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自白ったことを自白する

 転んでも進次郎構文。おれは自白する。人生二度目のリバースを。

 昨今はいかな飲み会であれコールが飛ぶわけもなく、むしろ誰も彼もが止めてくる始末である。やさしいせかい。だから頭痛すらしないうちに円満飲酒でフィニッシュしかないのだ。

 はじめてのリバースはやはり大学生のときであった。どこまで行けるかやってみようということで、別段コールの発生しないホワイト・サークルでありながら、とりあえず呑み過ぎてみてリバース。やりきった。

 とにかくよくわからないが、わりかしリバースしてから気持ち悪くなる記憶があった。普通は気持ち悪くなってからリバースするものと思っているので釈然としなかった。

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 そして二度目現在、やっぱ予兆がなさすぎて電車の中で口の中にリバースした。リス顔でおれは思った。いやこれむりやろ。次弾装填されとる。どこか…どこか遠くへいかねば…理性に蹴られた本能が遠くを求める。しかし電車の中に「遠く」などあるはずもない。

 理性と本能が導き出したのはドア前だった。移動は、した。遠く、行った。そしてリバース。これが北斗の拳イチゴ味。ウソじゃないんだ。本当に直前はスイパラみたいな食べ方してたからメルヘン・リバースなのだ。ごめんて。何とは言わないが。

 魔法少女が魔女に反転するがごとしリバース。お菓子の魔女がそこにいる。こわい。

 職業病により〇〇行き〇時〇分発の〇号車〇番ドアに「おがくず隊」至急救援求厶! と脳内号令がコールされ、るが、しかし覚えていられるわけもない。込み上げるは罪悪感と嘔吐感のみ。

 とりあえず隣駅で降車、しかしトイレにすら間に合わず線路リバース。なんたる。しかし線路の指差し確認は忘れぬ!(職業病)しかし指差し確認をしてリバース! なんたる恥辱!

 元エキ=インとしてあるまじき失態……しかし酔客にワビを入れられるほどの無意味、いや逆効果もあるまい。心をEvilにしてまず我が身の救済を第一とする。己を生かせぬ者が他者を救うなど片腹痛し。しかし業腹だ。

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 予兆、予備動作のない攻撃はクソゲーである。しかし、世の中にはわかりやすい予兆だけがあるのではない。わかりやすい報いだけがあるのではない。不可避の攻撃を避けたくば見よ。報われたければ自ら報いよ。明鏡止水──いや二日酔いなのだから水は止めるな。飲め。

 ウコンの力が…ほしいか…?

 つまり、気持ち悪くなる、などという予兆を求むるは児戯よ。誰もが正道を歩むとは限らぬ。とにもかくにもテキーラ・イッキのオカワリはしぬ。そおゆうことなのだ。それだけが予兆だ。

 「イッキ飲み」と心の中で思ったならッ! その時スデに自白は終わっているんだッ! そおゆうことだ。いま予兆のフラグを折ると決意したのならッ! その時スデに学習は終わっているんだッ! そおゆうことでもある。

 かくて矛盾は無矛盾に。これはヤクブーツの酩酊回転の渦ではない。おれの真理天啓をあらわすのみ。ここは懺悔室。悪しからずご了承頂き要らん言葉は預からず。得ようと思った言葉はまず己に与えよ。"与"言者おれと神父おれと罪人おれのうるせえタップダンスはここに終わる。お粗末!

われわれが深淵を覗くとき、深淵もまたわれわれを覗いているのだ……