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ツクツクボウシと三人暮らし
嵐の夜に おんぼろマンションの建付けの悪い窓がガタピシいって
太郎と次郎の屋根に雨がたたきつける
軽い寝息をたてて娘らは夢の中
タンタンタンと小さく喉を鳴らす音は父親譲り
三人は大海原をゆく笹船の乗組員
同じ釜の飯を食った同士だ
こうやってここまで雨露しのいで6年
3人でやって来たんだよなと思うと感慨無量
漠然とした得体の知れない不安に駆られて
ウチ中の通帳という通帳を全部並べて真夜中の残高照会
足し算がくれる安心感には実感も体温もなくて
もし?というタラレバ仮想の不安にすぐに打ち消されてしまう
いくらあったら、私は安心するんだろう
一億、三億?年末ジャンボに当たったら
一つ安心を見つけても、すぐに別の不安が鎌首持ち上げてくる
もしシングルでなかったとしても不測の事態や、思わぬ出費、突然の病気はあり得るし、すべてを想定して備えておくことはできない。シングルには波をかぶるリスクが高いだけで、ゼロリスクはどんな形態の人生にもあり得ない。
そう思うようになったのは、突然大病を身に引き受けてから。
今大丈夫なら大丈夫。その時のことは、そうなってから考えるしかない。そうなる前にいくら考えてもそれは杞憂で、実際に訪れる悪い事態よりも、その不安に押しつぶされる方が、悪くもない今を悪くして、下手な占いみたいに、ホラヤッパリシングルはと言い出しかねない
自作自演のマッチポンプ不安と命名しよう笑
美しい音楽を聞きながら
こうして夕餉を囲み
風呂に入りサッパリ汗を流して
今月号のSPURの特集をヤイノヤイノいいながら三人で見る。え?せっかくBTS、4人顔と名前覚えたのに、今度はBe:First?なんや、また初めからやんか!とソウタ君だけ今夜はマスター笑
こんな幸せな夜があろうか、いわんやをや。
来し方を振り返り、ぼんやりこれからの形を思う。ふたりの娘の幸せを願わぬ親はいない、でも私も幸せに生きたい。娘の幸せ=私の幸せみたいにやってきたけど、当たり前だけど彼女らと私は別人格の別個体、幸せはそれぞれだ。
ツクツクボウシが鳴き始める夏の終わりを感じる夜に。
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