13.Death(死)

終わり・圧倒的力によるねじ伏せ・新たな始まりへのきっかけ

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「『死』のカードは13番」というのは、ジョジョの奇妙な冒険シリーズが好きだった人であれば大体覚えてしまっているかもしれません。第三部では大アルカナ全ての名前を持つスタンドが現れるのですが、なぜか「死」だけは「デス・サーティーン」と番号がセットだったんですよね…。さすがに「デス」だけでは名前的に映えないからでしょうか。

そして、「死」こそはタロットカードの中でも特別目立つ存在のカードです。昨今では「オラクル・カード」と呼ばれるカードが大量に出回っていますが、特にそれらが意識しているのは、タロットの持つあまりにも率直なイメージであり、それらを排除して解釈に幅を持たせることではないかと感じています。特に、タロットにおける「死」に並ぶ分かりやすいカードは他ではなかなかみられないのではないでしょうか?とにかく、「これを引いたら終わり」というイメージが強烈で、何か不吉な予言めいたカードのように扱われがちでもあります。

ライダー版における「白馬に乗った死神」で描かれる「死」の姿は、ヨーロッパにおけるペストの流行と重ねて解釈される場合が多いようです。絵の中に描かれた、女子供など弱者や階級の枠も超えてやってくる「死をもたらす疫病」はまさに、人間にとって「祈るしかない」、見ることも抵抗するともかなわない、容赦のない圧倒的力であったろうと思えます。

また、新約聖書における「ヨハネの黙示録」に登場する「4番目の騎士(ペイル・ライダー)」とも重なるイメージを持ちます。オカルト的なシンボルを多用するライダー版タロットにおいて、「世界の終末に死を連れてやってくる騎士」が意識されないはずはないでしょう。死神の乗る馬の色や、武装した姿は様々な憶測をよんではいるものの、そこから紐付けられているとも解釈できます。13の数字そのものがキリスト教における不吉な数字であることも周知の通りです。(そもそも全てのカードの絵柄に対して、元絵を制作したパメラ・コールマン・スミスや、事細かに作画に対する指示をしたというアーサー・エドワード・ウェイトによる意図の詳細は語られていないため、全ては個別の直感的解釈に委ねられています)


このカードが象徴するものは主に

有無を言わさずやってくる物事の終わり、リセット、死そのもの

などです。

かなりシンプルな意味ですが、単純にネガティブで悪いカードという解釈はすべきではないというのがリーディングにおいては基本的な捉え方です。「死神のカードを引いたから死ぬ」なんてアホなリーディングは、今時ホラー漫画でも滅多にお目にかかることはないでしょう。よく見れば分かる通り、祈りを捧げる司祭は殺されることなく正面から「死」と向き合っており、この絵の背景には、きちんと昇りつつある太陽が希望のように描かれています。

大アルカナの「月(THE MOON)」とは、絵の中に描かれるシンボルにも共通点があることは覚えておいて損はないのではないかと感じます。「月」の意味は「迷走、憂鬱、失敗、失望」といったようなものであり、何かがうまく運ばない様子を示しますが、「死」のカードにも見える「水辺の近くにある、明かりの下の二つの塔」は、この景色につながりがあることを感じさせます。ただし、「死」における塔の向こう側の景色に見える光は月の光か、太陽の光かは定かではありません。

スプレッドを組むのであれば、「塔」との並びは「失敗による、望まない終わり」というより強烈なメッセージを表現しますし、小アルカナの「棒の8」との組み合わせは「望むにしろ望まないにしろ早急に訪れる終わり」であることが示され、「杯の5」との組み合わせは「絶望の中訪れる終わり、諦めによる終わり」というエネルギーの枯渇を意味するように理解できます。

「愚者」「女帝」「恋人」など生産性や物事の始まりを表すカードと組み合わされば、真逆の性質であるために、どちらかを否定するメッセージになると捉えられます。リバース(逆位置)の解釈も含めて占う場合は、リバースになった側の意味が否定される形になる事が多いと思われます。また、「審判」のカードと組み合わさる場合も、それが絶望からの復帰を表す場合と、逆に切り捨てられて絶望に追い込まれる場合とで極端に解釈が分かれるでしょう。

いずれもそこで立ち止まってしまえば、そこが本当の「死に場所」になり得るでしょうし、正面から現実を受け止めて道を変えるのであれば、また別の道、別の見え方が現れてくるカードです。

リバースを解釈するのであれば、死神の持つ旗の薔薇の絵が正位置となり、生命力がまだあることを表現し、或いは、その半端さ故に「切れそうで切れない、微妙な関係性」に引きずられる可能性も示唆します。

このカードはあらゆる方向性で、「人の努力ではどうしようもない、終わりの運命」を象徴しています。「死」とは始まった以上避けたくても逃げることはできないものです。何かどうしても執着してやめられないことがあるなら、仕方ないこととして今こそがっつり受け止めて、道を新しく探し前へ向かうのが最善でしょう。

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