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他力なロック

ライブだバンドだロックだと
鼻の穴膨らませて
シコシコ書いてる赤毛だけど

リアルの3次元の人たちの傍目には
元バンドマンの夫が家族も仕事も捨てて
ギターと女を両手に花で
古巣高円寺に出戻っちゃったあと
女手一つで娘二人食わせて育ててきた
シングルマザーって絵で映るからだろうか

なんでまた元旦那さんのやってた
バンドやロックを好きだって追っかけてるのかと
腑に落ちないで
今度ライブに行くんですと語る赤毛を訝しくまたは痛々しく見つめるひとも
特に職場の同僚や上司には多くて

何でもないと強がっている

本当は音楽の話なんかしたくないはずなのに
自分等を捨てていった男と同じ世界に
好き好んで自分から住人になろうとしている

いいのに無理しなくても

と言いたげな
労るような
でもどこかでイタイやつだと思っているみたいな
そんな風に視線を逸らすのをまた見ると

いやあ
無理してやってるんじゃないんだけどなと
説明しようとするけど
まあわかってはもらえないかな
自分でも音楽憎し末代まで呪ってやるって
音楽のせいだって思ってたからな

けど
ここに立って書いているのは
全て他力
牛に引かれて善光寺で

まずは長女が高校で軽音部入って
うちにエレキギターがやってきたことが端緒だ

ギター持って元夫が出ていったら
その後長女がギター買ってって
わらしべ長者の始まり

そこから軽音の同級生がうちに遊びに来て
バンドのDVD見たり
文化祭に演奏聞きに行ったり
スタジオに忘れ物届けたり
RADを教えてくれたのも長女のバンドのベースの女の子だった
絶体絶命から聞いてくださいって貸してくれた

音が部屋にまた溢れ出して
それは彼と生活を巡って諍いになった音じゃなくて
高校生の奏でる新しい音で

音の世界に住んでんのは私と彼だけじゃない
彼との苦い思い出だけで音の世界の扉に板打ちつけて封印するのはやめようと

そう思った

そこからは棚ぼた式に
RAD好きの編集者の友だちができて
尻込みする赤毛にボッチ参戦する勇気を与えてくれたり
音楽に苦しんだ日々が音楽で救われるような出会いが次々とワラシベっていった

極めつけはやっぱりnoteで

音のことを書いてみたら
調子っぱズレのヘッタクソな赤毛の音楽に
音を鳴らして答えてくださる方がいるのがわかって
音のことを書いている人がたくさんいることを知って励まされた

それは直接具体的に音楽という意味じゃなくて
その人にとって大切なことを大切にしようと足掻いている人がいるんだという励ましで

そして
こんなかっこいいバンドがいるのかと
ああ何でも元夫にこじつけてしか見れなかった自分の狭量さを
ライブ会場のへの扉を開いて気づかせてくれ
バンドのことやアルバムのことを書くと響く共振に
ああ私はバンドはやったことがないけど
これが後藤さんの振動覚かああと
かああっと頭に血が上って
お股のあたりがジョワンと熱くなった
尿もれではない会陰は締めておる笑笑

だから
今日はバンプのホワイトアルバムを聞きながらトグル入力してるけど
長女は試験勉強しながら
鼻歌歌って一緒に口ずさんでて
いつの間にこの娘のなかにこんなにバンプが溜まっているのか
知らぬは親ばかりなりけりと
独りゴチながら

掃除洗濯溜まった家事をテロテロと
亀の歩みで進める土曜日の昼下がり

旧暦の新年を迎えて
良い一日をおすごしください






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