入院日記 The Beginning

2023年末、なんやかんやがあって入院することになった。
期間は二週間ほど、かなり長いと思う。

せっかくなのでコトの発端から記録を残しておこうと思う。


20231214

先延ばしにしまくっていた健康診断にようやく出向く。
この年末のクソ忙しい時に…と思いつつ、今年を振り返ると今ぐらいしか行けなかったかもなとも思う。

2023年、かなり怒涛の年だった。特に仕事面で。
油断はできないものの、ようやく仕事も見通しがつき始め、今後は先手を打てそうな感じになってきており喜ばしい。

午前休をもらって新宿で健康診断。
一通り検査を終えて、ほぼ終了というところ、心電図で何やら異常が出たらしくちょっと待たされる。
あんまり覚えていないんだけど、とにかく心電図的によろしくない波形で、紹介状が出た。
えっそんな急に大ピンチのことある?

よく話を聞くと2022年の健康診断で糖尿病の精密検査を受けろ、というのも書いてあり
そっちも見てもらってこいとのこと。えっそうだっけ?糖尿病?聞いてないけど?

とりあえず一旦家に戻って午後から仕事をする。
目処が立ってきただけで全然忙しいので、病院行ってる時間ないんだよなあ…。


20231221

なんとか午前休をとって病院へ。
なんだか知らんがめちゃくちゃに混んでいて、診察60分遅れとのこと。事故った山手線かよ。

ようやく診察へ。
えっ心筋梗塞の疑いがあるんですか?おれに?

えっ?

心電図の波形を見るに、明らかに一点、本来山になっていないといけないところが消えていて
循環器の先生としては、この波形を見たら「心筋梗塞やってるな」と思う波形なんだそうだ。

まだ若いし、そうじゃない可能性もあるので、一旦血液検査のために血を取って
週明けに心臓のエコー検査(超音波検査)を行って、心臓がどう動いているかをチェックすることに。

えっ本格的にやばいじゃん。心筋梗塞て。

ひとまず帰ってきて、心筋梗塞について調べる。
説明も受けたけれど、正直それどころじゃなかったのでようやく理解が追いついた感じ。

心臓を動かすにあたって、酸素や栄養が必要になるんだけれど、それを運ぶために心臓には3本の太い血管が張っている。
それを冠状動脈というんだけれど、この血管がなんらかの理由で詰まって酸素が送られなくなると心臓の筋肉に酸素や栄養が送られなくなり
心臓の筋肉が壊死してしまい、心臓が動かなくなり死んでしまうというのが心筋梗塞だ。

血管が詰まる理由はいくつかあるけれど、主な原因は動脈硬化といって血管の壁の弾力がなくなり硬くなり
LDLコレステロールが多くてプラークという血管を狭くするものが溜まってしまったり
血栓ができたりして血の巡りがなくなってしまう可能性があるため、動脈を硬化させないことが非常に大切だ。

その動脈硬化の原因、さまざまなものが上げられるが、糖尿病もその一つである。
他にも高血圧や脂質異常症、喫煙なども原因として考えられ、おれは高血圧も脂質異常症も持っていてかなりやばい。

とりあえずは生活の改善、ということなので食事に気を付ける。
インターネットを使ってどんな食事がいいのかを調べ、なんとか回復するよう祈りながら食事をする。
急に(身体的には急じゃないが)現れたものに対してなりふり構ってはいられない。

流石に展開が急すぎてよく寝れない。まだ混乱している気がする。


20231225

午後半休をもらって各種検査に。

結論として、心臓に張っている冠状動脈のうち一本がかなり元気のない状態になってしまっており
もう少し詳しい検査と、投薬治療を始めなければいけないとのこと。
血栓などにより心筋梗塞を起こしているか?それにより手術などの対応は必要か?というのは
より詳しい検査を行わないとわからないらしい。
当然ながら良い状態ではないので、ちょっと空いてしまうが年明けすぐにCTスキャンによる検査を実施することに。

そして血液検査の結果から、おそらく糖尿病により引き起こされた可能性が高く
もう数値がめちゃくちゃ悪いということなので明日に代謝内科の診察も入れてもらう。

現状倒れたりはしていないものの、全然死ぬ可能性はありそうで、かなりショックな結果が出てしまった。
えっ、とか言ってる場合ではない、正直大混乱だ。

かなりの危機的状況に置かれているのは理解できたし、今すぐにでも叫び出したい衝動がないと言えば嘘になるけれど
実際のところ驚くほど冷静に状況をまとめ、上司に連絡、明日も通院の時間が欲しいと言えていたので
人は窮地に陥った時、思ったより冷静なのかもしれないな、と今になって思う。


20231226

流石に気持ちが落ち込んでいて眠れない。
寝不足もリスク増加なので本当は寝ないといけないのだけれど。

調べれば調べるほど、おれの体の状態がよろしくないということがわかる。
昨日、ついでのように言われたが肝臓の数値も悪いらしい。ほとんどお酒のまないのに。

疲れてはいたのでなんとか眠り、起きる。
今後、辛いことやしんどいことが増えていって、眠れないことが多くなると思うんだけれど
そういう時は文章を書けばいいのかもしれない、とぼんやり考える。

突然真横に”死”が迫ってきて、かなり焦っているのはその通りなんだけれど
とにかくなんらかの形で”おれが考えたこと”をできるだけ多く形にしないといけない、と思った。

病気に向き合えば向き合うほど、しんどくなってしまうに決まっているので
違う考えで頭の中を満たしながら、何か、おれが生きた証を、爪跡を残さなければならない。

午前半休をもらって今日も病院へ。
今日は代謝内科で糖尿病についての話をする。

診察室に入って、先生が開口一番「数値がめちゃくちゃ悪くて、とりあえず二週間入院しましょうか」とのこと。

入院!

確かにおれは死にそうなのだが、仕事もあるし正直おれの仕事は二週間も空けられる仕事じゃない。
しかしこれはもうきっとそうしないとマジでやばい状況なのだろう、と思う。

仕事の調整もあるので一旦持ち帰らせてください、という形にしてもらい今日の診察は終了。
一旦どうしとけばいいですか?と聞いたところ、バランスよく食事して、運動は正直心臓次第だからあんましないで、とのこと。
入院に関しての説明も受けた。いわゆる「教育入院」というやつだ。

突然だけれど、糖尿病は治らない病気らしい。
厳密に言うと、治ることもあるんだけれど、基本的に一度かかってしまったら
どれだけ頑張っても”寛解”どまりになる病気なのだそうだ。

寛解というのは、病気の症状や兆候が軽減、または消失している状態なのだけれど
状況によってまたいつか症状が出てくる可能性がある状態だ。
病気の元が完全に消え去る”治癒”とは異なる。

おれは痛風も患っているのだけれど、痛風も基本的には”寛解”までしかない。
一度かかったらうまく付き合っていくしかない病気だ。

そんなタチの悪い病気でありながら、体外的な処置(インスリン注射など)を必要とすることもあるため
ある程度の時間をかけて、具体的な機器の使い方やインスリンの打ち方
病気そのものへの理解や、何かあったときの対処法など、糖尿病との付き合い方を学ぶのが「教育入院」だ。
そもそもそういうものがあること自体を知らなかったし、それほどまでに大変な病気なのだと改めて認識させられる。

入院中は体内の動脈硬化が進んでいないかどうかを確認するべく、全身の検査に入ってくるらしい。
ここまで矢継ぎ早にいろんなことが起こると、面白いもんで逆に脳みそはどんどん冴えていく。

上司に状況報告をして、二週間の入院が可能かどうか?の検討に入る。
年内はあと2営業日、ひとまず一月半ばから一月末にかけての自分のタスクと工数を洗い出し
どのようにすれば全てを終わらせることができる、あるいはオミットの検討に入れるかをまとめる作業を行う。

Twitterのフォロワーさんから「糖尿病は歯周病とも密接な関係にあるから気をつけて」とアドバイスをもらう。
へぇ!そうなの!知らなかった。ちょっと年末に歯医者にもいってきます。


20231230

気を抜くと気持ちが落ち込んでしまうので、なんとか紛らわせる方法を探している。

実に3年ぶりに実家へ向かう。
おれが実家を出てから一度引っ越しているので、行ったことがない実家だ。

おれが実家においてきた荷物の一部を回収し、近況の報告もする。
久々に会って病気の話から始まるのはちょっと申し訳ないが、流石にこれは報告せざるを得ない。

ものすごくざっくり言ってしまうと、おれは両親との仲が良くない。
好き勝手に生きてきて、家族のことを顧みたことはほとんどない。
縁を切るまではいかないものの、ほぼ没交渉で生きてきた。
そんな風に生きてきたのに、結局年食って和解するんだ。
わかりやすく社会的な行動、と思って少しげんなりする。

最寄駅に戻り、歯医者へ。
ひとまず歯周病にかかってはいなさそう、しかし汚れていることには違いないので、数週間かけて洗浄し
その後は四半期に一回定期検診に来てね、とのことでした。
歯周病なくてよかった、久々の明るいニュース。


20240104

減塩を試行錯誤したり、謎の動画を作ったり、インターネットを見たりしていたらあっという間に三が日が終わってしまった。

病院でCT検査を行う。
造影剤という、血管が見えやすくなる薬を投与して、心臓を輪切りに撮影していく検査だ。
初めて造影剤を入れたんだけれど、全身がガッと熱をもって、ぶわっと体が熱くなるのを感じすこし気持ち悪かった。
あと10分腕あげるのしんどすぎ。左肩痛くなっちゃった。

その後代謝内科で入院の話をして、1/17からの入院が決定。
元々1/15からの打診を受けていたのですが、仕事との兼ね合いでギリギリ月内に収まるよう調整してもらった。

帰ってきて午後から始業。
かなりしんどいスケジュール感になりそうだけど、なんだかんだで日程とタスク整理は調整がつきそう。
ここからは二週間分の業務を巻くという、鬼のような作業が待っています。

食事を変えて10日ほど、3kgほど体重が落ちていてかなり驚く。


20240111

食事を変えて大体20日、6kg減っており逆に怖くなってくる。
これ別の病気の可能性ないですか、大丈夫ですか。
今日の先生循環器の先生だけど聞くだけ聞いてみるか…。

今日はCT検査の結果が出る日です。シンプルに怖い!

相変わらず待たされてようやく診察。
結論から言うと、今現在心臓の動脈硬化や血栓は認められないとのこと。
冠状動脈3本とも現在血が通っていて、どこかが詰まっている様子はなさそう。

う、うおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!
このところで一番脳にキたかもしれん!!!!!!!!!
めちゃくちゃデカく息吐いた!!!!!!!!!!!よかった!!!!!!!!!!!!!

が、これまでの心電図など省みるに、”過去に心筋梗塞をやっていた可能性”ば多いにあるとのこと。
それはまた別の検査で調べることができて、緊急性はないので一旦置いておくとして
とりあえず今現在、おれの心臓の様子はキレイです、ということだった。

ようやく少し明るい話題が飛び込み、緊張の糸がちょっとだけほぐれたような気がする。

帰宅、上司に今日の結果を報告して仕事へ。
怪我の功名、じゃないけれど、食事を変えてから「あれをやろう」「これをやろう」
ということがどんどん出てきて、それを今次々とこなしていっている。

暮らしが正常に戻りつつあることの証左かもしれない。
そういえばおれは元来、何かものを作るのが好きだったことを思い出した。


20240116

朝に病院から電話があり、明日の入院時間8時半からだったのを11時にずらせないか、とのこと。
病院が満床らしく、入れ替わりで退院する人の時間が8時半だと間に合わないんだそうだ。
そんなにギリギリの状態なのか、大丈夫か。

仕事が終わらない。
二週間巻くのは一筋縄じゃいかない、というのは十分にわかっていたのですがかなり厳しい。

ほぼほぼ終わってるんですけどあと数個の仕事に手がつかない。
連日こんな感じで追われていたので嫌になってしまって、いよいよYouTubeを見始めてしまった。

明日入院です、準備は何も終わっていません。

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