7.The Chariot(戦車)

戦いにおける勝利・自己顕示・順調・リーダーシップの発揮

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個人的に「太陽(The Sun)」と似た意味で解釈されがちなイメージのあるカードです。どちらも成功を意味するポジティブな意味合いのカードですが、こちらは「戦闘によって勝ち取る成功」という限定された意味が強いと捉えるのがより正確かと思われます。(シンボルが人間であるか、天体であるかの時点でスケールがずいぶん違うことは伺えるかと思いますが)

戦争において己の意思を貫き通し、それが敵を打ち負かすことを表します。

戦いには必ず勝者と敗者の存在があり、その内の勝者となった意識が現れたものです。そのため、描かれた人物はユリウス・カエサルであるとか、アレクサンドロス大王であるとか、大きな勝利を収めてきた有名な王や王子であると解釈されます。彼の額には星が輝き、その先にしっかり希望が見えていることがわかります。ライダー版では戦車を牽く動物はなぜか白と黒のスフィンクスの姿をしていますが、いずれも反対の方向に向かおうとするエネルギーそのものを象徴し、戦争という「対立」を象徴する他、それらを統制してはじめて前進する王の力をも強く引き立てます。二つの対立の力が激しいほど、この戦車のカードの力はより強烈に意味づけされるでしょう。

戦車中央に描かれた盾の絵に描かれるのは男性器の象徴、すなわち、争いが力のぶつかり合いというシンプルな形で起きていることを示していると解釈でき、同じく男性的力の象徴群である小アルカナの「棒」のスートとのつながりの強さを感じます。特に、勝利の凱旋を意味する「棒の6」はより近い意味になり、同時に場に出た時にはより大人数を巻き込む派手なイメージを持ちます。それ以外にも、殆どの「棒」のカードと関連付けがしやすいカードです。

ちなみに小アルカナスート「剣」の方がより戦争とも縁が近いように感じられるように思えますが、絵柄を良く見ていただければ分かる通り「棒」と比較すると、あまりゴタゴタと争う印象が見受けられません。「剣」のスートが持つ物語は「知性」であると言われており、より内面的な性格を持っています。

しかし、周りの敵を蹴散らして激しく前進する一面である故に、その先の道がまだ見えていない不安定な要素も同時に持っていることを肝に銘じなければなりません。戦いに勝つことは、終わりを意味してはいないからです。

また、この「戦い」とは内面の自分自身の中に起こるものとしても当然理解されます。そして、その行先に現れるカードは、おそらく到達したい勝利のためのヒントとなるはずです。

リバースを読み取るなら、推進力が不足していたり、一人ではなし得ないこと、誰かに頼らなければならないことの現れであったりするでしょう。

また、「戦車」と同じく男性的なパワーを意味するアルカナは「魔術師(The Magician)」や「皇帝(The Emperor)」があります。「教皇(The Hierophant)」も「女教皇(High Priestess)」と対になっているように見えるため男性的側面がなくはないのですが、こちらはルールや制約そのものの象徴の側面が強く、あまり人間性としての意味を持たないものです。

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