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一本の電話を

ああこの為に今日はここにいたんだなと思うことがあって

たった一本の電話だけど
この電話を直接受けられたか
人づてに言付かったかじゃ雲泥の差だ

重い体引きずって自分のポジション果たしに来てよかったと思った

利用者の奥様から
昼の休憩時間お忙しい仕事の合間を縫って
お電話くださったのだろうと案じられた

奇しくも今日は私は全く声が出なくて

赤毛?さ?ん?ですか?
と電話の向こうの声も訝しげだ

はい。赤毛です。すみません。声が出なくて。
聞くことはできます。
どうぞお話しください。

ご自分が職場の健診で
治療の必要な病気が見つかったこと
そして最近ご主人が利用を休みがちだったのは
奥様の通院の都合だったこと
半年くらい先と思っていたけど
急にベットがあいて
手術しませんかと言われたこと
これもタイミングだからと
思い切って手術を受けようと思うこと

ご報告があった。

ああ、とすべての点と点が線と線で結ばったような感覚。
疑問が瓦解溶解する。

そうでしたか。
お話しくださってありがとうございました。
実はご主人がお休みが増えていることに、
何か理由があるのではないかと気になっていました。
でもこれまでも必要なことはいつもご報告くださっていますから
今回のことも時がくれば
お話しいただけるのだろうとその時を待っていました。

すみません、きっかけがなくて。
お話ししようとは思っていたのですが
ご心配をおかけしていたんですね。

いえいえ。奥様がおっしゃらない間は大丈夫なんだと笑
そう思っていました笑

一問一答受験参考書じゃあるめえし
その場で何でも聞かなきゃ気が済まないくらい気が短けえのか江戸っ子は!
その質問をするのに最適なタイミングというのがあるんだよ。
それを待つことも仕事のうち。
いつかなんてわかんないよ、明日かもしれないし、半年後かもしれないし、死ぬ間際かもしれないよ。

でも、腹ってそういうものを抱えておくためにあるんじゃないの?
相手を信じるってそういうことじゃないの?
少なくとも私の仕事ではそうだと
急いては事を仕損じる
利用するお一人お一人、そのご家族に教えられた

たった一本の電話にでるために
そこに今日はいたんだねと
よかったじゃん仕事に行ってと
腫れた喉がドヤ顔で私に言う笑





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