生きているからこそ
その時にそのことを書くとあまりにも生々しすぎて
読んでいても書いていても辛いだろうと思うから
入院中のことは意識して書かないできた
ポエミーに書いたことは何度かあったけど
一年半経ってみてすこおしは
自分の中で体験が肌に馴染んだかと思って
昨日は書いてみた
風穴があいたというか
これで堰を切ったらそれはちょっと簡単すぎるのと思うけど
小話をちょっと書いてみる
SMのプレイでおむつプレイというのがあるらしいけど
いきなりかよ汗
おいおい赤毛下ネタかよって
いやこれは枕ですから
もうちょっとお付き合いくださいませ
赤毛は救急車ストレッチャーに乗せられて
大学病院のおそらく救急口から搬送されて
まだコロナも2類だったし
鼻の孔グリングリンに抗原検査されて
いやさっきの救急HPでも検査されたってのにさって
割れる頭で内心抗議してたけど
寄ってたかって看護士さんに身ぐるみ引っぺがされて
衆人環視の中真っ裸にされて
きゃああなんて叫ぶ間もなく
手術着みたいな病院お寝間着を手早く着せられて
そしてテープ式の紙おむつを装着された
うわああデカパン履いてるのにとか
思ったかなあ
ちょっと今は盛って書いているけど
アクチュアリーそんな余裕なかったな
でもいつ何があるか分かんないなとは思った
備えあれば患いなし
何の備えだか苦笑
まったく予備知識なく心の準備できないままに
暗室管理しますって顔に布のせられて
いや、布は早いやろまだ生きてるってちょっと突っ込みながら
ちらっと視界に、大門ミチコさんのオペ室で映るあの照明器具が
入ったような入らないような
えええ私オペ室に入るのと思ったけど
実際は多分ICUの処置室だったんだと思う
布取ってもらえて目え開けたらICUだったから
しばらくは生きてるだけで精一杯ってところで
空腹はおろか、尿意も便意も感じなかったんだけど
歯を磨いたころから、もじもじを尿意を催し始めた
看護士さんにあの、おトイレ行きたいんですけどっていったら
ええ、大丈夫ですよ、
このままオムツにしてくださってかまいませんと笑顔でいわれ
いえこちらが構います
私トイレに行けますから、歩いていけます、
トイレどこですかとゴネ始める
赤毛さんはベット上の絶対安静です
Drの指示があるまではベットから立ち上がることはできません
ピシャリと言い放たれニベもない
まじかよ、オムツン中なんてできるかよ
怒りで頭がまた痛くなってくる
暫く葛藤して我慢するけど諦めて
しぶしぶオムツにオシッコすることに
陥落する
けれど脳がイエスと言っても
膀胱が尿道が尿道口が言うことを聞かない
トイレ以外で排尿することをよしとしない
どうやったら緩められるのかさっぱりわからない
無言で脳内悪戦苦闘すること数分だろうか
それでも出せない
参ったなこりゃとふっと苦笑いした時
多分体の緊張がゆるんだのか
ジョワンとおむつの中にオシッコヲする自分がいて
おむつの中が自分の体温で暖められた尿で
ほんわか生温くなるのを感じて
あああ、人として何か一線を
おむつでするってことは
超えてしまう気がするなあと感慨にふけっていた
でもこれで終わりじゃなかった
大きい方もある
これもオムツにしろってか!?
絶対嫌だ、車いすもってこい!
アタシは歩けるぞ!トイレに座ってじゃないと出るか!
とぎゃんぎゃん騒いだけど
いるんだろうなそういう患者さん
看護士さんはあわてず騒がず、オマルを持ってきてくれた
オムツの次はオマルかよ!
赤ちゃん返りだな!ともう(笑)けてきたけど
流石におしっこよりも大きい方が羞恥心は強いから
人の気配のする中では出やしない
けれど背に腹は代えられないんだなあ
あんなに絶対に嫌だとか人前じゃ無理とかほざいてたくせに
ホンの数十分してみれば
重力と摂理に負けてプううと昨日の戦いの痕跡をヒリダシタ
あああアタシは生きているんだと
なんだか急にウンチくんが愛おしくなってしまって
お尻を拭いてもらったんだと思うけど
そんな恥ずかしさよりも
こんな状況でも身体が生きたがっていて
ちゃんとウンチを製造して排泄せんと待ち構えていたことに
感動してしまって涙が出てしまったのを覚えている
見た目には同じ行為をSMと呼ぶのかもしれないし
それを快楽と結びつける人もいるのかもしれないけど
私にとっては排泄は生きていることそのものだったし
そこを誰かにお願いせざるを得ない究極の状況もまた
生きているからこそで
もちろん屈辱的だとすら思うような
恥ずかしくて辛い未体験ゾーンな二択の経験だったけど
イチミクロンのイチマクロンのイヤラシサだって
そこにはなかったし
そうせざるを得ない状況に置かれた人への想像力もなく
オムツをプレイに使うのかあと
それはウンコ味のカレーとカレー味のウンコくらい
チープで陳腐でゲスなプレイだと思うと書いておこうと思う
ああ煽ってるって思われるかな
そんなつもりじゃない
ただ
ウンチとかおしっことかコロコロコミック並みに
連打したけれど
この文章は
ICUで紙おむつに排泄したすべての元患者さん
現在進行形の患者さんに捧げたい
え、エラそうなくせに下品というショウもない赤毛
要らんがなこんなの、勝手に捧ぐなやって
同室だったルームメイトたちには怒られそうだけど汗
生きることにしがみつく夜に
カッコいいもカッコ悪いもへったくれも
ないってことを
やっぱり言っておきたいと思うから