夏の暑い盛りに涼やかに咲く花 ムクゲ
空き家になっている友人宅の庭に咲くムクゲの花
丹精込めて育てていた友人の笑顔が忘れられない
夏の盛りにタオルで鉢巻して遊歩道の散歩を欠かさなかった
農業指導員として近在の農家の人たちから多くの信頼を得ていた
病気の発端は便秘からだった
大腸などの手術を繰りかえし、入院の都度車の運転のできない奥さんの自転
車で病院を往復する姿を何度も見た。
車での送迎をかたくなに断りつづけた
彼は、毎年果物の好きな私に柿をもってきてくれた
彼がなくなって十年が過ぎる、その三年後に交通事故で奥さんも亡くなった
残された息子さんたちは東京方面に職を得て家庭をもち、帰郷する意思はな
く空き家となって長い
主がなくとも花々は咲く
春にはハクモクレンに似たコブシの白い花が満開だった
花の中でも白い花が彼の好みだった
夏に強い花、耐寒性の強い花ムクゲ
茶人千宗旦が茶花として愛したことから”宗旦ムクゲ”ともいわれる
そういえば彼は茶人だった。
小さな茶室をもっていてお茶をいただいた記憶がある
その茶室はもうない
風流人の彼ともう会うこともない
丹精を込めて育てたムクゲの花を見ると彼の笑顔を思い出す
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