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だから私は旦那さんが好きなんです

先週の日曜日、旦那さんは休日出勤が必要になり在宅ワークを余儀なくされた。

休みの日に仕事を持ち帰ってくることはままあったけれど、
リモートで会社の人とやりとりをするのはちょっと珍しかった。

旦那さんのお仕事をできるだけ邪魔はしたくないんだけど、
それでも私は1時間に1回くらいはそっと様子を見たり、
話しかけてみたり、近くでごろごろして一緒に時間を過ごしたりしたい。

恥ずかしいことに旦那さんからは「にゃんこ」と呼ばれているくらいなので
自分で言うのも憚られるが、世に言う甘えん坊というやつだ。恥ずかしいやつで申し訳ない。

欲を言えばいつものように、
ドアをバーン! と開けてなんの理由もなく
「くま! くま!!」と無駄に名前を呼んで飛びついてベタベタしたい。
1時間に1回は。

でも今回は会社の人とつながっている可能性がある。
ネットで見たパンツ一枚の旦那さんが後ろに映り込む! 
みたいなリモートならではの失態は犯せない。
これはフリではない。

なので私はこれを書いて旦那さんの部屋のドアに貼り付けた。

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ちょっとバランスは悪いが悪くはない字だろうと思う。
習字は特別に習い事をしていた訳じゃないけど、じいちゃんがとっても上手な人だったから、
その遺伝子を少しは私が受け継げてるといいな、と思っている。

とにかく、これのおかげで私は旦那さんの部屋の前をうろうろするにとどまることができた。


そして在宅ワークが無事何事もなく終了した次の日、なぜかこの張り紙は洗濯機に貼り付けられていた。
写真の通りだ。

「なんで???」

とそのまま疑問を投げかけると、

「なんか剥がして捨てるのはもったいなくて」と旦那さんは言った。

まるで結界のように旦那さんの部屋に張りっぱなしにするのは嫌だったけれど、
それをわかった上で何の気なしに捨てたりしない旦那さんに胸が温かくきゅっとなった。
全く関係のない場所に貼り付けられているのはいいのかな? とも思うけれど。


私たちは時々、簡単な手紙を書いたりすることがある。
毎回じゃないけど記念日や、日常の気が向いた時なんかに。

お互いそれを大切に(二人とも片付けは下手なのでどこに仕舞ったかわからなくなる時はあるけど)とっている。

相手の言葉やものを大切にできる関係性も好きだ。
私は旦那さんに出会う前までに関係していた男性たちにはあまり良い思い出がない。

記念日に作ったお菓子を手渡した場所である車の中で見付けたこともある。
渡したのは何ヶ月も前の記念日だったし、一口も手もつけられてなかった。

その時何より辛かったのは、
私が失望したり、呆れたり、怒ったり、傷ついたという感情に対して
その彼が誠実に向き合ってくれなかったことだ。

「忘れてただけだよ。仕方ないじゃん。そんな気にしないで。
そんなことより……」

そんなことより。

私の感情は“そんなこと“で済まされるものだった。元彼の前では。


だから今、ただなんとなく自分のために書いたコピー用紙1枚を、
その役割を終えたとしても捨てずに目につくところに置いておいてくれる旦那さんの優しさが嬉しい。

相手の心を無意識のうちに大切にしてくれる。

旦那さんの、そんなところが大好きです。


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