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さくさくリンゴのチョコミン☆デニッシュ ~初夏・出会い編~

 暑い──。そして暑い。ι(´Д`υ)アツィー

 4月某日のこと。すでに暑いが暑すぎましたの日です。一方8月現在は台風だかスコールだかよくわからないものが降っています。日本語がおかしくなるほどの暑さが続いておりますね。

 もはや日本の当たり前となりつつある、春と秋だけ秒で蒸発する現象。地球環境は改悪アップデートのため雨期が実装されたのでしょう。おじいさんのわたしは山のスーパーに常備牛乳とコーヒーの買い出しに、そしておばあさんのわたしは川のスーパーにペットボトルのリサイクルをしにいきました。

 そしてわたしたちはそれらを忘れて帰宅しました。

 なぜなら記憶が上書きされてしまったからです。

 そういえば炊飯のお供こと押し麦と雑穀がなかったなって。これじゃあかぐや姫が桃太郎に不戦勝になってしまう。せめて桃太郎には相討ちの名誉を持たせてやらねばと。老婆心でした。

 いくら歩くのがすきだからといって、無駄に往復するのだけは絶対に許さんという信念あるいは本能に焦がされながら、忸怩じくじたる思いで帰途に就いていたのです。じいじの背中は汗でジワジワでした。

 ──許さん。我が海馬許すまじ。この恨み、晴らさで置くべきか。

 自分で自分を許せない者は他人をゆるすことなどできません。絶対に自分を許さなければなりません。そのためには、絶対に許さない自分をゆるさねばならないのです。

 我の手札より代償カロリーを用いて召喚!
 すごくすごいやさしい世界ジェントリフィケーション!!

 帰宅したわたしは、明日の朝食として手札に温存していたリンゴのデニッシュの袋を早々に引き裂きました。ハーフカットサイズで、甘く黄金色に煮込まれた、さくさくりんご。その目見麗しい姿に獣欲をたぎらせます。ハッハァ…昂ってきたぜ。なのです。

 魔法はちゃんと魔法でなければなりません。単にそれを貪るだけでは、カロリーの無駄遣いです。やらねばならないのです。祭り──それは公共の福祉、そして逆巻くハレとケを司り、天賦不運を流転させる究極の無駄遣い──そのいただきへ昇華するのです。バディはコンビでコラボレーションでレボリューションするのです。

 さらにトラップカードオープン!
 去年から冷凍庫に眠る草神の姫ニューワールドオーダー・チョコミントアイス!!

 おもむろにお皿に盛ります。料理……? 知らない単語ですね。 

 はい食べます。買いたてだからデニッシュだけがまずサクゥ~~~っとしている内にチョコミントアイスGo! GoGoGo!! はいおいしい!! なんかおしゃれでおたかいカフェにありがちなすごくすごいアラモードみたいな味するね!!!!!!


 すかさずリンゴ部にガブゥゥゥっと訓練された猟犬もビビり散らかすほどの狂犬チワワと化します。手負いの獣はあぶない。弱い犬ほどよく吠える。つまり精神的手負いイライラしたチワワがこの世で一番オラついてるってことだぜェェェェェェェェっしゃおいしいいいいいいいいいいのコレ!

 ここが本領です。さいきん流行ってるアイス状のケーキとかアイスを添えたパンケーキとかそういう、そしてフルーツパフェ、アイスとセットでジェントリックな味わいになるアレですね、それがひとくちで全部盛り! しかも! ヤスイ! 推定300円!! これでテンションブチ上げねぇヤツは甘味に飢える者スイーターを名乗る資格nothing!!!!!

 いやなら大人しくカフェで五倍の値段を払いな。それは礼儀作法代だ。

 おうちでマナーを捨てた獣なら、そんな無駄金に釣られることはない。恥じらいを捨てろ。真の漢になれ。おまえの退化した犬歯を想像で研ぎ澄ませてガブつけ。これは通過儀礼レセプション。人間性を谷底に突き落とされ、それでも這い上がるおまえの獣性がささやくのだ。これでおまえも甘味に飢える者スイーターの仲間入りを果たすだろう……。

 * * * * *

 ……いけませんわね。少々ハメを外し過ぎました。映えある立派なチョコミン党のみなさん。季節はめぐりました。涼を求めし者達よ。存分に励みなさい。

われわれが深淵を覗くとき、深淵もまたわれわれを覗いているのだ……