見出し画像

白昼夢の青写真 プレイ後感想

美少女ゲームブランドLaplacian様の最新作「白昼夢の青写真」の感想を書いていきます。
本作はCASE1.2.3という世界観が全く異なった3篇をプレイした後に、CASE0(いわゆるグランドルート)がアンロックされるという構成になっています。なので、各CASEごとの感想をサラっと。

CASE1

コメント 2020-06-12 215638

中年国語教師、有島(既婚)が教え子に欲情し禁断の恋に溺れていくお話。OP曲は「クラムボン」。あらすじや雰囲気からはどう頑張っても幸せな結末は想像できないし、実際惰性のままに毎日を過ごしている有島のモノローグを淡々と読み続けることになります。これ面白いんか…?と思われるかもしれませんが、実際めちゃくちゃ面白いんだから不思議です。派手な展開はありませんが心理描写がとにかく上手く、ぐいぐい引き込まれます。
☆印象に残ったシーン
凜ちゃんって両親には先立たれていて、親の遺産を頼りに一人暮らしをしているんですよね。この親の遺産がなかなか莫大で、そのおかげで一般の人とはだいぶかけ離れた金銭感覚を持ち合わせています。物語を読み進めていくと有島と凜ちゃんが親密になり一緒に食事もとるようになるのですが、その際に凜ちゃんは高価なワインを振舞います。しかし、有島に君はこういうことをしても幸せにはなれない、と諭されてしまうんですよね。そして画像のシーンにつながります。

スクリーンショット 2020-10-05 120718

諭されてすぐに即人生初バイトに挑戦します。素直すぎて…凜ちゃんは学校に友達もおらず天涯孤独の身なので、実際コミュニケーションを必要とするバイトに悪戦苦闘します。でもそんな凜ちゃんを読み手のこっちとしてはめっちゃ応援したくなるんですよ。こうやってどんどん物語に没入していくんですよね…

CASE2

没落貴族であるオリヴィア・ベリーが稀代の作家ウィリアム・シェイクスピアを身請けし、自身の劇団を盛り立てていくお話。基本的に有島とヒロインの凛という2人でストーリーが展開されていくCASE1とは打って変わって、劇団員やサブキャラの登場人物も多めです。またキャラクター同士の掛け合いがメインとなっていて、CASE1とは全く違った面白さがあります。各CASE毎に違った体験が出来るのは今作の大きな魅力の一つですが、ここまで見事に描き分けられることに脱帽します。

スクリーンショット 2020-10-04 192139

☆印象に残ったシーン
これは間違いなく「ロミオとジュリエット」上映シーンです。実はこの時代は女性が舞台に立つことは許されておらず、オリヴィアは男装して男性の役を演じていました。ウィルは奴隷として脚本を書くことを強いられていたため、最初は演劇に対する熱意もあまりありませんでした。しかし脚本を書き、演劇の練習をしていくうちにどんどんのめりこんでいきます。そして自分の書いた脚本で華々しい演技をするオリヴィアに惹かれていきます。オリヴィアは舞台の上でこそ光り輝く女性だったのです。

スクリーンショット 2020-10-05 121913

劇の内容で二人の未来を暗示する、という手法自体は特段珍しいものではないかもしれません。でもこのシーンで自分は号泣してしまったんですよね…BGMの破壊力も相まって白昼夢の青写真全体の中でもかなり印象に残っているシーンです。

CASE3

不登校児であるカンナを学校に連れていくために家庭訪問にきた教育実習生のすもも。そんな2人の甘酸っぱい恋愛模様を味わえるCASEです。ぶっちゃけ結構重めな展開が多い今作ですが、唯一の清涼剤ともいえます。恋愛強者であるはずのヒロインのすももが、初々しい高校生のカンナ君に惹かれていく様はみていて微笑ましい気持ちになれます。ストーリーも王道を行く感じで、安心してみていられます。白髪×ギャルの組み合わせがこんなに強力だとは…

ももコメント 2020-04-12 101553

☆印象に残ったシーン
すももは昔ついていた職業のせいで母親が周囲の人に馬鹿にされるというつらい過去を背負っています。そのため、教員免許を取ることで母親がこれ以上何も言われないように、と努力していたんですよね。しかし残念ながらすももに教師の仕事内容は向いておらず、クラスの生徒たちと打ち解けられないまま教育実習期間を終えてしまいます。

スクリーンショット 2020-10-05 122925

画像のシーンではそんなすももが失恋した女の子の髪を切ってあげています。恋愛強者の自分なりのアドバイスも交えながら。教育実習生の時には生徒と仲良くなれなかったすももが、皮肉にもその立場でなくなってから心を通わせることが出来たという心温まるシーンです。この時点ですももが将来就く職業が暗示されているのもいいっすね…こういう細かい伏線の貼り方が本当に上手いんですよ。

CASE0

白昼夢の青写真では全118枚のCGを鑑賞モードで鑑賞することが出来ますが、CASE1~3まで読み終わっても半分以上はロックされた状態になります。これだけで、どれだけのエネルギーがCASE0に込められているかが分かります。体験版時点でも徹底的に世界観は秘匿されていて、現在でもそのスタンスは貫かれています。(画像のスクショは体験版時点の内容のものになります。)そのため内容には触れず所感だけを。
正直CASE1~3が国も、舞台背景も、世界観も全く異なるものであるためこれらをどうまとめるんだろうという一抹の不安はありました。まあ杞憂に終わるんですけどね…ヒロイン全員同じ声優さん&髪の毛と目の色も同じという要素からSF好きな方ならすぐに気づかれたかもしれませんが…
とにかく世界観の構築に力が入れられているな、という印象を受けました。扱っている題材が「記憶と人格の形成」という難しめのものであり、説明不足の箇所があるとユーザーが置いてけぼりを食らってしまう可能性もあります。しかし今作ではかなり緻密にシナリオが練られているのでその心配はありません。各CASE毎の伏線を回収し、CASE0自体の全容が徐々に明らかにされていく様は圧巻です。

スクリーンショット 2020-10-04 194521

☆印象に残ったシーン
多すぎて選べません、すみません。ていうか何書いてもネタバレになってしまう…

長々と書いてきましたが、ぶっちゃけ体験版をプレイしていただければこの作品に込められた熱量が伝わるんじゃないかなーと思います。ネタバレなしでこの作品の凄さを伝えるのは無理だと悟りました。()

これを書いている今は頭も冷えて冷静になれましたが、エピローグまで読み終わった日は何とも言えない感情で胸がいっぱいになってました。「このゲームをやっている時の感情を上手く言語化できない」という意見をちょくちょく聞きますが、まさしくその通りです。底が知れない…
自分が積極的に創作物をたしなむようになったのは数年前からになりますが、その中でもトップクラスに好きな作品です。というか一番好きかもしれません。
自分の感性を信じて買ってよかった。そんな気持ちにさせてくれました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?