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私的時空間交響曲差分旅十字間

 人生を折り返して畳んでいく。整える。

 箪笥たんすに記憶を植え肥やす。


 さて突然ですが車とはプライベート空間そのものなわけであります。例え赤ちゃんがGang Star Cryingしていても大丈夫。爆音カーステレオはダダ漏れだけど駄々っ子程度は漏れないものです。

 バス電車ほどに広がるともはや私らしさ? などは薄まり公共空間と相成りまして、色々なものが漏れてしまうものです。

 気軽に友人知人を車で運ぶ人を何人か記憶にあぶりだすと、作為的にサンプリングされた結果が返却されるのであります。いや実際、無作為に産み落とされた個人の記憶だから無作為な結果の傾向も同時に有しておりますね。それでもみんなの無意識が作為的にふるまった時代の傾向、というやつが産み落とした魔女は火炙りの刑なのです。処します。

 うっかり「あぶない時空間」でおケツからガスをお漏らししたら引火してしまうのであります。ガス漏れしたけど換気が行き届いていて助かりました。

 ひとびとに望まれた安心安全空間だからといって、安心安全で緩みすぎて過去おもいでを基準にして過去おもいでを再評価するような感想をうっかりこぼすと、異なる時間軸を生きている人にとっては何の話? となってしまいます。何の話でしょうね? こだまでしょうか。そうです過去からの世にも奇妙な反響こだまです。

「あれ、今って今だよね?」
「せやせや(笑)今って今だったわ」

 すこし ふしぎな会話。

 酒に酔うより空気に酔う方がガードが緩むのであります。それはそう。ひとによりそう。いかなるボクサーも酔っぱらって喧嘩するときはちゃんと殴れるというものです。

 しかし、いかなるボクサーも愛する人を無意味にいきなり殴りはしません。色々ありすぎて愛する人と袂を分かつようなことでもない限り。それはそう。ひとによりそう。寄り添う岸辺を選ばなければ露と消えます。伴侶ともども川流れ。

 安心すると危機管理のガードが緩むのです。安全を確保するには危機管理のガードを厳しくせねばならんのです。緩んだボクサーのパンチを受け止めたミットで逆に殴り返して差し上げるのがトレーナーさんの役割であります。本来、安全は安心を殴るために生きています。安心は安全をハグするために生きています。

 どちらもかけがえのない𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬...。

 相克する愛を以て "安心安全!!" という風に契り交わしたかのごとく共に生きているその姿をみれば、まるで「あぶない時空間」で殴り合うアレとコレも安心安全、LOVE生涯現役、一生一緒にいてくれやの約束を指切りげんまんなのでウソついたら針千本でサボテンダーの刑に処すぞとなります。

 すこし前は語義矛盾も甚だしい安心安全に対して受け売りの草を生やしていたものであります。しかし草を生やせば花開き実が成るというものです。極まった神の見えざる手により磁石のようにS極N極が発生するのです。

 なるべくしてなった。くっつくべくしてくっついた。ゴリゴリに斥力が働いていてもいざ無理くり接合すると、今度は離そうとしたらグイグイ引力が働くレベルでハマる。そういうこともあります。宇宙DV。世界の法則は真面目に考えすぎるとむずかしい。とにかく事実として起きたことは何でも起きたことなのです。助けてください。

 事実として安心安全は爆誕しました。その背景を説明しようとするとそれなりの専門知識で針千本、針万本のちくちく言葉が必要になります。無暗に人の心を刺してはいけません。鍼灸師の資格を以て行ってください。

 これは健康のためだから……。
 わるい気を祓うためだから……。
 だからアナタのわるいところを刺しますね。

 ほら、だんだんと
 あたたかくなってきませんか……?

 さあ、体に任せて
 心もリラックスしましょうね……?

 そういうわけで自分で自分を刺すのはあまりよくありません。たいてい無資格なので。それはそう。ひとによりそう。疲れた足を揉むくらいが、お風呂に入って緩めるくらいがちょうどいいということであります。

 ああ、わたしは、いったい……
 いったい何をしているのでしょう?

 たぶん揉んでいます。もみもみ。
 揉まれていると思ったアナタはわたしです。

 逃げて! 巻き込まれないで!!
 はやく……ここから……逃げて……

 *演者A、悲しみを断ち切る決意で頬を引き締め、走り出す。決して振り返らず、しかし、振り返りたい気持ちを抑えるため、一層顔をしかめる

 *演者B、その姿が見えなくなるまで笑顔を引き締め、見送る。涙が一筋流れ落ち、頬を緩めると共に画面暗転開始








 フゥ……書けた! やはりいそがしいときは日記回に限る。待ってろサイゲ、来週こそ書くぜ……!(日記回とは? ボブはいぶかしんだ)


われわれが深淵を覗くとき、深淵もまたわれわれを覗いているのだ……