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小バトルと大いなる癒し

住んでるボロマンションが、ペット可で、お隣さんはマルチーズとスピッツを飼っておられて、この子達がまたビビりで、ちょっとした気配に反応してギャン泣きするお犬様で、こちとら綱吉じゃねえ!無駄吠えしすぎやろ!うっすい壁しか隔てる物無き都会の集合住宅やぞ!躾け教室とか連れてけや!

と最初は犬並みに私が吠えていたのだけど

飼い主さまも、ウルサイ!ウルサイ!と怒鳴り散らすか、猫なで声ならぬ犬撫で越えで、猫っ可愛がりならぬ、犬っ可愛がりするだけなのを、これまた薄い壁越しに理解して、こりゃダメだと調教に期待するのは諦め

犬笛と称して高い声を出して、コッソリ犬を混乱させたり

とても気配に敏感なのを知って、ワザと抜き足差し足でベランダに出て対人の気配を消して洗濯物を干して

それに気づいたお犬様が警戒して吠えるのを、飼い主には隣部屋の赤毛のチコが息を殺して立ってるなんて思いも寄らないから

どうしたの?誰もいないわよ?と狂ったようにギャン泣きするワンコを優しく抱き上げていると思われ、いや、ここにいるがなーフッフとほくそ笑んでいる。私は性格が悪いんですっ!!

そんなお犬様との小バトルも、日々を生き抜くスパイスで笑

でも、本当に愛おしい犬がこのマンションには一匹おるのだ。

その名もラブちゃん。

フワッフワッのフワッフワッのプードル🐩で、プロのセラピー犬で、施設を訪問しているそうだ。

恐らくセラピー犬はラブちゃんの天職だ。誰もが一目彼女をみるだけでメロメロに心癒やされ、フワフワに触れたいという欲求が湧いてきて、実際触れると、ニンマリ頬が緩み口角が上がるのがわかる。

そして更にスゴいのは、このラブちゃんに出会うタイミングだ。望めよ、さらば与えられん。を、地で行くタイミングで目の前に現れる。

種明かし。実際は私の帰宅時間とラブちゃんのお散歩タイムがかぶって、エレベーターホール前で出くわすのだろうけど。

それにしても、酷く落ち込んだ帰り道や、不安や焦燥にかられる時に、ジャストミートなタイミングでハフハフ甘い息でラブちゃんが現れる!

そして円らな瞳でジッと私を見つめて無言で私を励まし温めてくれる

同じ犬とは思えない。

いや、犬たちに

同じ人間とは思えないと

言われていないか気になって

静かにそっと胸に手を当てたくなる

一瞬にして悩み事を 

一旦置いときなとリセットさせてくれる存在

お隣のギャン泣き君たちを含め

小さき犬の無駄吠えにすら寛容になれない私も存在する

この世界が多様であることに感謝して

蜩鳴く夜に



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