……
 8章、あるいは最終章のエースは夢も何もない状況からリドルからハートの女王という寮長の座を奪い取って裏切ることで、覚醒するのでは……!?
 なんて妄想である。
 真実のところは不明である。
 しかし、エースの手袋が寮服とは違い、正常な黒の配置になっていること。エースが他のトランプ兵と異なる扱いをされていること。リドルはハートの女王より赤の女王の要素が強いこと。
 それらをまとめると、ひょっとしたらひょっとするかもしれない。


【おわりに】

 ここまで長々としたエースに対する考察ともいえないような幻覚妄想長文に付き合っていただいて、誠にありがとうございます。
 この考察が当たっているかどうかは定かではありませんが(というか外れている可能性が高い)
 読者であるあなたがこれからもツイステを楽しむ一助になれば幸いです。
 それでは。

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