エレベーターの悪夢
女は潜入用のレザースーツに着替え、上階を目指す。
一見するとSMの女王様のようなこのスーツは、動きやすさを考慮した短めのミニスカートとなっており、ボディラインに張り付く設計となっている上半身は、女の豊満な胸が収まりきらない。パックリ開いた胸元には深い谷間が出来ている。
30階建てのビルはその殆どがオフィスであるが、25階より上は一般の社員では立ち入ることができないフロアがいくつか存在し、それらは研究室であることが事前の調査で分かっていた。
女は、このフロアにこそ今回の依頼内容である黒い実験の実体が隠されていると睨んでいた。
村田への拷問の末に手に入れた情報によると、フロアはかなりのセキュリティレベルを有しており、入り口には常に警備員が2人、フロア内にも巡回警備員が多数と、部外者の侵入を絶対に許さない様相をしている。
女は研究室フロアの下階までエレベーターで登り、そこからは階段室を登って警備の手薄な裏口から侵入することとした。
エレベーターに乗り込むと研究室フロアの下階である24階を押す。
途中、エレベーターが目的の階にたどり着く前に失速しているのを感じた。
人が乗ってくる。そう思った女は、素早い動きでまだ動いているエレベータの天井を開き、屋根上に潜む。
エレベーターが止まる。間一髪のところで女は屋根上に身を隠すことができたが、天井の蓋を閉める余裕はなかったため、エレベーターの天井は大きく口を開いている。
女が屋根上に隠れた瞬間に乗ってきたのは白衣を纏っている男。どうやら研究室フロアの職員のようだ。
「この男のカードキーと『顔』があれば潜入は容易だ。」
警備員との直接対決を避けるため、女は研究室フロアへの潜入プランを変更する。その後の行動は早かった。女は男を仕留めるために動き出す。
男はエレベーターを閉じ目的の階のボタンを押そうとした瞬間、すでに目的地が設定されていることに気付く。おかしいと思った男が周りを見渡した瞬間。
ギュルッ!
男の頭上から目の前に2本の脚が現れ、男の首を挟み込み、男の背中側で脹脛を交差させる。
瞬く間に男の首は女の太股に包み込まれる形になった。
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