Q.朝起きて最初にすることは?

朝起きて最初にすることは、歯を磨くことでも、顔を洗うことでも、朝食を摂ることでもない。僕の一日は、絶望から始まる。

ひとしきり絶望をして、ああ今日も絶望しているな、僕の人生はこうでなくっちゃ。と、謎の納得をするところまでがワンセット。そのあとは、ひたすら間違いを正す作業をする。正して、正して、正して正して正して、ああ今日も間違いだらけだな、もうやめてしまおう。と、諦めるところまで完了してから、やっと呼吸をはじめる。

なんとも無意味なルーティンだが、もう何年も続けてしまっているから、いまさらやめることなんてできない。やめてしまったほうがいい事くらい知っている。知ってはいるけど、分かってはいない。 かわいそうなままでいれば、いつか誰かが助けに来てくれる。そんなものは幻想で、本当はずっとひとりぼっちなのも知っている。これは分かっている。なのに『かわいそう』をやめられない。

いくら僕がかわいそうな人間でも、毎日毎日朝は来るし夜も来る。僕は、かわいそうなまま栄養を摂る。音楽を聴く。眠りにつく。普通の人間として生きている。生活をしている。そういうことになっている。

太陽は僕を嘲笑うために昇っているわけじゃないし、夜は僕を殺すために暗くなるわけじゃない。食べ物は僕を太らせるために美味しく作られているわけじゃないし、あの歌も僕のために綺麗な音をしているわけではない。この世に僕のためのものなんてひとつもなくて、あるのは過剰な自意識だけ。

朝起きて、支度をして、外に出て。
そういう生活を送れるようになるまで、あとどれくらい?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?