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如月最後の夜に

去年の2月24日に

次女が高校受験から通った個別指導塾に
大学受験はお財布事情から
大手の予備校にお願いするけど

これまでお世話になった感謝の気持ちを
直接お伝えしたくて
菓子折り下げていった帰り道に

くも膜下出血に見舞われたのだけど

この話はもう擦りすぎだよね汗
もう原型留めなくなってきているし
聞かされる方もまたかと食傷気味だろうなって
わかってるけど

やっぱり何を書こうとしても
その日のことは避けては通れないという
モーメントなんだなって
時がたつほどに思い知らされる

どうか お付き合いください

丁度一年経って
次女が大学受験の結果を報告して先生にお電話を差し上げた

無事に第一志望の大学に合格しましたと

その塾は辞めたけれど
次女にとっては特別な先生で
受験が終わったときには報告しようと決めていたらしい

天才肌というか
かなり個性的な姉をもって
誰も比べたりはしないけれど
それでもやっぱり自分が一番
お姉ちゃんと自分は違う、
お姉ちゃんみたいにはできないと
苦しく思っていたと思う

自分に自信が持てなくて
控えめな志望校を設定した次女に先生は

君にはその力がある
いま合格できる大学を志望校にすることはない
君ならもっと上の大学を目指すことが出来るから
やってごらんなさいと

彼女の背中をそっと押して
空を見上げることを教えてくれた先生だった

始めはコワゴワ恐る恐る
自分にそんな力があるのかと
自信が持てなかった彼女だったけど

一つ一つ小石を積み上げるようにして
模試での順位も合格の判定も着実に上げて来て

そしてサクラサク
大学の門を自分の力で正面突破
開いた

晴れて先生に報告が出来て
先生もかつての教え子からの桜の便りを
ココロから喜んでくださった

聞くと先生は今月いっぱいで定年退職で
退室なさるとのこと
三月にお電話したらお会いできないところだったのを
ニアミス僅差でご縁が繋がった

二月イッパイとお聞きして
休室日を含めると今日しかお会いできる日はなく
あの橋を渡って今夜
退職なさる先生にやはり菓子折りを持って
ご挨拶に伺った

先生にお会いできたことで
彼女はここまで来ることが出来たと思います
先生が励まして自信を持たせてくださったので
彼女も自分を信じてチャレンジする勇気を持つことが出来ました
親にはできなかったことです
先生に親子ともども感謝していますと
熱くなる喉を抑えてお伝えした

いいえ、お嬢さんには元来その力がありました
本人の力です
後は大学に行って本人が何を学ぶかですし
将来を楽しみにしていますと
伝えてください

教育者ってのは先生みたいな人のことを言うんだと
ツクヅク思う
子どもの未来を教育で切り開くことのできる人

学びを通して自分らしさは獲得していくものだと思うから
私はやはりいくつになっても学び続ける人を尊敬するし
ババアになっても自分も学び続けようと思っている

出会いがあれば別れがあって
その別れも思うようには別れらないことも多いから
可能な限りきちんと礼を尽くして別れたいし
それができたこのタイミングに感謝する

橋の袂で生ぬるい風に吹かれながら
東京の真っ暗な空に光る二つの星は
涙でちょっと滲んで見える夜に







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