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狂気に戦慄するが、決してそれだけではない

凄いものを目撃してしまった。これをドキュメンタリーと呼んでいいのだろうか。アクト(=演技)というタイトルが何をさすのだろう。登場人物は殺人者の演技ではなく、当の本人が自身の過去を忠実に再現しようとしている。時に加害者を演じ、時に被害者を演じ、過去の現実をリプレイする。そこで気付くのだ。罪に問われずに今生きている自分は、その当時殺人者を演じ、誰かを死に、恐怖に至らしめていた存在だったと。

最後に演じていない我に帰る。そのプロセスに感情移入ではなく、僕らは没頭せざるを得ない。吐き気を催すような言葉や光景、それがこの作品の全てではない。観るものを傍観者にせず、人間の本性が何なのかと問いかけて向こう側に引き込む。覚悟して観にいくアートだと感じた。魂を削られる。パンフは買うべし。

http://www.aok-movie.com

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